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十七章 南方の剣士は働き者

宿幼決戦から五年経った五月二十六日。

朝起きて縁側に出ると、先に起きていた北方剣士団の剣士たちが丸太の上でフラフラとしながらバランスを取る知らない人たちを見て驚いている。

これを見た私はたまらずミッケに声をかける。

「部外者は流石に・・・」

アイリアはミッケに駆け寄る。

「昨日南方剣士団に入りたいって志願して来た者たちだよ。人が足りないから全員採用した」

ミッケは澄んだ笑顔でそう言った。

驚きすぎて全身固まりそうだ。

「よし!掃除するぞ!」

ミッケは南方剣士団の剣士たちを見て大声でそう言った。


午前六時三十分。

南方組は一斉に掃除を始めた。

部屋、廊下、縁側、庭、石塀に至るまで全てピカピカにしていく。

訓練をしてなかった南方の老いた剣士はどこからともなく庭手入れ道具を持ってきて伸びっぱなしの庭木まで手入れを始めた。

「そんな道具あったの?」

アイリアは枝切りばさみを見てそう言った。

「こんな道具どこの剣士団にもありますぞ」

南方の老練剣士1は庭木を手入れしながらそう言った。

燦水大島(さんすいおおしま)に居た頃はこうやって点数稼ぎをしたものです」

南方の老練剣士1は笑いながらそう言った。

「燦水大島に居たの?」

アイリアは南方の老練剣士1を見てそう言った。

「えぇ」

南方の老練剣士1はアイリアを見て笑みながらそう言った。

「私は先々代の朝陽の勇者様が率いる防衛部隊の一員だったのです」

「それ・・・五百年以上前じゃない?」

アイリアは驚きながらそう言った。

「それくらい経ちますな」

「すごい戦いだったって聞いたことあるよ。よく生きて戻って来れたね」

「まぁ、私は前線ではなく後方で住民を避難させる役目を任せられておったのでね」

南方の老練剣士1は庭木を手入れしながらそう言った。

「それでもすごいよ」

「手入れの仕方は先々代の朝陽の勇者から教えてもらったの?」

アイリアは整えられていく庭木を見てそう言った。

「当時の波風衆(なみかぜしゅう)衆長(しゅうちょう)様に教わりました。賃金の代わりに陛下から授かった御剣(みつるぎ)を見せてもらったものです」

「ミツルギ?」

「陛下が直接鍛造なさった剣ですよ。サンフラワーと言う名前だと教えてもらいました」

「へぇ~綺麗だった?」

「えぇ、それはもう」

南方の老練剣士1はアイリアを見て笑みながらそう言った。

「そのサンフラワーってどこにあるの?今もどこかで見れる?」

アイリアは南方の老練剣士1を見て笑みながらそう言った。

「どこにあるんでしょうね~・・・宿幼決戦時に波風衆の集落から持ち出されたという記録が神軍から出されてから情報がありませんからね~・・・居住船にあるのか御所にあるのか、神護国内の神社にあるのか・・・」

南方の老練剣士1はそう言うと立ち上がった。

意外と面白い話ができた。

北方剣士団にもこういう者が一人、一柱くらい居てもいいかもしれない。


午前七時。

南方組剣士の掃除とトレーニングが終わると業務開始の号令が始まった。

「我らは勇者だ!我々は溢れる勇気で神護国に刃を向ける邪悪を成敗する!!」

ミッケは大声でそう言った。

「おぉぉぉぉ!!!!」

南方剣士団の剣士たちは拳を突き上げ、大声を出した。

「努力は裏切らない!努力を重ねてきた我々は必ずやこの国を守り抜ける!!」

「おぉぉぉぉ!!!!」

「解散!!」

ミッケが大声でそう言うと、南方剣士団の剣士たちが一斉に仕事を始めた。

「すごい気合いだね・・・それに、みんなすごい自信に満ち溢れてる」

アイリアは南方剣士団の剣士たちを見てそう言った。

「みんな、自信を持って胸張れるくらいには頑張ってきたからね」

ミッケは剣士たちを見て笑みながらそう言った。

「・・・自信・・・」

アイリアはミッケを見てそう言った。

「自信持ちなよ。弟子を取れるくらいには成長したんだからさ」

ミッケはそう言うと、前を見て歩みを進めた。

次回十八章 北方剣士団に迫る危機

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