第七話
第一章序章。アニメのオープニングっぽくしてみました!
修文30年、この年とあるジャンルが話題を呼んだ。
VRMMORPG
まだMMORPGすらマイナーであったこの時代に、全身で体感するゲームの小説に人気が寄せられたのは仕方のない話だ。最新のRPGですら廃人ゲーマーを満足させる事は出来ず、ライトユーザーですら物足りなかった時代なのだ。
夢のまた夢。その憧れを無くす程、大人達は童心を失ってはいなかった。
そして時は過ぎ去り修文35年。初のVRMMOが完成した。
夢のまた夢。実現するには何十年も掛かると言われていたフルダイブ。この夢を作り上げたのは、"鬼才の世代"と呼ばれる5人の技術者。なんとたったの23歳。彼等はITを陰から支えていたと言わしめる秀才の天才を母にした五つ子で、小さい頃から神童だ、天才だ、と持て囃されていた。高校に入る頃には、あのスーパーコンピューターすら超えたと言われるその頭脳には、世界の企業が注目していた。
『僕らは、VRMMOを作りたい。そして、皆の夢を叶えたい。』
二十歳の時、大勢のマスコミを集めた五つ子のリーダー格がそう言った。
『僕らが、"鬼才の世代"と呼ばれている事は知っています。しかし、いくら僕らが天才と言われても、皆さんの力を借りなければ、作れる物も作れません。僕らに力を貸してください。』
その言葉に感銘を受けた世界中の企業が、今までいがみ合っていたのが嘘のように手を取り合い、新しいゲームを作り始めた。
それから3年、未知の、しかし誰もが知っているジャンルのゲームが完成した。
VRの第一人者と言っても過言ではない五つ子の、"鬼才の世代"と呼ばれた彼等の音沙汰が無くなったのも同時期だった。
未だに彼等の事が議論される。
彼等は何処へ行ってしまったのか。
彼等は一体何の目的があってVRMMOを作ったのか。
彼等の母親に聞いた者が居る。しかし、こう言われたと言う。
『私に子供は居ませんよ?』
彼等の元クラスメートや元担任に話を聞いた者も居る。やはり、こう言われた。
『そんな凄い奴ら、うちのクラスに居たかなぁ?』
彼等は一体何者だったのか。彼等の存在は全世界の皆が知っていて、しかし誰も知らない。
一部の人達の間では、本物の鬼だったのでは?と真しやかに噂されている。
本物の鬼故に鬼才。
今では、彼等を知識の神の使いと見て、伍鬼教が盛んに布教されている。
そして今、待ち望まれていたVRMMOが遂に解禁される。
皆の期待と夢を背負ったそのゲームの名は………
〝Generic World Online〟
巷では、異世界から来た彼等の故郷を再現したもの、という噂がある。しかしそこの根幹にあるのは、恐怖ではなく歓喜だ。
本当に彼等の故郷なら、もしかしたら彼等に会えるかも。
心からの懇願が。




