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七章 開議、神護国大議会

午後六時頃、特殊報告会議の片づけが終わった。

湯飲み片手にゆっくたりとしていると、梨々香が何か持って戻ってきた。

「すごいですね。もう光ったのかい?」

梨々香は白翔が持つ大小二つの半球がつけられた綺麗な水晶板を見て笑みながらそう言った。

「まぁ、簡単だったよ」

白翔は誇らしげに言った。

「では、次はこれを光らせられるように頑張りなさい」

梨々香は大小二つの半球がつけられた綺麗な水晶板を差し出してそう言った。

「また水晶板?」

白翔はそう言いながら大小二つの半球がつけられた綺麗な水晶板を受け取った。

「ん?」

白翔は光を失っていく水晶板を見て少し驚く。

「これ・・・これより・・・光らない・・・!!」

白翔は大小二つの半球がつけられた綺麗な水晶板と濁った水晶板を交互に見てそう言った。

「前回の物より回路が精密になっています。なので、より精密な神気制御が必要になります」

梨々香は白翔を見て笑みながらそう言った。

「くぅ~!もう十分だと思っていたのに!!」

白翔は悔しそうに言った。

「こんな精密な回路をよく組むわね。多才って言うのは小耳に挟んでいたけれど、ここまでとは思わなかった」

白梅は濁った水晶板を見てそう言った。

「白梅は出来るの?」

少し怒った白翔は濁った水晶板を差し出しながらそう言った。

私は水晶板を受け取って神気を伝えた。

少し難しいけれど、神剣白華を生成するより簡単だった。

「結構簡単に光らせやがって!!」

白翔は怒りながら水晶板を奪うように取り上げた。

「白翔、焦る必要はないよ」

梨々香は白翔を見て笑みながらそう言った。

「・・・」

白翔は黙って濁った水晶板を見つめる。

「白翔は警察局(けいさつきょく)の長官です。絶対戦場に行ってラーフィアと戦わなきゃいけないって地位じゃない。多くの警察官や剣士、六柱の魔神と共にこの国に残って執政や住民の避難誘導を行ってくれるだけでも十分です」

「黙れ!!」

白翔は悔しそうに怒鳴った。

「僕がラーフィアを創らせたようなものだ・・・僕に責任がある。知能がなかったとか、恐怖心があったとか、昔のことだからとか、言い訳して逃げて良いわけがない」

白翔は濁った水晶板を握り込んでそう言った。

「頼もしいよ。とっても・・・」

梨々香は白翔を見て嬉しそうに言った。

「騒ぎが終わったら母艦イクイノックスに行きましょうか。町田地区(まちだちく)には海があるんですよ?」

「海!?」

白翔は梨々香を見てワクワクしながらそう言った。

「人工の海だけれど、水平線が見えるほど広いんだ」

「それは楽しみだ」

白翔は梨々香を見て笑みながらそう言うと濁った水晶板を優しく握った。


宿幼決戦から五年経った五月十一日。

神護国の基本的政治に関する会議、神護国(かみごこく)大議会(だいぎかい)が開催された。

華千﨑家の二柱と各政治局の高官たちが参加した。

「よろしく」

財政管理局長官はグラディス・オブ・イェーツ。

六柱の魔神、煌金岩(ゴールダズ)だ。

「久しぶり」

物流管理局長官はジーナ・オブ・エンジェル。

六柱の魔神、緑水(ミーツェン)だ。

「元気そうね」

国土交通局長官は千蘭宮 千織。

アマテラス系の中位神だ。

「・・・」

電波・電子産業管理局長官はシゼル・フィトミア・カーリン。

六柱の魔神、青白炎(リンメイ)だ。

「諸君、本会議も参加いただき感謝する」

白梅がそう言うと、僕を含めた政府官僚たちがザカザカと一斉に立ち上がった。

「第二十三回神護国大議会、開議!!」

梨々香は大声でそう言った。

「よろしくお願いしまーす!!」

政府官僚たちは大声でそう言った。

梨々香が座ると、それに続いて僕たちも座った。

今回の大議会もテレビで生中継されているようだ。

大議会で議論されるのは、価格競争の無法化についてだ。

梨々香が特に問題視しているのは地価らしい。

「商人と共謀して辺り一帯の地価を上げ、地価の上昇を理由に家賃を上げる商人も少なくないと聞く。国民の生活を脅かす行為は決して許されることではなく、これに関しては特に厳しい対策を取っていくことをここに明言しておく」

梨々香の言葉を聞いた政府官僚たちは、静かに喜びながら遠慮なく案を出していく。

全ての土地を国家の所有物にするという案、土地の保有数に応じて税金を課すという案、土地に税金をかけるという案、土地の価格に上限を設ける案、どれも商人が泣きそうな案ばかりだ。

価格競争を正常化させるよう各局が協力していくことが決まると、グラディス財政長官が意見を出した。

戦時(せんじ)の現在、商人たちの収入は下がることなく平時よりも多いという記録が各所から出ています。戦時だからと言って税金を免除する必要性はあるのでしょうか」

グラディスは財政管理局の官僚から資料を受け取る梨々香を見てそう言った。

「国家予算の減少によって滞っていることも多いと思います。ここは戦時の税金免除を廃止するべきではないでしょうか」

グラディスは資料を見る梨々香を見てそう言った。

「ご意見受け取りました。検討します」

梨々香が言う"検討"という時、ほぼ確実に意見が通る。

中立陣営時代から続いていた戦時の税金免除もきっとなくなるのだろう。

今回の大議会で出た案と意見が半分でも通ったら悪徳商人たちは壊滅するだろう。

まぁ、この後は間違いなく御所に嘆願書の束が届くだろう。

そこで梨々香がどう出るかだな。

死者二十七名、負傷者七百二十一名、神護国初の事件が発生する

次回八章 南煌炎事件 其一

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