表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

55/68

Chapter3-Section54 コロシアム

 

『RAVEN'Sレイブンズ CROWNクラウン』。三対三のファイトは世界トップクラスだと謳われているチーム。卓越したチームワークによる一糸乱れぬ電光石火の攻撃は、まるで軍隊化されたカラス達の強襲だと、世界大会でも恐れられているそうだ。


「化け物退治の前に……まずはカラス退治だなあ!」


 ラヴィは声を荒げた。

 戦場の舞台となるマップは『コッツウォルズ跡地』。廃れた街並みを飲み込んだ大自然と、近未来の建物が共存したアンバランスな風景が魅力なマップだ。小さな集落、大橋、森林、大型建築物、岩場、トンネル、など様々な地形が用意されることで、多くのキャラクターの固有スキルに活躍の場があるマップでもある。


 そんな戦場の遥か高みを飛ぶHopeホープ Shipシップと呼ばれる航空機から飛び出すと、『オービタル・シティ』と名付けられたランドマークに向かって落下していく。

 オービタル・シティは物資が豊富に拾えることに加え、他のランドマークが近くに存在しないため、初動の移動を敵チームと接敵することなく安全に行いやすい。だから最初の降下場所として強力であり、人気の場所となっている。しかしだからこそ、ランドマークの取り合いのために、初動ファイトが発生しやすい場所でもある。


 オービタル・シティにまばらに建つ六つの建物をRAVEN'Sレイブンズ CROWNクラウンと東西で分け合うように、それぞれ降下する。


「物資拾ったら、コロシアム集合ね」


 念を押すように、三雲は言う。

 このオービタル・シティでは度々初動ファイトが発生するが、どのチームが初動ファイトをしても毎回のように同じ展開になる。各々が武器を拾うと、街の中心の建物に集結し、ファイトが始まる。

 ファイトが頻繁に発生することと、円形状のその建物の見た目から、プロリーグ解説者の誰かがコロシアムと勝手に付けた呼び名がいつのまにか定着し、オービタル・シティ中央の建物はプレイヤーの間でコロシアムと呼ぶのが一般的になっている。


「俺はもういけるぜ?」

「俺も。カケルは?」

「うん。いける」


 俺は返事をしながら、コロシアムに向かっていった。

 コロシアムの東側から俺達が、西側から『RAVEN'Sレイブンズ CROWNクラウン』が中に入る。


 建物は一階と二階に別れ、一階では苔に覆われた柱が建物を支え、中心には噴水のオブジェクトが置かれている。東西の入り口付近には、それぞれの二階へと上がる階段がある。二階は中心の真円形の部屋を囲うように、外側にドーナツ状の通路がある。頭の砕けた男の石像が真ん中で直立している。


 同じタイミングで建物に入ったため、いきなり一階で戦闘になった。


 撃ち合いが始まった瞬間に分かった。

 これまで戦ってきた敵と違う。


「いま、回復中」


 大きくダメージを受けたから、柱の裏に隠れて体力を回復する。


「階段と右の柱にいるよ! もうひとりは分かんない!」

「噴水の裏だ!」


 三雲とラヴィが敵の位置を報告しあう。

 一階の真ん中にある噴水裏に敵がいるということは、初手から一階のエリアの半分まで敵に押し込まれたことになる。

 強気なプレイだ。強引に攻めても負けるわけがない。そんな想いが戦い方に滲み出ている。

 さすが世界5位。そのくらいの余裕を見せてくれないと面白くない……!


 強い敵と対峙すると胸が高まる。

 強い敵と戦うから楽しい。

 強い敵に勝利してこそ興奮する。

 ラヴィとタイマンして以来だ。ここまで気持ちが昂るのは……!


 世界5位のやつらと戦えるなんて。こんなに興奮することはない。胸の鼓動が早くなる。


 階段にいる敵と撃ち合い、今度は相手に大きくダメージを与えた。


 世界でも戦えることを、勝って証明してやろう、と俺の全細胞が震えてる。


「押し返そう! カバーして!」


 俺ならやれる。と血が叫んでいる。


 俺は柱の影から飛び出して、噴水の手前に滑り込んだ。これで相手と同様に、一階エリアの半分まで前線を押し上げた。状況としては五分になる。


 あとは攻めのきっかけをどちらが掴むかの――。


 スモークグレネードが飛んできた。

 噴水の周囲を煙が覆った。敵の姿が視認できなくなる。


「なにか仕掛けてくるよ……!」


 三雲が言い終わるよりも前に、ふたつ目のスモークグレネードが俺の後方で発煙して、煙をまき散らした。

 後方にいる三雲とラヴィの姿が煙に隠れた。それは、後方にいたふたりが、前線にいる俺のカバーを出来なくなることを意味する。

 つまり敵の狙いは、


「スモークでカケルのカバーが出来ねえ!」

「まずい……! カケル下がって!」


 前線でひとり孤立した俺だ。


 煙の中から、三人の敵の姿が同時に現れた。

 逃げる隙なんて何も無かった。あっという間に倒される。

 あとから三雲とラヴィが戦闘に加わるが、既に3対2となってしまった不利を覆すこともできず、敗けてしまった。


 今大会は全8試合ある。その1試合目は20位、最下位という最悪のスタートになった。


 一瞬で状況が一変した。そう思ったときにはやられていた。なにもできなかった。

 これが、esports大国、韓国最強チームであり、世界5位の実績を持つチーム。


『RAVEN'Sレイブンズ CROWNクラウン


おまけ

『RAVEN'Sレイブンズ CROWNクラウン』紹介

韓国のトップチーム。チームカラーは黒。チームロゴは王冠を被ったカラス。

日本・韓国チームが参加する北アジア地域のプロリーグでは最多の三度の優勝を果たしている。

長らくの間、プロリーグ(世界大会予選)での活躍に比べて、世界大会での成績は振るわないチームだったが、前回大会ではPicoピコの加入もあり躍進した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