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第三十話

※執筆にAIツールを使用しています。


※カクヨム様にも投稿しました。

 四匹のホーンラビットはさすがに多いか?

 今、俺がやるべきことは……

 「ワオーン、ガオガオーン(たすけて〜ドリュアぇも〜ん!)」

 良し、これでもしかしたらドリュアが助けにきてくれるかもしれない。

 そう信じ、俺はすぐさま戦いの主導権を握るべく、有利な場所へと移動する。

 ホーンラビットの突進は直線的で強力だが、小回りが利かないという弱点がある。

 その点を突くため、俺はジグザグに、不規則な軌道で森を走り抜ける。

 時には大きく木の根を飛び越え、時には倒木の下を潜り抜け、的を絞らせないようにひたすら駆け抜けた。

 目指すは、奴らの最大の武器を封じる場所。

 やがて、俺は計算通り、木々が一定の間隔で密集して立ち並ぶ林へと足を踏み入れた。

 狭い空間なら、奴らの突進力を削ぎ、俺の小回りの利く動きが活きるはずだ。

 だが、まだ安心はできない。

 奴らは数を頼りに、きっとこの場所でも俺を追い詰めてくるだろう。

 ホーンラビットの群れが、怒濤の勢いで林の奥へと俺を追い詰めてくる。

 その殺気は、この狭い空間で一層濃く感じられた。

 だが、俺はもう、ただ逃げ回るだけの存在ではない。

 この瞬間を、奴らは甘く見ていたようだ。

 俺は目の前の木めがけてジャンプした。

 しなやかな筋肉が躍動し、幹に吸い付くように張り付く。

 そのまま、幹を強く蹴りつけることで、跳躍力をさらに加速させた!

 まるで空を舞う幻影のように、俺は彼らの頭上へと舞い上がる。

 そして、その勢いを殺すことなく、真っ逆さまに、ホーンラビットの先頭を走っていた奴めがけて急降下した。

 奴が何が起こったのか理解する間もなく、俺の爪が、狼の怒りを込めて振り抜かれる。

 鍛え抜かれた俺の肉球パンチを、躊躇なく奴の顔面に叩き込んだ!

