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九章 南煌炎事件 其二

宿幼決戦から五年経った五月十五日。

僕たちは南煌炎大都に到着した。

南方剣士団の総長を務めるミッケ・カーリンは見回りに出ていて留守だったため無事だ。

今は任務に出ていて無事だった剣士たちと共に中央に行って事情聴取を受けている。

僕は壊滅した南方剣士団を歩いて調査を行う。

何か手掛かりはないか、焼け焦げた床を端から端まで見ていく。

「死者二十七名、負傷者七百二十一名。住民、負傷者共に教会へ避難済みです」

手掛かりを探す僕の所に警察官が来た。

「死者は剣士団に居た剣士だけか?」

白翔は警察官を見てそうう言った。

「八割が剣士です」

警察官は白翔を見てそう言った。

「民を守る組織が原因で民が死ぬとは悲惨だな」

「そうですね」

「白翔様・・・」

白翔と共に手掛かりを探していた警察官が砕けた石塀を持ってきた。

「・・・梨々香の予想通りか・・・」

不自然に砕けた石塀には微量でがあるが神気が残されている。

瞬間的にどれだけの神気が発生したのか、実に気になるところだ。

僕は欠けた石塀を持って再び手掛かりを探し始めた。

ラーフィアの神気はかすかに残っている。

僕はその微かな神気の繋がりを辿って歩く。

「この事件、何が原因で起きたんですか?」

警察官は白翔を見てそう言った。

「梨々香はラーフィアの痕跡が原因だと予想している」

「ラーフィアの痕跡って気気滅却(ききめっきゃく)(びん)に封印されていたんですよね?封印を解くなんて不可能だと思うんですけど・・・」

ふむ、当然の疑問だ。

気気滅却瓶は封印を施した者にしか開けられないようになっているからね。

「では、気気滅却瓶を壊した・・・」

警察官2は白翔を見てそう言った。

「最初は解放しようとしたのかもしれない。しかし、封があまりにも厳重だった」

白翔はリビングで立ち止まった。

神気の繋がりが指す場所はここだ。

「苛立った首謀者は気気滅却瓶を地面に何度も叩きつけた」

白翔はそう言うと、足で床をなぞった。

白翔がなぞった先には、床には凹みのような傷がある。

「・・・」

警察官たちは携帯端末を取り出し、床にある凹みのような傷を撮影し始めた。

「瓶に施された気気滅却法が乱れ、瞬間的ではあるがラーフィアの痕跡が復活。外側の生気に反応して痕跡に施された罠が発動した」

白翔はそう言うと、鼻で笑った。


-回想-

宿幼決戦から五年経った五月十四日。

ミッケが御所に向かった後、南方剣士団所属の剣士たちはリビングに入った。

「クソ・・・このままあいつが動くと剣士団から追い出されちまう・・・」

南方剣士団の剣士1はそう言いながらソファー乱雑に座った。

「この国に居る奴らはあいつに賛同し始めてる・・・この国全体が私たちを排除しようとしてるんだ・・・どこかで信用を落とさねぇとな」

南方剣士団の剣士2は歩きながらそう言うと、棚を見た。

「そうだ!この痕跡を外に出して騒ぎを起こせばいい!」

南方剣士団の剣士2は奇妙な金属片が入った瓶を持って笑みながら言った。

「面倒ごとはごめんだ」

南方剣士団の剣士1は南方剣士団の剣士2を見てそう言った。

「騒ぎになり過ぎる」

南方剣士団の剣士3は南方剣士団の剣士2を見てそう言った。

「大丈夫だって!」

南方剣士団の剣士2はそう言いながら瓶の蓋を開けようとした。

しかし、蓋は開かない。

南方剣士団の剣士2が必死に蓋を開けようとしていると、他の剣士が蓋が開かないことにイラつき始めた。

「何してんだよ!貸せ!」

南方剣士団の剣士たちは瓶に集まった。

しかし、瓶の封は解けない。

すると、南方剣士団の剣士2がついに怒り始めた。

「何だよ!!瓶の癖に!!」

南方剣士団の剣士2はそう怒鳴ると、瓶を床に投げた。

「よし!このままわっちまおう!」

南方剣士団の剣士4は瓶を拾ってそう言うと、瓶を床に投げた。

南方剣士団の剣士たちは次々と瓶を拾っては投げ始めた。

「おりゃぁ!!」

笑みを浮かべた南方剣士団の剣士2が再び瓶を投げ、瓶が床にぶつかったその時だった。

奇妙な金属片が耳を塞ぎなくなるような強烈な異音と共に黒神文字(こくしんもじ)を放って光り輝く白い星になった。

「ッ!!」

手で耳を塞いだ南方剣士団の剣士たちは現れた白い星を見て驚く。

その瞬間、黒神文字が途轍もない勢いで白い星に吸い込まれて静寂が訪れた。

「・・・?」

南方剣士団の剣士たちが耳から手を放して首を傾げたその瞬間、白い星が赫色の稲妻を放ちながら大爆発を起こして甲高い風切り音と雷鳴を轟かせた。

-回想終了-


「御所に戻るぞ」

僕の命令で警察官たちが飛行翼を装備して飛び上がった。

はぁ~報告面倒だな~

何か奇妙な感覚だ・・・誰かに呼ばれているような、何かに引き寄せられているような、そんな感覚だ。

そして、そんな奇妙な感覚が体を駆け巡る中、久々に夢を見た。

次回十章 夢中の先生

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