Chapter2-Section31 ふーん
「最近の『ご主人様』のSNSでの煽りはさらに過激になってきているよ。他のチームは公式大会で足を引っ張られたくなくて、彼らに何も言えないという状況が出来上がってしまったからね」
だからラヴィ。と三雲進は牽制するように睨む。
「たとえX(旧Twitter)で煽られたり嫌なことを言われても、絶対に我慢だ」
ラヴフィンは何も言い返さず、ただニンマリと笑うだけだった。
三雲進は大きな溜息をついて「こんな話するべきじゃなかった……」と後悔している。
『あともう1チームは?』
不穏な空気を的井翔琉の声が分断した。
「え?」
『3チームいるって言ってたじゃん。強いチーム』
「ああ……」
三雲進は咳払いをすると、気を取り直して話し始めた。
「『Obsidian』。これもプロリーグ降格組だね。入れ替え戦で一番の強敵になるのは間違いなくこのチームだ」
『そんなに強かったっけ? 前回のプロリーグはぱっとしなかったと思うけど』
「それは前回までのメンバーだからだ。今回の登録メンバーは変わっているんだよ」
『そうなんだ?』
「元々『Obsidian』でエース格だったjunjunはそのままに、残りの枠にあのAurevionからNaoharuが加わっている」
「Aurevionのナオハルだと!? 入れ替え戦にいていいやつじゃないだろ!」
ラヴフィンは声を荒げた。
「Aurevion?」
私が訊くと「日本で一番強いチームだよ」と三雲進は説明を加えた。なるほど。
「さすがのラヴィでも彼のことは知ってるか」
「ああ。欠員の代打でプロのスクリム(練習試合)にはよく参加するから知ってる。あいつの強さ、というかAurevionの3人の強さはな」
「ラヴィのいうとおり、本来入れ替え戦にくるような選手じゃない。でも彼は『Obsidian』に入るという選択をしたんだ」
「それはなぜか?」と三雲進は煽るように手元でくるりとペンを回した。
「三人目にユズが入るからだよ」
『ユズ? ユズってあの?』
嫌悪感を剥きだしにして的井翔琉は言う。ラヴフィンのカスタム試合で、いっときチームを組んだ仲とはいえ、あれだけ口論したのだから、わだかまりがまだ残っているのだろう。
「そう。ラヴフィン主催のカスタムで俺達と一緒に戦ってくれたユズ君」
『別にそんな強くなかったけど』
「ユズ君の凄いところは卓越したゲームセンスとその成長スピードだよ。あの時のカケルはそう思ったかもしれないけど、今戦ったらまた違う印象になるかもね」
『想像つかないけど』
「俺は想像つくよ? 近いうちに世界でも戦えるプレイヤーになっていても可笑しくない。それほどの才能だと思う」
『ふーん。あっそう……』
不服だということが、顔を見ずにも伝わってくる。
「とにかく!」
と無駄に大きな声がその場を引き締めた。
「警戒すべきはその3チームっていうことだな?」
ラヴフィンは精悍な青い瞳でホワイトボードを睨んだ。
「全部なぎ倒してやろうぜ!」
『そうだね』
「今回は口で言うほど簡単じゃないよ? 入れ替え戦まで残り一週間、みっちり練習しよう」
そしてミーティングは終わった。
入れ替え戦までの一週間が平穏に過ぎたかというとそうではない。なぜなら『ご主人様』がX(旧Twitter)でつぶやいた「ただの色物チーム」という煽りに対して、ラヴフィンが返答したからだ。
『かかってこいよ。真っ黒チーム』
まとめ
★チーム紹介 Aurevion
日本最強といえばこのチーム。日韓地域のプロリーグ優勝を幾度となく果たしており、その実力は本物。日本のNo1プレイヤーが所属している。
前回世界大会で決勝に残れなかったことを受けてメンバー構成を変える決断をした。Naoharuがチームを移籍したのはそのため。




