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二十四章 驚異の人口分散がもたらした影響

宿幼決戦から五年経った六月八日。

梨々香の知らせから東輝水の人口は急速に減った。

現在の人口は一億人を切っている。

道が空いて馬車が通れるようになったから馬車が運行を再開し始めてなんだか急にほのぼのし始めた。

店にも並ばなくて良いし、遠慮なく長居できる。

必要なくなった高層マンションは爆速で解体されて今はもう瓦礫も撤去されてすっきりしている。

各地の建設・解体業者はこの騒ぎで大儲けしていることだろう。

「そっちは人口が変わってないのかい?こっちは一億人切ったよ?」

携帯端末を持ったヒルデガルトはバルコニーから神里山を見て笑みながらそう言った。

「全然変わってないよ。移住者なんて一万人もいなかった」

ミッケは僕の話を聞いて少し驚いているようだ。

僕は馬車がまた走り出したことや高層マンションがなくなって神里山が見えるようになったことを話した。

ミッケは子供のように「いいな~いいな~」と言っていたよ。

僕は少し休憩し終えると、屋内に戻ってノートパソコンを開いて適当にインターネットに転がっている動画を見始めた。

神護国に残った者たちが物価の低下や土地価格の低下を嬉々として伝える内容ばかり。

この国内人口の減少はちょっとした祭りになっている。

動画も見終わって暇だし、ダイナと見回りに行こうかな。


師匠に連れられて東輝水を見回りすることになった。

しかしまぁ、事件も事故もなくメチャクチャ平和だ。

「土地の値段も下がってますね。四十坪五百リズですって」

ダイナは不動産屋に貼り出されている地価の情報を見て笑みながらそう言った。

「南煌炎は郊外でも四十坪四万リズらしいよ」

ヒルデガルトはダイナを見てそう言った。

「まぁ・・・人減ってない場所はそうですよね」

ダイナはヒルデガルトを見てそう言った。

町を歩き始めると、師匠は行列がない飲み屋を見て目を輝かせた。

「飲みに行こう!こんなにも平和なんだから!」

ヒルデガルトはダイナを見て笑みながらそう言うと、飲み屋まで走っていった。

「師匠~・・・」

ダイナは呆れながらヒルデガルトについていった。

「人減りましたね」

ダイナはヒルデガルトの隣に座りながらそう言った。

「これくらいが丁度良いよ」

煙管を持った店主はダイナを見てそう言った。

「燦水天狐族なのに珍しいですね」

ダイナは煙を吐く店主を見てそう言った。

「ロングイヤーフォックス族だよ。耳が長いだろう?」

煙管を持った店主はダイナを見てそう言った。

「え?あぁ・・・すみません・・・」

「燦水天狐族に紛れて生きてきた種族だから間違われてもそこまで気にしないよ」

「女将、ホタテフライとエビフライ、あとかにかま天。お酒はジンソーダ」

ヒルデガルトは店主を見て笑みながらそう言った。

「はいよ」

店主がそう言うと、店員たちが注文の品を用意し始めた。

「うちはホタテフライと生姜フライとアスパラフライとタケノコ天。お酒は焼酎ソーダ」

ダイナは店主を見て笑みながらそう言った。

「はいよ」

店主がそう言うと、店員たちが注文の品を用意し始めた。

「はい、乾杯」

お酒と料理が来ると乾杯をして飲み始めた。

師匠は一杯目のジンソーダを必ず飲み干してすぐにもう一杯注文する。

この神様、アルコール耐性が高すぎるんだよ。

「は~もうずっとこのままであってくれ~」

ヒルデガルトは幸せそうに言った。

「わかりますよ。久しぶりにのんびりできて・・・なんだか人間に戻った気分です」

ほろ酔い客1はヒルデガルトを見て笑みながらそう言った。

「ラーフィア戦が終わったら戻ってきちゃうんですかね」

ダイナはヒルデガルトを見てそう言った。

「まぁ、一気に戻ってくるだろうね」

ヒルデガルトはそう言うと、ジンソーダを飲んだ。

「何とかならないもんかね」

店主はヒルデガルトを見てそう言った。

「できることは御所に嘆願書を送り付けるくらいかな。まぁ、首を縦に振ることはないだろうけどね」

ヒルデガルトは店主を見て笑みながらそう言った。

「まぁ、やって損はないわな」

ほろ酔い客2は笑みながらそう言うと酒を飲んだ。

ラーフィアを倒してしまったら、もうこの生活は送れない。

また物価が上がり、土地の値段が上がり、高層マンションが乱立して閉塞感に包まれた生活に戻る。

そう考えると、あまりに辛い。


次回二十五章 死星災害

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