伸びた爪
秋から冬へ
駐車場にて
伸びた爪が日々の憂鬱を笑う
光から逃げ出した僕の裾を燃やす
眩しかったあの光は僕に影を作った
やりたいことなんて無かった
初めは流れ、誘い、嫉妬
初めてかったCDはあの人の好きなアーティスト
やりたいことなんて無かった
伸びた爪が日々の惰性を示す
燃えた体は煙を吐き出し炭となる
二度と火がつくことはない
光に照らされるあの感覚はなぜか心地よかった
強がった僕は否定しない
僕にはいらない
必要ない
そんなことはない。僕には光が必要だった
寒くなると8月の熱い日差しが恋しくなる
家で一人になるとあの頃の喧騒に戻りたくなる
時間をかけて作った人形はガラスのケースに閉まっておこう
あとは眺めるだけ
たとえもう取り出す事はないとしても
伸びた爪が傷をつけるから。