 「ギャン!」

 鈍い音と共に、ホーンラビットの苦痛に満ちた叫びが林にこだまする。

 俺の爪は、奴の皮膚を容易く切り裂き、額から左目にかけて、赤黒い血が鮮やかに噴き出した。

 視界を奪われ、平衡感覚を失った奴は、そのまま数歩よろめき、地面に膝をついた。

 勝負は、ここからだ。

 一匹を潰した。

 しかし、残るはまだ三匹。

 数は依然として不利だ。

 俺は油断せず、足を止めずに動き続けた。

 林の複雑な地形と木々を盾に、奴らの視線から常に逃れ、的を絞らせない。

 俊敏な動きで翻弄し、次の好機を伺う。

 素早く木の陰に隠れ、奴らの様子を見ると、奴らは戦術を変えてきた。

 三匹が連携を取り、一列になり、まるで隊列を組んだ兵士のように突進してくる。

 灰色いくせに三連星モドキのジェットストリーム〇タックかよ。

 本当なら一匹目を踏み台にしたいが、ホーンラビットの角に突かれる未来しか想像出来ない。

 それに、この場所は林の中。

 木々が密集し、視界も悪い。

 こんな場所で、直線的な集団突撃など、効果が薄いどころか、逆に動きを制限されるだけだろう、と俺は高を括っていた。

 奴らの単純な行動に呆れて、ほんの一瞬、警戒が緩んだ。

 その油断が、致命的な判断ミスへと繋がった。

 突如として、後ろに控えていた二匹目が素早く右へ、そして三匹目が左へと、完璧なタイミングで左右に散開したのだ。

 奴らの狙いは、正面からの牽制と同時に、俺を挟み撃ちにする巧妙な包囲網の形成。

 驚愕に目を見開く。

 単純な突進戦術だと思っていた相手が、まさかこれほどの知能と連携能力を持っているとは。

 完全に油断していた。

 左右から迫る殺気。

 俺は、急速に悪化する状況に、冷や汗が背中を伝うのを感じた。

 包囲されるのはまずい。

 ホーンラビットに囲まれれば、あっという間に身動きが取れなくなる。

 俺は考えるよりも早く、右手側に逃げて包囲網の外へ出ようと試みた。

 しかし、奴らの連携は想像以上だった。

 俺の動きに呼応するように、包囲網をさらに小さくし、完全に俺を囲もうとしてくる。

 だが、俺の嗅覚と動体視力は、そのわずかな綻びを見逃さなかった。

 若干、左手側の一匹の動きが遅れているため、まだ辛うじて包囲は完成されていない。

 この一瞬の猶予が、俺に残された最後のチャンスだ。

――このまま逃げ続けて、一度体勢を整えるべきか?

