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Candy Time  作者: こじ
3/6

三話

リオとロンは再び酒屋の前に来ていた。

「取り敢えず、ヤツが潜みそうな場所があるか手掛かりを探すぞ。」

「はい!」

リオは崩れた棚から高そうな酒を見つけた。

「イイ酒だなぁ、客もまたグレゴリなのかな。」

そう言いながらボトルの蓋を開けた。

「勤務中ですよ?ってか子どもでしょうがι」

ロンは「子どもは飴でも舐めてといてください。」と酒を取り上げた。

「堅いな〜。で、どう思う?」

「客にグレゴリが混じってるかってことですか?その可能性も無きにしは在らず、ですけど今回の事件はニールが人体収集家コレクターで男性の遺体を切断し、女性はあの灰色の狐の仕業で間違ないでしょ。」

「ん〜……ハズレ、だな。」

リオは新たに橙色の包み紙に入った棒付 きの飴玉を舐め出した。

「え──?」

「もっとよく思い出せよ。そして、この現場を観察してみろ」

「ちょっ!どうゆうことですか!!?」

「……ったく。イイか?この店は外観から内装まで全てが安っぽく造られてる。もちろん、ココに置いてある酒もだ。それに対して、この高い酒だけが置いているのは異様だとは思わないか?そしてこの高い酒と同じ銘柄が何本かあるが、全部同じ名前のヤツがボトルキープしてやがる。」

ロンはその言葉で慌てて名前を確認した。

「本当だ……!“道化師”?」

「それが何らかの暗号か、名前なのかは分からんが調べてみる必要があるな。それに──」

リオはゆっくりと立ち上がり、このボトルに張られてあるシールを指差し、

「この日付に見覚えは?」

「──!!!?」

「そう、この銘柄の酒の日付が示すのは、この事件で殺害された日付だ。」

「だから、6本あるんですか。」

ロンは酒の瓶を見ていると「ボトルキープはされているが、呑まれていない?」と呟くと

「あぁ、6本ある内の4本──は、な。」

「まさか!!!?」

「その通り。女性が殺害された時もボトルキープはしているが、決して口にはしていない。だが、男性が殺害された時には呑まれている。切断した手足を肴に呑んだ……って考えるのが妥当だろうな。」

