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第二十四話

※執筆にAIツールを使用しています。

※カクヨム様にも投稿しました。

 季節は春へと移ろい、日中の日差しは暖かさを増してきたが、北の森は依然として雪深い。

 白く輝く木々の間から、時折、春の訪れを告げる鳥の声が聞こえる。

 ホーンラビットとの激しい戦闘が終わり、俺はへとへとになっていた。

 だが、肉体の疲労よりも、俺の心を占めていたのは、サラスの口から飛び出した衝撃的な言葉だった。

 俺が命がけで戦ったのに、能力が生えたのはユユで、それがテイマーの能力だという。

 「ガウ(あ……ありのまま 今 起こったことを話すぜ!)」

 「ガウガウ(な……なにを言っているのかわからねーと思うが、俺も何が起きたのか分からない)」

 まるで思考が停止したかのように、俺はただ呆然と呟くしかなかった。

 そんな俺を完全に放置して、ユユとサラスは楽しげに会話を続けている。

 『ユユはいつもモコオといっしょにいるからね』

 サラスの声が、ユユの言葉に穏やかな肯定を添える。

 『ホーホー、一冬中常に共に過ごしコミュニケーションを取り続けたのじゃな。』

 『ユユとモコオはずっといっしょだよ』

 ユユは無邪気にそう言って、俺に抱き着いてくる。

 サラスは、得心がいったように大きく頷いた。

 だが、彼の思考はそこで止まらない。

 『ホー、じゃがそれにしても能力を覚える速さが異常なのじゃ。

 興味深いのじゃ!蝙蝠人族の血に何か秘密があるのか?それとも亜人と人族のハーフに原因があるのか……これは早速調査が必要なのじゃ!』

 サラスの瞳が、まるで獲物を見つけた猛禽類のように鋭く輝いたかと思うと、彼女は次の瞬間、声と共に宙へと舞い上がった。

 サラスの関心は完全に、ユユの血筋と能力開花の秘密へと移っていたのだ。

 そう言い残すと、サラスはあっという間に森の彼方へと飛び去ってしまった。  

 「クゥゥン……(え?…俺の能力は?……ホーンラビットと強制的に戦わされたのはなんだったんだ……)」

 俺は、ただ呆然と、冷たい雪の上に座り込んだまま、ポツンとその場に残された。

 俺の命懸けの戦いが、なぜユユの能力に繋がったのか、理解不能だった。

 そんな俺をよそに、ユユがドリュアに尋ねる。

 『ドリュア、ていまーってなに?』

 その純粋な問いかけに、ドリュアは慈愛に満ちた声で答えた。

 『動物を手懐け、共に生き、必要であればその力を借りる。

 動物と心を通わせ、導く者。それがテイマーという能力の持ち主です。』

 ドリュアの説明に、ユユの瞳が好奇心と喜びに満ちて輝く。

 『おー!ユユはまた一つ強くなった!』

 ユユの無邪気な喜びを前に、ドリュアは冷静に、そして真剣な表情で忠告を続けた。

 『そうですね、ユユには共有の能力がありますから、テイマー能力の相性は非常に良いでしょう。

 しかし、安易な力ではありません。

 無理な使役は、ユユ自身にも、そして動物にも、取り返しのつかない悲劇をもたらす可能性があります。

 この能力を使う際は、必ず私の指示を仰ぎ、慎重に判断しなさい。良いですね。』

 ドリュアの諭すような言葉に、ユユは素直に頷いた。

 『うん!ユユドリュアにそうだんする!』

 『よろしいです。ユユはとても良い子ですね』

 ドリュアに褒められ、ユユは得意げに胸を張る。

 そして、次の一言で俺の血の気が引いた。

 『へへー、よいこだよ!じゃ、モコオをテイムする!』

 「ワンワンワン!(いやいや、やめて、テイムしないで!)」

 俺は全身で拒絶するが、ユユは理解できないといったふうに首を傾げた。

