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第六章


「ね、フロー。私ってそんなに変わり者だったの?」

「だった?」

フローは眉根を寄せた。

ライファはむっとして、講義した。

「今の私も変わり者だって言いたいの?」

「充分」

「しっ…失礼な!」

思わずライファは自分の枕をフローに投げていた。

だが、彼はいとも容易くそれをよけてしまう。

ますます怒りの膨らむライファだが。

「元気になったな」

初めて見る、彼の本当の笑顔。

柔らかい、優しい。

「ど…え?」

顔が一気に熱くなったのを確認したライファは手で顔を覆った。

(なっ…私、どうしたんだろ…)

頭に血がのぼって、くらくらする。

妙に恥ずかしいのは、何故?

「姫様、また熱?」

「何でもない!気にしないでっ!」

近づいてくるフローを片手で払う。

少し戸惑った感じだったが、小さく笑って言う。

「食事を持って来させましょう」

敬語。

この立場では。

「姫」と「召使い」。

そんなの、嫌だ。

「フロー……」

呟くと、小さな返事が返ってくる。

「大丈夫ですよ。私が、お守りいたします」

違うのに。

本当に望むものは、守ってもらう事じゃないのに。

彼は、気づいてくれない。

――――私は一体何を望んでいるの?





「姉さま、リオです」

「ああ。入って」

ライファは机に向かったまま答えた。

リオは黙々とペンを走らせる彼女を不思議そうに見ている。

「何をしているんですか?」

「んー?勉強」

すると、後ろで盛大にリオが吹き出した。

「そんなに可笑しいの?」

「ええ。だって姉さま、お勉強は嫌いだっておっしゃっていたのに」

「少しはしなきゃ。そうだ、リオ。あなた、武術はできる?」

「はい?」

ライファは一つ背伸びをすると、椅子から立ち上がって今度はベッドに腰を下ろす。

リオも隣に腰を落ち着けた。

「私も南町に行きたいの。少しは戦いたいわ」

「……私よりも姉さまの方が出来ますのに、私にお尋ねになるなんて。どうかしたんですか?」

「え…と。あ、そう。リオは誰に手解きしてもらってるのかなって」

「私ですか?フローですが」

「そうなの?」

「姉さまもそうでしょう?」

「あ…うん。そうだったわね」

まずい。

確かにこの国での記憶が乏しい。

このままではリオに気づかれるのは時間の問題だ。



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