プロローグ
どうせ私には、無理なんだ。
そう悟ったのは、先週のこと、それは突然終わった恋・・・本当なら今日はデートのはずだった・・・
「うっとおしいんだよ!!お前は!!」
そう言い残して、彼は肩を怒らせたまま、私を置いて行ってしまった。
はぁ〜・・・
嫌なことを思い出してしまった。一生懸命やったのに・・・何があかんかったんやろう。そんな時だった。私の後ろから声がした。
「あの〜落し物ですよ。」
えっ?
思わず振り向くとそこには私の財布が・・・
「あっ!!すみません。」
慌てて財布に手を出した。
ゴツン!!
鈍い音とともに頭に衝撃が走った。
「痛い!!」
しばらく、頭を抱えていると・・・その向こうから、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「痛ってぇ~」
ふと顔を見上げるとそこには、天野君が立っていた・・・天野君、彼は高校の同級生で、結構人気が有ったんだけど、なんでか浮ついた噂がなかった。たまたま高3の時、同じクラスだったんで憶えていたんだけど・・・確か・・地元の学校へ行ったはず・・・そんな彼が何故?そう思っていると天野君から声をかけてきてくれた。
「お前・・・ひょっとして・・石村か?」
そう言って私を指差した。
「あ・・・そ・・・そうだけど・・・」
なんとなく言いそびれた私・・・・
「天野だよ・・・憶えている?」
にこやかな表情で私に話しかけてくれる。
「あ・・・天野君?」
とは言ったものの・・・分かっているんだけど・・・
「そう・・・天野・・・」
「あ・・・あ・・・あまっち・・・ああ・・・」
そして、少し話をした後、落ちている財布に手をやると天野君の手が触れた・・・