 理性的な判断がそう告げる。

 しかし、同時に別の声が俺を躊躇させた。

 いや、これ以上、ユユたちのいる大樹の寝床から離れるのも怖い。

 森の奥深くまで誘い込まれるのは避けたい。

 ならば、選択肢は一つ。

 「グルゥゥ(一か八か、右手側の一匹とやり合ってやる!)」

 俺は覚悟を決めた。

 完全に囲まれる前に、この包囲網の一角を崩すしかない。

 逃げるだけでは、いつか詰む。

 ならば、攻める。

 ホーンラビットの包囲網が完成する前に、必ず突破口を開かなければならない。

 特に、中央に位置する奴の存在が厄介だ。

 もし、俺が足を止めるようなことがあれば、

真ん中の奴に容赦なく距離を詰められ、俺は一気に不利になるだろう。

 奴の突進を受ければ、ひとたまりもない。

 呼吸を整え、俺は来るべき一撃に全ての神経を集中させた。

 俺は右へ、右へと旋回し続け、ホーンラビットたちの追撃を誘う。

 奴らが包囲網を縮めようと集中した、その隙を俺は嗅覚で捉えていた。

 そして、来るべき瞬間。

 俺は不意に、一番右側のホーンラビット目掛け、直線的に突っ込んだ。

 急な方向転換に、ターゲットのホーンラビットは一瞬怯んだ様子を見せた。

 だが、すぐに頭を振り上げ、獰猛な殺気を放ちながら、そこからさらに力強く突進してくる。

 その巨大な角は、狙いを定めた獲物を確実に仕留める死の槍だ。

 その勢いのまま、切っ先鋭い角が目の前に突き刺さってくる。

 寸分違わず俺の体を狙う角を、俺は紙一重でかわす。

 この絶妙な動きは、まさしく俺の回避の能力が仕事をしてくれた証だ。

  しかし、避けきれなかった。

 角の先端が、まるで剃刀のように一瞬早く俺の左耳を切り裂く。

 焼けるような激痛が左耳を襲う。

 だが、この程度の痛みで俺の動きは止められない。

 まさに息の根を止めようとする噛みつきのチャンスが訪れた。

 獣としての本能が、この獲物を確実に仕留めろと命じる。

 だが、一瞬、人間の本能的な嫌悪感が脳裏をよぎった。

 その嫌悪感は、まるで冷水を浴びせられたかのように、俺の思考を凍てつかせる。

 生々しい肉の感触、滴る血の臭い、骨が砕ける音。

 これら全てが、かつて人間であった俺の理性に訴えかけ、この行為を躊躇させる。

 身体は獣となり、戦いの中で本能が覚醒しつつあるのに、この染み付いた人間性が、俺の足を引っ張る。

 だが俺は構わず、その感情を無理やり押し殺し、突進の勢いを利用して、奴の側面に肉薄する。

 そして、開いた牙を、奴の急所である首元目掛け、深く突き立てる。

「グァルゥァァ!(取った!)」

 獣の咆哮が、林に木霊する。

 牙が深く食い込み、生々しい感触が伝わる。

 俺は牙を突き立て、顎に渾身の力を加え、首を振る。

 硬い皮膚の下の肉が、ずるりと剥がれる音。

 そのまま奴の体を振り回すように噛みちぎり、まっすぐに駆け抜けた。

 口の中には、生温かい奴の首肉が残っていた。

 鉄錆のような血の味が口内に広がる。

 俺の体は、ホーンラビットの返り血と、自身の左耳から流れる血で、見るも無残に汚れていた。

 だが、この血は、生き残るための代償であり、勝利への道標だ。

 一匹を仕留め、俺の口内には血の生臭さが、そして耳には痛みが残る。

 しかし、これでホーンラビットの数は残るは二匹。

 四匹相手では絶望的だった状況が、一気に現実的なものへと変わった。

 これでだいぶ余裕が出来た、と心の中で安堵の息を漏らす。

 だが、同時に本能が警鐘を鳴らす。

 まだ油断したら駄目だ。油断は死に直結する。

 俺は一度、大きく体を震わせて血を払い、気を引き締めなおした。

 奴らが追ってくるのを予測し、林の奥深くへは行かず、木々の合間を抜けるように走り抜ける。

 足音を最小限に抑え、気配を消しながら、複雑な地形を利用して次の攻撃機会を探す。

 視界の端に、ひときわ目を引く太い木の陰を見つけると、そこに身を潜め、

残る二匹のホーンラビットの様子を確かめる。

 獲物を狙う狩人のように、俺は静かに次の機会を待った。

 仲間を失った二匹のホーンラビットは、俺に対して強い警戒心を抱き、ぴたりと動きを止めていた。

 林の中に、微かな風が木々を揺らす音と、俺たちの荒い息遣いだけが響く。

 俺は、その隙に自身の体の調子を確認する。

 連続した戦闘にも関わらず、体力、スタミナはまだまだ余裕がある。

 これなら、さらに二匹を相手にしても戦い抜けるだろう。

 だが、左耳から流れ続ける血の感触と、ズキズキとした痛みが気になる。

――もし、この傷口からばい菌とか入ったらどうなる?

 熱が出たり、体が動かなくなったりしたら……

 最悪のシナリオが頭をよぎる。

 大丈夫だと、たぶん大丈夫だと思いたい。

 だが、そう願う一方で、不安があるのも事実だ。

 この状況で深手を負い、動けなくなるのは絶対に避けたい。

 だからこそ、俺は慎重な選択を下す。

 此処は出来るだけ慎重に、大樹の寝床へ撤退しよう。

 決して逃げるわけではない。

 次なる戦いに備え、体勢を立て直すための、戦略的な後退だ。

 残るホーンラビットはまだ周囲を警戒し、動きはない。

 それが、俺にとっての撤退のチャンスだった。

 彼らが次の一手を打つ前に、俺は確実に距離を稼ぐ必要がある。

 「……スゥゥ……クンクン……」

 警戒を怠らず、俺は嗅覚を使い周囲を探索する。

 風に乗って運ばれてくる匂いを注意深く嗅ぎ分け、新たな危険がないかを確かめる。

 特に問題はない。

 このルートなら、比較的安全に離脱できるはずだ。

 出来るだけ気配を消し、地面に吸い付くように、木々の影に隠れながら大樹の寝床に戻る。

 一歩一歩、まるで影のように。

 しかし、警戒を怠ったわけではないのに、奴らは気づいた。

 俺のわずかな動き、あるいは残る血の匂いか。

 奴らが不意に俺の方へ視線を向けた。

 その瞬間、背筋に冷たいものが走る。

――ヤバい、気づかれた!

 俺は即座に方向転換し、ジグザグに動く。

 奴らの突進を避けるため、必死に体を揺らす。

 その激しい動作の度に、切り裂かれた耳が脈打つように痛み、止まっていたはずの血が再び熱く流れ出す。

 それでも、俺は走り続けた。

 痛みは全身を蝕むが、俺は決して諦めない。

 己の生存本能と、たった一つの希望にすがりついて。

 大樹の寝床に近づければ、あの頼れるドリュアが、きっと助けに来てくれることを信じて。

読んでいただきありがとうございました。


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