四十三章 明けの死星
両手を広げたラーフィアはゆっくりとのけ反っていく。
その瞬間、邪眼が緋色の龍のような瞳に変化し、白い髪が赤髪に変わり、ミニコルセットドレスから黒神文字が抜け出してミニコルセットドレスが変化した。
赫色の灰が空に向かって真っすぐ昇ると共に訪れる静寂。
次の瞬間、異常なまでに重たい爆音が静寂を打ち砕いて旧サウスドラゴニア全体を破壊するほど巨大な爆発が発生した。
轟音と共に地下から溢れ出す赫色の炎が天に広がり、空が曙陽色に染まっていく。
明けの死星、ラーフィア。
神気抑制が完全に解かれた暗黒神ラーフィア。
遥か旧世で逝去した初代天理照赫が黒式の魔女メイジーの力を受けて蘇った。
死星を守る神気はあらゆる術を無効化する。
技を磨かなければ狩られるだけの獲物となる。
「なんて光景だ・・・まるで世界の終わりだ・・・・・・」
国民が教会に向かって走る中、グラディスは夜明に浮かぶ白い太陽を見て冷や汗を垂らしながらそう言った。
「・・・美日の盾・・・」
白梅は光の壁を見てそう言った。
「この盾・・・界創術を無効化している・・・」
白翔は美日の盾を見て驚きながらそう言った。
その時、光の輪が空に広がり、地上にあるあらゆるものを引き寄せながら輝きを増し始めた。
「ヤバい・・・絶対にヤバい!!」
冷や汗を垂らす白翔は空に現れる旭日の勇印を見て大声でそう言った。
「・・・美日の盾が・・・」
白梅はひびが入る美日の盾を見て冷や汗をかきながらそう言った。
「烈光」
ラーフィアが神剣クラウスで地上を指してそう言うと、地上に烈光の矢が着弾してクレーター全体を呑み込むほどの大爆発を起こした。
「・・・」
空高く昇った爆炎が消えると共に烈光を放つ旭日の盾が姿を見せる。
「流石は暗黒神だ。力強さが違う」
烈光を放つ旭日の盾を下ろした梨々香はラーフィアを見て笑みながらそう言った。
「・・・」
ラーフィアは梨々香たちを見た。
「今度こそ、共に戦おう。頼りにしてるよ。白梅、白翔」
梨々香がそう言うと、梨々香の後ろに隠れていた白梅と白翔が笑んだ。
「この世界よ・・・遥か旧世に生まれ、この世界を護る守護神となった華千﨑 梨々香が今ここに宣言する」
私たちは再び世界を変える決意をした。
メイジーを倒し、この不安定な世界を安定させる。
異端の神気は夜明の中で揺れ、辺りを漂う赫色の神気を激しく乱した。
「すごい力だ・・・制御し甲斐がある」
白翔は紫色の風を見て笑みながらそう言った。
「これが夜華の力・・・」
白梅は紫色の神気を見てそう言った。
「さて・・・」
梨々香はそう言うと、紫色の炎を纏う神刀華炎・異端を生成して握った。
「・・・」
白梅は神剣白華・異端を生成して握り、一振りした。
「この死星を落とし、共に朝を迎えるとしましょう」
梨々香は笑みながらそう言うと、神刀華炎・異端を構えた。
「白翔、間違っても神核に攻撃を当てないように。神核に入っている魂を傷つけてしまうわ」
神剣白華・異端を握った白梅は白翔を見てそう言った。
「わかっているさ」
白翔は歩みを進めながらそう言った。
「・・・」
急降下するラーフィアと神刀華炎・異端を構えた梨々香は見つめ合う。
照赫する神双剣クラウス&モニークと神刀華炎・異端が激突した瞬間世界が揺れる。
白梅と白翔は滑りながらその場に止まる。
「今のでどれくらいの俗世が消し飛んだのかね・・・」
白翔はそう言うと紫色の風を纏ってラーフィアに向かって飛ぶ。
紫色の風を纏う白翔のあまりに弱い蹴りがラーフィアに当たった。
「威力反転!」
紫色の風を纏う白翔はラーフィアを見てそう言った。
しかし、術は発生しない。
ラーフィアは白翔の足を掴んで投げ飛ばした。
「六華」
神剣白華・異端を握った白梅はそう言いながら神剣白華・異端を振る。
ラーフィアは神剣白華・異端を刃物のように鋭く金属塊のように重たい蹴りで弾き返した。
ラーフィアの蹴りは一瞬ではあるが目に見えるほどの界を生み出した。
吹き飛ばされる白梅は転がって白翔の傍で仰向けに倒れた。
「四華の力があっても体力は消耗する・・・全力で動くために今は休もう」
傷だらけの白翔は白梅を見てそう言った。
「そうね・・・」
傷だらけの白梅は呻きながらそう言うと、すぐそばにある神刀赤閃を見てそう言った。
「ッ・・・!!」
ラーフィアが目を見開いて胸を押さえたその瞬間、胸から鎖骨辺りにひびが入った。
エネルギーを無制限に送り込んでいるため器に凄まじい負荷がかかっている。
神核にも凄まじい負荷がかかっているはずだ。
早く神核を破壊して魂を解放しなければ・・・
「朝陽、霧華の刃」
神刀華炎・異端を横向きに構えた梨々香はそう言うと神刀華炎・異端を振った。
ラーフィアは花状に広がる霧の刃を突き抜けて梨々香に向かう。
神刀華炎・異端を握った梨々香はラーフィアに急接近する。
次の瞬間、神刀華炎・異端と照赫する神双剣クラウス&モニークが激突して火花が散った。
私とラーフィアはお互い全く退くことなく激しく打ち合い続ける。
紫色の炎を放つ神刀華炎・異端と赫い炎を放つ照赫する神双剣クラウス&モニークが激しく打ち合い続ける。
次回四十四章 夜明けは終わる




