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三十一章 旧サウスドラゴニア

七陽の勇者からなんとなく緊張感が消えた同年六月十九日。

超大規模な死星災害エリアが姿を見せた。

熱、雨、雹、雷、風全てが合わさった地獄のエリアだ。

「少し運転を任せます」

梨々香はそう言うと銃座に移動した。

「梨々香は何をする気なんだい?」

白翔は白梅を見てそう言った。

「さぁ」

ハンドルを握った白梅はガス惑星のように複雑怪奇に渦巻く雲を見てそう言った。

銃座に立つ陛下が何かを振るような仕草をしたその瞬間、超大規模な死星災害が切り裂かれて半分以上が消滅した。

「陛下!!」

ハンドルを握ったグリードリヒは悲鳴のような風音を響かせる死星災害を見て大声でそう言った。

「ロケット推進剤を使って突破します!」

車内に戻って白梅と運転を変わった梨々香は悲鳴のような風音を響かせる死星災害を見てそう言った。

各車両がロケットエンジンを作動させ、途轍もない速度で地獄のエリアに突入した。

暴風で車体が大きく揺れ、雹がぶつかってフロントガラスに大きなヒビが入り、車内温度が上がっていく。

速度は五百キロをゆうに越えている。

「旧サウスドラゴニアに到着します」

梨々香はそう言うと、ハンドルを巧みに操作して大きくふらつく車をスピンさせながら止めた。

「ヤバァァァァ!!!!」

グリードリヒとアイリアは遠ざかる地面を見て絶叫した。

私とアイリアを乗せた車両は地面にドカンッと着地し、激しくスピンしながら横転して止まった。

「あぁ・・・もう、最悪ッ!」

砂まみれのアイリアは口に入った砂を吐きながらそう言った。

「モンベレーク砂丘に墜ちた時のことを思い出すよ」

砂を被ったグリードリヒは車から出るアイリアを支えた。

「反応に困ること言うな」

アイリアはグリードリヒの手を掴んで引っ張り上げた。

私は辺りを見渡す。

ここにはサウスドラゴニア王国という大国があった。

しかし、今は一面真っ白な砂漠。人工物は一つもない。

「全員無事ですね」

梨々香はみんなを見てそう言った。

「では、ここからはP-921Bに乗って指定の座標まで移動してください」

梨々香はタブレット端末を見ながらそう言った。

「陛下たちは?」

カスミは梨々香を見てそう言った。

「私たちは界を通ってそちらに向かいます」

梨々香はカスミを見て笑みながらそう言った。

「僕はバッテリーを持って先に行く」

白翔は梨々香を見てそう言った。

「わかりました」

梨々香は白翔を見て笑みながらそう言った。

「では、総員準備」

梨々香はそう言うと、損傷が少ない大型車両に向かって歩いた。

陛下たちは大型車両の荷台から小型偵察機などの設備を取り出し始めた。

荷台から荷物を下ろし終えると、私たちは車両に乗り込んだ。

白翔は車両に乗らず風に乗っていち早く飛んでいった。

「大尉殿、お久しぶりです」

グリードリヒは助手席に座ってそう言った。

「久しぶり。元気そうでよかった」

運転席に座ったカスミはエンジンをかけながらそう言った。

「アンティーナは元気してる?」

カスミは座席の位置を調節しながらそう言った。

「アンティーナは死んだよ。ガンで」

グリードリヒはシートベルトを絞めながらそう言った。

「マジか。これからだったのにね」

カスミはハンドルを握ってそう言った。

「ジュナたちは?退役してから会ってる?」

後ろのアイリアたちを確認したカスミはグリードリヒを見てそう言った。

「元気だよ。すっかり老けたけどね」

グリードリヒはカスミを見て笑みながらそう言った。

「あの人たち、今何してるの?」

カスミはグリードリヒを見て笑みながらそう言った。

「ジュリアは一人劇の役者、カレンは歴史の先生、レイチェルは精神科医、オルガは飛行船の機長、キャロルはサラブレッドホース用の厩舎を経営してる」

「まぁ、だろうなって感じだね」

「なんか、私だけおいてかれたみたいでさ・・・少し寂しかったよ」

グリードリヒは外を見ながらそう言った。

「時の流れは残酷だよね」

後ろを確認したカスミはそう言いながらシートベルトを締めた。

「・・・そうだね」

グリードリヒはカスミを見て笑みながらそう言った。

次回三十二章 決戦の地へ

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