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三十七章 蘇る赫日

崩落から逃れた私はやっと大穴の最奥に辿り着いた。

大穴の最奥にはグリードリヒとレパルドが居るだけでアイリアたちはいない。

私はグリードリヒに話しかける。

「アイリアたちは?」

カスミはグリードリヒを見てそう言った。

「奥です。今頃ラーフィアと・・・」

グリードリヒはカスミを見てそう言った。

「私が行った方が良いよね?」

「まぁ・・・そうですね」

「じゃあ、引き続き任せる」

私はグリードリヒにレパルドを任せて奥に進んだ。

流れてくるこの凄まじい神気・・・間違いなくこの先で何かあったんだ。


私とヒルデガルトは白煙を放つラーフィアを見る。

ラーフィアは無惨にも体の七割近くが欠損して黒焦げになった。

「・・・ヒルデガルト。あんたの弟子、覚悟決まり過ぎ」

ラーフィアにこれだけの傷を負わせたダイナは気を失った程度で済んだようだ。

爆発する瞬間ヒルデガルトが展開した盾に逃げ込んだのか、それとも陛下に護られたのか。

神護国に帰ったら陛下に質問してみようかな。

安堵する私とは反対にヒルデガルトは周りを見て黙ったまま冷や汗を垂らしている。

「どうしたの?」

私はヒルデガルトに問う。

「あの舞台・・・ここにある物全て・・・傷ついてすらない・・・」

私の問いにヒルデガルトは絞り出すようにそう答えた。

その瞬間、全身炭化したラーフィアの左目がぎょろりと動く。

私は徐々に薄くなる白煙を見て冷や汗を垂らした。

ラーフィアの顔が、腕が、足が見る見るうちに治っていく。

早く仕留めなければ・・・私たちは焦燥感に包まれる。

「・・・」

最上大業物を構えたミッケとヒルデガルトは治癒を進めるラーフィアに最上大業物を振った。

腕を最低限修復したラーフィアは二本の最上大業物を受け止めた。

「自爆したと思っていたけど・・・あの男め・・・」

肉と骨が見える腕で二本の最上大業物を受け止めたラーフィアは体を再生させながらそう言うと、二本の最上大業物を押し返した。

「やっぱりどこかから見てるな・・・?」

黒焦げでボロボロのラーフィアはそう言いながら腕を修復した。

どうして・・・どうしてこいつは焦らない。

あれだけのダメージを受けてどうして冷静でいられる。

あれほどの傷を治せるとしても、七陽の勇者が皆ダイナと同じことができると考えれば少しは焦るはずだ。

私がそう考えている内にメリメリパリパリと音を立てながらラーフィアの体が治っていく。

そして、ついに修復された裸体がミニコルセットドレスに包まれた。

「中々やってくれる・・・」

ラーフィアが言うと、赫灰色の髪留めが赫色に変化した。

ラーフィアは大戦斧グレイラを生成して握り、一振りする。

その瞬間、途轍もない重圧が私とヒルデガルトを襲う。


赫日神(かくびがみ)、ラーフィア

初代天理照赫が創り出した神具をつけた暗黒神。

尋常ならざるその雰囲気は、遥か旧世(きゅうせい)を統べた伝説の女神を彷彿とさせる。

次回三十八章 落陽の勇者が来る

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