01. プロローグ 姉妹勃発
★ヒロインが「本当の悪女だったらどうだろうか?」という設定で以前短編でかき上げた作品です。
大分加筆したので、短期連載として読んでいただけると幸いです。
正直、悪女イブリンに愛着湧いてしまったので悪女?かなと言う感じ。
初めて読まれる方は暇つぶしに良かったら読んでみて下さい。
★少し「ざまあ」が入っているのでせっかくなので「ざまあシリーズ」に入れました。
※ 2025/7/2加筆修正済
投稿後、7話の文字数だけやたら多いため、7話を分割したので全9話にエピソードを変更しました。
変更して申し訳ありません。<(_ _)>
◇ ◇ ◇
ハートランド公爵本邸。
穏やかな春の陽光が燦々と射すサンルーム内。
3姉妹の長女のイブリン、次女のケイティ、3女のアリッサが午後の紅茶を嗜んでいた。
従者とメイドがお茶の支度を終えて席を外した途端、突然、次女のケイティが姉のイブリンにくってかかった。
「イブリンお姉様、ロイド様は私の婚約者ですよ、どうか彼を返してちょうだい!」
「ケイティ。耳元でキャンキャンと子犬みたいに吠えないでちょうだいな。それに私はロイド子爵には何もしてないわよ」
「嘘おっしゃい!」
ケイティの剣幕は止まらない。
「先日ロイド様から『想い人が出来たから君とは婚約解消したい』といわれたわ! 問い詰めたらなんと、その想い人というのはイブリンお姉様、あなただっていうじゃない!」
「あらまあ……おバカさんね」
「なんですって!」
ケイティはご自慢の金褐色の巻き毛と同じくらい、顔中怒って真っ赤になっていく。
逆にイブリンは涼しげにほほ笑み、紅茶―を一口、美味しそうに啜った。
「イブリンお姉さま、黙ってないで答えなさいよ!」
「まあまあケイティ、少しは落ち着きなさいな。あなたを“おバカさん”て言ったんじゃないわ。あたしはロイド子爵におばかさんて言ったのよ」
「ひどい、彼はバカではないわ!」
「バカでしょう。だって私は寡婦よ。それもハートランド公爵本家のね。こういってはなんだけど、格下の伯爵家の次男坊と公爵未亡人の私が釣合うと、本気で思えて?」
「次男坊って……ロイド様に何て言いぐさなの」
「図星でしょう。そもそもロイドが私を好きになったとして、何故あなたと婚約解消するのよ。貴公子たるもの女遊びくらい男の甲斐性だわよ。それに、別に寡婦のあたしがいたって、あなたが本命ならさっさと結婚すればいいでしょう どって事ないわよ」
イブリンはツンと澄ましてまことしやかにいう。
「キーッ!イブリンお姉様ったら、なんてはしたないことを言うのよ。母親のくせに!」
「ええ あたしは息子のユーリを誰よりも愛してるわ!」
「バカおっしゃい、母親たるもの男遊びなんて最低よ!」
「まあ、おほほ! だからあなたはロイドに舐められるのよ」
イブリンが見下したように高笑いをする。
「なんですって!」
「ケイティは昔からネンネだわね。21にもなってまだ女学生気分が抜けない、だから『次女は行き遅れ』と、煩いぶくぶく肥った叔母たちに言われちゃうのよ!」
「まあ!私が行き遅れですって?」
ケイティは額に青筋をピキッと立てた。
※ 2025/6/30 修正済み