おとぎ話のはじまり-01
こんな事になるなんて。
誰が予想できたろう!
誰のせい?
僕のせい?
なんでもいいから、誰か助けて!
■ ■ ■
その日はちょっと不運だった。
だって目覚ましが壊れてたからいつもより30分も目が覚めるのが遅くなってしまい、お陰で朝ごはんもロクに食べれないまま家を飛び出すことになった。
お昼は学校に行けば給食があるからいいけど(中学生は義務教育!素晴らしい!)お昼までお腹を鳴らし続けるのも周りに迷惑だからと、途中のコンビニでパンでも買おうと思ったらお手軽ご飯系が全滅していたから諦めてとりあえず学校に向かっている現在。
今思えばお菓子でもなんでもいいから買えば良かったなぁなんて、ぐずるお腹をさすりながら走った。
僕の家は学校から微妙な距離にあるせいで自転車通学が出来ないことになっている。
あと100mでも家が遠ければ! なんて思ったりもするが、そうだったらきっともっと寝坊するだけの話だろう。
なんとなく長い溜息が洩れた。
学校まであともうちょっと。
とりあえず学校についたら、友達に飴とか持ってないか聞いてみよう。
それでなんとか昼までもたせるんだ。
あとはあの角を曲がれば…。
そうすれば学校はすぐそこのはずだった。
だから俺は腕時計で時間を確認しようとした。
つまりは前方不注意で。
油断していた体に勢いよく衝撃が走った。
「どっしーん!」なんていうマンガ的な効果音がお似合いだと他人事のように思った。
「うわっ」
「きゃぅ!」
勢いが良すぎて僕の体はぶつかってしまった誰かの上に乗りかかる形になってしまった。
お陰で倒れ込んだ衝撃はあまりなかったのだが、それは目の前の誰かが代わりになってしまっただけの話で。
「たたた…、ご、ごめんなさい」
体を起こしながらとりあえず謝罪する。
離れるのが惜しいと思うほどに柔らかな感触だった。
顔を上げると、そこにはさらりとした輝かしい金髪と透き通るような青い瞳の、まさに美少女がこちらを見上げているではないか!
瞬間的に「日常会話英語習っておけばよかった!」という思いと、痛みに涙目になっている彼女の可愛らしさへの驚きで胸がいっぱいになった。
「わ、私の方こそごめんなさい…」
あ、日系でしたか。
ほっとしたついでに彼女の全体図に目が行く。
大きなリボンのついた黒いカチューシャと袖がふわっとした(パフスリーブって言うんだっけ)空色のワンピース。
そして某レストランのような胸元を強調する形をした白いエプロン。
なんだろう、まるでコスプレのような…。
はっ、だめだだめだ!
こんな風に思うから周りにもオタクだと罵られるんだ。
これはそう、きっと制服なんだ!
彼女はレストランのバイトとかで、遅刻しそうだから制服でそのまま出勤とか、そういうことなんだきっと。
「あの、あのっ」
「うわ、はい!?」
慌てた様子の彼女は必死な顔で僕を見ていた。
すいません、ちょっとトリップしてました。
「ご、ごめんなさい! 私急いでるので! 失礼します!」
そう言うなり立ち上がって、彼女は僕が向かう先とは逆方向へと走って行った。
に、逃げられたんだろうか…?
なんとなしにしょんぼりと落ち込んでいると、突然視界が陰る。
「見つけた!」
「は?」
→
「ノクターンノベルズ」で投稿中のR18版(今のところ差異はないですが)をR15版として投稿し始めてみました。
えっちな描写はコメディに流す予定です。
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