十一章 謎の違法通信基地
午後十一時時頃、白翔率いる南煌炎事件調査隊が御所に調査記録を持って御所本邸に来た。
やはり、ラーフィアの痕跡が原因だったのだろう。
「生き残りはこれだけか」
白翔はミッケと南方剣士団の精鋭たちを見てそう言った。
「はい」
ミッケは白翔を見てそう言った。
「先日、南煌炎にて爆発事件が発生した。お前たちの耳にも入っていることだろう」
「はい」
ミッケたち南方組は白翔を見てそう言った。
「その規模は甚大であり、剣士団が全壊、周辺の住宅街からも多くの被害報告が上がっている」
「原因は?」
白梅は立ち上がり、鉄瓶に向かって歩きながらそう言った。
「調査の結果、気気滅却瓶に封じ込められたラーフィアの痕跡が原因であるという結論が出た」
白翔が鉄瓶の蓋を取り、尺でお湯を掬い、急須にお湯を入れる白梅を見てそう言うと、警察官たちが梨々香に写真を提出した。
「なるほど・・・」
梨々香は写真を見てため息交じりにそう言った。
「私の注意不足です。ただの痕跡だと思わず、もっと厳重に管理していれば・・・」
ミッケは梨々香たちを見てそう言った。
「この事件を教訓にして共に考えと体制を改めていきましょう」
梨々香は写真を見ながらそう言った。
「はい」
ミッケは梨々香を見てそう言った。
「事件のことはいつ公表する?色々な噂が飛び交っている以上、できるだけ早い方が良いと思うが」
白翔は梨々香を見てそう言った。
「近いうちに公表します。準備していたものが役に立ちそうだ」
梨々香は白翔を見て笑みながらそう言った。
白翔とミッケたち南方組は梨々香と白梅を見て頭の上に疑問符を浮かべた。
宿幼決戦から五年経った五月十六日。
南方剣士団爆発事件、通称南煌炎事件が南方剣士団の報道部から公表された。
しかし、報道が一向に見れない。
そして、検索にも引っかからない。
誰かが組織的に隠蔽工作を行っているようだ。
「シゼル、通信に問題が起きているようだ。ヴァンゼナを除く通信ネットワークのメンテナンスを行ってくれ」
携帯端末を持った梨々香はノートパソコンの画面を見てそう言った。
「わかりました」
携帯端末を持った青眼、白髪にツインテール。紫色の服を着て赤いスカートのようなショートパンツを履いた女性、シゼルはそう言うと緊急遮断信号を送り始めた。
全ての通信機器に緊急メンテナンスの知らせが入り、その五分後に全ての通信が遮断された。
「陛下、動いている通信基地があります。違法通信基地かもしれません」
シゼルは大量のモニターを見てそう言った。
「座標を寄こしてくれ」
梨々香がそう言うと、ノートパソコンに情報が届いた。
「一度切る」
梨々香はそう言うと、通話を切った。
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