三十九章 激闘、落陽の勇者対ラーフィア
この神気の流れ方、ただの神気抑制じゃない。
まさか、何重にも神気抑制がかけられているのか?
私はそう考えながらラーフィアに攻撃を仕掛ける。
「落陽、炎落とし!!」
私の攻撃はいとも簡単に受け止められた。
この瞬間、私はラーフィアの中身が見えた。
見えた気がしただけかもしれないが、幻覚かもしれないが、それでも確かに見えた。
ラーフィアの中身はまるでアルセミアやアーケロンのようなガス惑星だ。
分厚い邪悪さの中に何か別の物がある。
この異質さは神気抑制で生み出せるものとは違う。
神核、器、そう言った根本が異質なのだ。
「瞬斬・炎還ッ!!」
最上大業物落陽淵崩を握ったカスミはそう言いながら最上大業物落陽淵崩を軽く一振りした。
「・・・中々やるね」
ミニコルセットドレスに焼け焦げた切り傷が付いたラーフィアは振り向いてそう言った。
動きずらくなってきた。体が思うように動かなくなっている。
「私は今まで研鑽を積んできた。全てはお前に勝つために・・・」
カスミはそう言いながら最上大業物落陽淵崩を構えた。
「今のお前はあの小さいのより強い」
大戦斧グレイラを握ったラーフィアはそう言いながら歩みを進める。
「落陽、星の群れ!」
最上大業物落陽淵崩を一振りしてそう言ったカスミはラーフィアに向かって走る。
私は死星と打ち合った時の感覚を二度と忘れないだろう。
あまりに強くしなやかで鋭い連撃。
陛下も連撃が得意だったとヒルデガルトが言っていた。
さぁ・・・これは偶然だろうか。
「落陽、日震!」
カスミはそう言うと、最上大業物落陽淵崩を振った。
ラーフィアは大斧の柄で剣技を防いだが、大斧の柄が折れて最上大業物落陽淵崩がラーフィアを切りつけた。
まだいける。このまま時間をかけて確実に削る。
「・・・」
ラーフィアは炎の剣で迫る最上大業物落陽淵崩を防いだ。
凄まじい衝撃、熱と共に伝わる脈動、間違いなく心炎龍の力だ。
「なぜ龍の力が使える・・・お前が龍神なら、私たちが龍神と呼ぶあいつの正体は何だ!!」
カスミはラーフィアを見ながらそう言った。
「さぁね」
ラーフィアはそう言うと、最上大業物落陽淵崩を押し返した。
「・・・」
カスミは心炎の剣を避けながら最上大業物落陽淵崩を振る。
最上大業物落陽淵崩がラーフィアに近づいたその時、最上大業物落陽淵崩に氷柱が落ちてきた。
機動がずらされた最上大業物落陽淵崩はドレスの金具に当たり私は少し体勢を崩した。
ラーフィアは私から離れながら尖った岩を飛ばす。
私は最上大業物落陽淵崩で尖った岩を的確に斬っていく。
「・・・」
カスミは大型のリボルバー拳銃を構えて引き金を引いた。
真っすぐ飛んでいくる一本の尖った岩に天陽神気が塗布された十二ミリ弾が直撃して砕け散った。
「・・・驚異の命中精度だ」
ラーフィアは驚きながらそう言った。
「岩」
ラーフィアはカスミを指さしてそう言った。
その瞬間、私とラーフィアの間に岩の壁が現れた。
私は拳銃で土の壁を打ち砕き、ラーフィアに向かう。
「ラーフィアァァ!!!!」
最上大業物落陽淵崩を構えたカスミはラーフィアを睨みながら怒鳴った。
次回 四十章 好機に打ち込まれる朝霧の一撃




