プロローグ 2
久しぶりに会った天野だけど、財布を拾おうとした瞬間、手が触れた・・・
思わず顔を上げると目があった。久しぶりのトキメキか?そう期待したけど、にっこりとした表情を浮かべたかと思うと何もなかったかのように、財布を拾って私に渡してくれた。
「はい・・・」
「あ・・・ありがとう・・・」
期待はずれの反応に少し気が重くなっていると
「なに暗い顔しているんや?」
「あ・・いや・・・」
口を濁している私に意外な言葉が聞こえてきた。
「今、暇?立ち話もなんだから?そこでお茶しない?」
「あ・・そ・・そうね・・」
予想外の展開におどおどしていると私、近くのお店で紅茶を待っていた。そして、ふと顔を上げると前よりかっこよくなっていると思った瞬間に、彼の携帯がなった。
「あ・・・俺だけど・・・どうした?・・そう・・」
私を差し置いて彼の電話は続いた。途中、店員が持ってきたコーヒーをそのままに・・・どう見ても彼女から・・・って、何時まで放置されるの?そう思っているとようやく彼の電話は終った。
「悪ぃ~」
「彼女からでしょう?こんな所で油売ってていいの?」
天野は私の言葉にキョトンとした表情を浮かべた。
「ど・・・どうして・・それを・・・」
思わず左手を頭に押し当て軽く溜息をついてしまった。
「どうしてって・・・そんな感じで電話していたら誰でもわかるわよ。」
「そうなんだ・・・」
「そうよ・・」
すると今度は、天野が溜息をついて視線を横に逸らせた。そして、軽く頬を書いたかと思うとチラリと私のほうを見た。
「最近、上手くいってないんだ・・・」
「そうなの?さっきは楽しそうに見えたけど。」
「たしかに電話ではこうなんだけど・・・最近、会うと・・なんて言うか・・・どことなく・・」
そう言うと俯いて目の前に会ったコーヒーをがぶ飲みした。そんな常識はずれの行動に目をまるくしていると一気に飲み終えた天野からこんな言葉が出てきた。
「ところで石村はどうなんだ?」