「それじゃ……この道化師ってヤツが人体収集家コレクター!!?」

「そこまでは断定するのはまだ早いが、恐らくそうだろうな。しかし、用意周到なヤツだな。」

「え?」

「ご丁寧に今日の日付のボトルもある ぜ」

リオはロンにボトルを投げた。

「今日殺す予定……ってことですか?」

「あぁ。しかも3本も出てきやがった。あのモヒカン狐ヤローも追わなきゃ行けねぇが、その道化師ってのも追わなきゃだな。」

リオは立ち上がり、「署長に報告しに行くか。」

「はい。」

「この今日殺害予定とされる3本も合わせて、9本!持ち帰るぞ。」





「……なるほどねぇ、今日は大胆に3人殺す……ってことね」

署長は顎に手を当てて悩んでいた。

「でもさすがね〜もうココまで分かっちゃって♪チューしてあげるぅぅ」

「いや、いらねぇ。」

リオはそれを流し、「デカ乳は?」

「今は安静にしてるわ。ロンみたいにお見舞いに行けばイイのに」

署長はリオの額に指を当て

「この、照れ屋さん♪」

「本当に勘弁してくれ……ι」



「大丈夫?」

「うん。」

ロンは眼鏡を掛け直し、パイプ椅子に座った。

「進展、したの?」

「まぁ、軽く……かな。でもさすが本部から来ただけはあるよ。観察力や推理力もそうだけど、あの身体能力は凄まじいよ。」

「私も見てたわ。手から突風を出して──何なのかしら?」

「ところで、昨日のエリザちゃんの王子様は何処にいるんだろうね?」

「あ、そうよ!!!私の王子様♪」

その言葉に反応してやっと普段のエリザの声のトーンに戻った。

「あれは一体何だったのかな?──もしかして、照れ屋さん?♪」

エリザは思い出しながらニヤけていた。

「そ、そうだねι」





『今夜ダ……コノ街ヲ潰ス!!! 』

ニールは裏路地で灰色の狐達に細く指示を送っていた。

『マダダメヨ?』

急に声がし、ニールは振り向いた。しかし、そこに姿はなかった。

『アンタカ。マタ声ノミカ。ナゼダメナンダ?』

『アナタ、ニグレヲ喰ウツモリデショ?』

『勿論ダ。アノ女ノ太モモノ味ガ忘レラレナイ。』

ニールは思い出したように涎を垂らした。

『──ソレニ、アノクソガキヲ殺ス!!!』

『アノ女ハイイケド、アレハ私ノエモノヨ……♪男ハ私ガ殺ス契約ダッタト思ウケド?』

『見テイタノカ……ワカッタヨ。今夜……デ、イインダヨナ?』

『エエ、ヨロシクネェ♪』

その言葉を最後に声は消えた。

『気色悪イヤローダ。ダガ、アノクソガキモオレ様のエモノダ!!!』

ニールは再び大きな口を開け、涎を垂らした。





「で、どうするんですか?」

ロンはのけ反りながら飴を舐めているリオに向かって声を掛けた。

「何が?」

「何がじゃないでしょ!今夜にも3人の犠牲者が増えるんですよ!」

「そうだなぁ……。」

リオは言葉を詰まらせていた。

「何も策はないんですか!!?」

「腹黒メガネは何かあんのか?」

「そ……それは……」

「仕方ねぇ、か。」

リオは立ち上がり、ロンに「付いて来い」と命令した。



辺りには誰もいない廃墟に連れられてきた。

「ココは?」

「グレゴリ専用のネットワークさ。」

「はぁ……!!?」

「グレゴリでもな、人を襲わずに静かに暮らしたいヤツもいるんだよ。そうゆうヤツが密かにネットワークを作って、情報を共有し合ってるんだ。」

「こんな所……初めて知りましたよ!」

「だろうな。多分ニグレでも上層部の一部しか知らない極秘、ってヤツだからな」

リオは廃墟の扉を3回ノックした。すると扉の奥から『狂わすモノは?』と聞こえた。その声にリオは「自分自身。」と言い、再び3回ノックした。

「合言葉……?」

「あぁ。念には念を、な」

奥からガチャリと機械音が聞こえ、重たい扉が軋みをあげながら開いた。

『久しぶりじゃの。』

開いた扉から老人が現われた。

『おや?珍しいの、人間を連れてくるとは。』

「ニグレの一員だ。名前は腹黒メガネ」

「ロンです!!!」

ロンは慌てて訂正した。そして辺りを見渡した。

『驚いておるようじゃな』

「えぇ。まさかこんな場所が あるなんて」

『ワシらはな、ただ普通に暮らしたいだけなんじゃよ──でも、人間にとっては危害を加えないと言っても前例がないから、信用はしてもらえん。じゃから、こうゆう所を作るしかなかったんじゃ。』

「世間話はイイよ。コイツ知ってるか?」

リオはニールの写真を見せた。

『最近暴れておるらしいの。』

「知ってるんですか?」

『付いてきなさい。』

老人は奥へと招いた。



奥へ進むにつれ、数々の人間に出会った。いや、正しくは人間の姿をしたグレゴリであったが。ロンはその姿を見て、こんなにもいるのかと驚いた。

「どうした?驚いたか?」

リオは見透かしたようにロンを一瞥した。

「えぇ……グレゴリには理性はない怪物と思っていました。ただ快楽のために人を殺し、欲求を満たすものだと……」

『一部はそうじゃよ。でも、大半はこうやって身を潜め、人間のように暮らしておるよ。それに理性だってちゃんとあるんじゃよ。のぉ、リオ?』

「チッ……あぁ、そうだよ。」

老人はリオに話題を振ったが面倒臭そうに流した。

「そうだったんですか……」

『どれ、取り敢えず座って話そうか。』

気が付くと会議室のような部屋につき、中へ通された。



『この男、についてじゃったな。』

「あぁ。」

リオは座るやいなや、机に足を乗せた。

『恐らくこの街の裏路地の主と言ったところかの。決して表舞台には出ずに、人間を襲っていた。しかし、この1ヶ月前から、急に表舞台に上がって来おった。多分誰かと手を組んだみたいじゃの。』

「それが道化師、か。」

『道化師と言うのか?こちらの情報にも当てはまらんかったわい。』

「アンタのネットワークにもないとは、意外だな。ほら、その道化師に繋がりそうな手掛かりだ。」

リオはボトルを1本くすねていたらしく、老人に渡した。

「それ証拠品ですよ!いつ持って来たんですか!!?」

「堅ぇこと言うなよ。1本でヤツが分かるなら安いもんだ。」

「全く……」とロンは首を横に振った。

『後で調べて連絡しよう。』

老人はボトルを受け取り、横に置いた。

「で、ニールの潜伏先は?」

『裏路地の廃れた病院、じゃろう。』

「よし、行くぞ!」

リオは足を降ろし、勢い良く飛び上がった。

「はい!」

ロンもまた、立ち上がった。

『リオ、これを。』

ロンが先に扉を出たのを確認した後にリオを呼び止めた。

「悪いな。」

リオは老人からある物を受け取った 。

『あまり多様するではないぞ?引き返せなくなる。』

「元々、引き返す気はねぇよ。」

それをポケットに入れ、ロンの後を追った。








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