 『ん?なんでテイムダメ?』

 「ワンワンガウ(俺は誰にも支配されない孤高の狼だよ、てか、俺、心は人間だから!!)」

 俺は必死に自分の自由と尊厳を訴える。

 しかし、ドリュアは苦笑いを浮かべ、とどめの一撃を放った。

 『そうですね、モコオはすでにユユの命令を聞く小者ですし、テイムすることもないでしょう。』

 「ガウ!(え?なにその、服従してる手下みたいな扱い!)」

 俺の抗議は虚しく、ユユはドリュアの言葉をそのまま受け止め、さらに得意げになる。

 『そうか、モコオはユユの子分か!』

 「ガウガウ!(いや、子分違うから、寧ろ俺がユユの兄貴分だからね!)」

 『ユユがおねーちゃんでしょ!モコオなかす!』

 結局、いつものごとく、平和な兄弟喧嘩へと発展した。

 ドリュアは、やれやれとばかりに口髭を撫でながら、温かい眼差しでその光景を見守っていた。

 俺とユユは、雪の上を転がり回りながら、取っ組み合いの大ゲンカ――という名のじゃれ合いを繰り広げていた。

 雪まみれになり、鼻息を荒げながら、どちらがお兄ちゃんでどちらがお姉ちゃんなのかを全身で主張し合う。

『いい加減になさい、二人とも。』

 そんな俺たちを、ドリュアが穏やかな声で止めた。

 俺たちは雪まみれのまま大人しく座り込む。

 ちょうど良いタイミングだ。

 俺は、サラスが言っていた亜人について、かねてからの疑問を口にすることにした。

「ワフン(亜人っていうのは皆ユユみたいな姿なのか?)」

 俺の問いかけに、ドリュアはゆっくりと口髭を整えながら、教えてくれた。

『いいえ、ユユはハーフとしての特徴が強く出てますね。

 一般的な認識としては、蝙蝠人族であれば二足歩行する蝙蝠、犬人族であれば二足歩行する犬といった姿を想像していただけると、より理解しやすいかと。』

 二足歩行する犬か……想像するとなんとも奇妙な感覚だ。

 だが、この世界ではそれが普通なのだろう。

 俺は、さらに突っ込んだ質問をしてみた。

「ワンワフン(人も獣人も一緒に生活しているのか?)」

『地域によって獣人が多く暮らす場所や、人間が多く住む国など、その割合に差はありますが、基本的には共に生活していますね』

 ドリュアの言葉に、俺は驚きを隠せない。

 人間と獣人の共存。

 この世界は、俺の想像以上に、多様な生命が混じり合い、複雑な社会を形成しているらしい。

 俺のいた世界では、それは物語の中だけの出来事だった。

 この世界の広さと多様さに、俺の探究心は刺激されていく。

 だが、この世界の常識も、仕組みも、俺が知っていることはあまりに少なかった。

 体は成長を続けているものの、能力はまだまだ未熟で、特に嗅覚の弱点は深刻だ。

 強すぎる悪臭に晒されると意識を失ってしまうという致命的な問題を、何とかして克服しなければ。

 そんな俺の複雑な思いや感情を読み取ったかのように、ユユが自信満々に言った。

『ユユがいろいろおしえてあげるからダイジョウブだよ、おねーちゃんとして!』

 ユユの自信に満ちた言葉に、俺は思わず苦笑した。

 だが、彼女の純粋な優しさが、俺の心にじんわりと染み渡る。

 この異世界で、俺はもっと知識を深め、もっと力をつけたい。

 そして、その道のりは、決して一人ではないのだと、改めて感じた。

 だが、ユユのおねーちゃん発言はいただけない。

 兄として負けられない戦いをもう一度始めよう。


9月からは週1・2本の投稿に変更させていただきます。

宜しくお願いします。


読んでいただきありがとうございました。


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