四十四章 夜明けは終わる
激しい打ち合いの末に吹き飛ばされた梨々香は滑りながら白梅と白翔の前で止まった。
「そろそろだ。界から出て来た時を狙ってくれ」
神刀華炎・異端を握った梨々香は顔や腕にひびが入るラーフィアを見てそう言うと飛び上がった。
「・・・」
白梅と白翔は遠ざかる梨々香を見ると顔を見合わせて梨々香とラーフィアの動きを見ながら動く。
神刀華炎・異端を握った梨々香は降って来る大量の炎の弾を避けながら照赫する神双剣クラウス&モニークを握ったラーフィアに接近する。
神刀華炎・異端を握った梨々香と照赫する神双剣クラウス&モニークを握ったラーフィアは激しく打ち合った。
ラーフィアは神刀華炎・異端を押し返すと、乱舞するように照赫する神双剣クラウス&モニークを振り始めた。
神刀華炎・異端を握った梨々香は照赫する神双剣クラウス&モニークを的確に防ぎ続ける。
金属がぶつかる甲高い音が鳴り響き、辺りに火花が舞う。
激しいぶつかり合いの末、照赫する神剣クラウスが弾き飛ばされ、神刀華炎・異端が弾き飛ばされた。
梨々香は隠し持っていた神刀赤閃を振り、ラーフィアは照赫する神剣モニークを振る。
梨々香とラーフィアはお互いに振られた刀剣を手で掴んで受け止めた。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
刀身を掴む手から液状神気を垂らす梨々香とラーフィアは互いに叫びながら神気風を放つ。
途轍もない衝撃波で砂煙が舞い上がり、地面が隆起して地の底から溶岩のような液状神気が噴き出す。
「・・・」
互いに離れた梨々香とラーフィアは武器を生成して握り直し、お互いに接近する。
空を切り裂くような速度で空中戦を繰り広げる梨々香とラーフィアは界の中に消えた。
界の中で紫色と赫色の斬撃が飛び交い、紫色と赫色の炎の弾が激突して相殺し合う。
(この一撃で!!)
白梅は現れた界を見ながら神剣白華・異端を構え、白翔は空中に現れた界を見ながら脚を構える。
次の瞬間、界から途轍もない量の赤紫色の炎を噴き出して爆発音が鳴り響いた。
炎が白梅と白翔の神気を隠し、爆発音が冷たい氷の音と風の音をかき消す。
「・・・そろそろ終わりだ・・・ラーフィアッ!!」
至る所から鮮血を垂らす梨々香は全身にひびが入ったラーフィアを導くように的確に押しながら力強くそう言った。
「・・・」
全身にひびが入ったラーフィアは白梅と白翔を見て目を見開いた。
その瞬間、振られた神剣白華・異端と白翔の蹴りがラーフィアの神気に激突した。
少しの静寂、その後に響くガラスのような鋭く高い音。
私たちは、ついに死星を守る壁を打ち砕いた。
夜明が砕けて分厚いガラス片の様な固形化した神気が地上に落ちる。
地上に落ちる固形化した神気は崩れて気化して煌く。
そして、力強く輝く美しい太陽と昼空が姿を見せた。
「・・・」
急いで梨々香たちから離れたラーフィアは空中で静止すると梨々香たちを見た。
「天陰、月光万針」
神剣白華・異端を握った白梅はそう言いながら神剣白華・異端を一振りした。
すると、一振りから生まれた光が円になり、円から白銀の針が大量に放たれた。
高速で飛行するラーフィアは確実に白銀の針を避けている。
自らを守る盾を失ってもラーフィアは冷静さを欠かない。
的確に攻撃を回避しながら隙を探している。
「・・・」
ラーフィアは白翔の蹴りを防ごうと神双剣クラウス&モニークを生成して握った。
白翔の蹴りは交差した双剣に触れた。
「・・・判断を誤った・・・」
白翔から放たれたあまりに弱い蹴りを受けたラーフィアは淡々とそう言った。
「威力反転」
白翔はラーフィアを指さして笑みながら言った。
その瞬間、途轍もない衝撃がラーフィアを襲い、神双剣クラウス&モニークが折れてラーフィアが吹き飛んだ。
次回四十五章 落日




