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02、二年の場合

私たちの所属する『古今東西娯楽研究同好会』、通称娯研は、学校で(ある意味)有名な同好会である。

ちなみに娯研は、古いものから新しいものまで、日本、はたまた世界の遊びを研究する、というのが活動内容。こんな同好会が三十年という歴史を持って存在しているのだから、世の中よくわからないものだ。

まあ、私たちが入る前―――かおる先輩と八木先輩が一年生だった頃―――は廃部寸前だったらしいけれど。

そしてこの二人が、校内で娯研の知名度を上げている原因なんだけど。


娯研会長の五月女そうとめかおる先輩、副会長の八木やぎあおい先輩は、美男美女として名を馳せている。そしてこのふたりの周りからの認識はそれはもう仲の良いカップル、である。

同じクラスで選択も同じらしいのでいつも一緒にいるし、普通に手をつないでいたり、くっつきあってたりするところをよく見かける。噂ではお弁当も二人で食べてるらしい。

(ただ本当は付き合ってなんかないらしい。八木先輩が言ってた。)

そんな目立つふたりが会長、副会長を務めているのだから、知名度は上がって当然だろう。部員は少ないけど。


「ももちー、先輩たち遅いねー。」

準備が終わって手持ち無沙汰なんだろう。少ない部員のうちの一人で唯一同学年の陽太が寄ってくる。

「うーん、まだ教室にいそうだけど。かおる先輩、引退したくない、って言ってそう。」

「確かに!で、八木先輩が説得して連れてくるんだ!」

「あはは、絶対そう!」

「なんか想像し易すぎて・・・!」

「でも、今日はいっぱい楽しんでもらわないとね。」

「ぜったいね!今までいっぱい楽しませてもらったしね!」

「今日のためにみんなで準備したしね。あとは一年たちが帰ってくれば完成だし。」

「パーティーっぽくなったね。間に合うか不安だったけど。」


折り紙や花紙で作った飾りで彩った部室をふたりで眺める。

「大丈夫かな・・・。」

自分の口から、そんな不安がこぼれて、驚く。

「あ、成功しないって思ってるわれじゃないよ?」

「大丈夫だよ。会長も副会長もこういうの好きそうだし。」

うん、と頷こうとしたら頭にのった手にそれを遮られた。もちろんそれは陽太の手で。

急にどうしたの、そう聞こうと思ったら意外と真剣な顔をした陽太と目があった。

「それに、先輩が引退してからも大丈夫。俺がももちー支えてあげるから!」

「・・・ふは、頼もしいね。ありがとう。」


「あー!先輩なにしてんすか!」

「あ、美桜ちー!おかえり。」

「おかえりじゃないですよ!陽太先輩!桃乃先輩誑かさないでくださいよ!」

「誑かすって!ひどいな!」

「ちょっと美桜なに言ってんの!陽太先輩すみません!桃乃先輩も!」

「謝らなくていいよ、佐奈。今のは陽太先輩が悪い。」

「ちょっと!翔!」「翔さん!?俺なんかした!?」

「嘘ですよー。それより会長たちそろそろ来るんじゃないですか?」

「げ!ほんとだ!ちょ、みんなはやく!スタンバイ!」


一年生が合流して一気に騒がしくなった部室。

なんだかさっきまでの不安が馬鹿らしくなって、苦笑がもれた。

「桃乃先輩ー?どうしたんですかー?」

「ごめん、今行くー!」


とりあえず、赤くなった顔を陽太に見られなくてよかったな、なんて。

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