四十五章 落日。
「ここから挽回できるだろうか・・・」
着地したラーフィアはゆっくりと向かってくる白梅を見てそう呟いた。
ラーフィアは白梅に向かって歩きながら神双剣クラウス&モニークを生成して握った。
神剣白華・異端を握った白梅と神双剣クラウス&モニークを握ったラーフィアは打ち合うも、白梅だけが大きくのけ反って倒れた。
「・・・」
神双剣クラウス&モニークを握ったラーフィアは白梅を追撃することなく振り向き、走って向かってくる梨々香を見た。
「・・・」
神刀華炎・異端と神刀赤閃を握った梨々香は神双剣クラウス&モニークを握ったラーフィアと打ち合い、激しく鍔迫り合いをする。
「見事だ、現人神」
ラーフィアは梨々香を見て笑みながらそう言った。
「真の力を隠すために家族という最も親しい存在すら騙すとは・・・現人神という存在は皆狂っているな」
ラーフィアがそう言うと、暗黒の霧がラーフィアを包み始めた。
「・・・」
神刀華炎・異端と神刀赤閃を握った梨々香は暗黒の霧に包まれるラーフィアを見て怒筋を浮かべた。
「私の邪魔をするなぁぁぁぁ!!!!」
私が怒鳴る間もなくラーフィアの怒声が鳴り響いた。
その瞬間、強烈な神気風が吹き荒れ異端化が解けた。
断末魔のような神気風は、私の刀を砕き白梅と白翔を吹き飛ばす。
そして、メイジーが放ったであろう漆黒の霧が飛散して消えると同時に神気風が収まった。
私が驚いたまま固まっていると、ラーフィアが崩れるように両膝を地面についた。
「・・・今ので・・・力を使い切っちゃったよ・・・・・・」
ラーフィアは笑みながらそう言った。
ラーフィアの雰囲気が、声色が変わった。
「・・・」
駆け寄って来た白梅と白翔がラーフィアを見る。
「これで最期だ・・・聞きたいことを聞け」
ラーフィアは梨々香を見てそう言うと瞼を閉じた。
「もう少しこの器の中に居たい」お婆様の魂がそう言った気がした。
お婆様も私と同じようにワガママなお方だったのだろうか。
「お前が転生者アティアと呼ぶ存在は、なぜ華千﨑家を襲撃した」
梨々香はラーフィアを見てそう言った。
「妬み、ひがみ、嫉妬、羨望・・・幸せそうなお前たちを見てそんな感情が湧いたのだろう」
「やっぱり・・・碌な奴じゃない・・・」
白梅は拳を握り締めてそう言った。
「暗黒神は全部で何柱いる」
「お前たちが指す神は全部で七柱いる。森羅双神、封じる者、三真影」
ラーフィアはそう言いながら崩れ始めた。
「この体ともお別れみたいね・・・あと何回別れを経験すれば良いのかしら・・・」
ラーフィアは寂しそうに言った。
祖母は楽になれただろうか。
私は崩れるラーフィアから抜け出す光を見ながらそう思う。
次回終章 戦勝の祭り




