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Chapter1-Section25 どうなって欲しいの?

「あー! やっぱりやるねえ。つよつよだねえ。ラヴフィンのチームも……!」


 2試合連続のチャンピオンを取って喜んでいたのも束の間、次の五試合目にチャンピオンを取ったのはラヴフィンのチームだった。


「今回は3位の6キル……」


 全部で20チームいる中で3位は良い結果に思えるけど、彼らが越えなければいけないのはラヴフィンのチームだ。


「さっきの2連チャンピオンでポイント追いついたけど、五試合目を加味すると……」


 夏海はスマホの電卓アプリでポチポチと計算を始めた。


「ミクモンチームは78ポイント。そしてラヴフィンチームは93ポイント。また離されちゃったね。15ポイントも……!」

「残り一試合だよね……? ここから逆転するには……」

「チャンピオンはほぼ必須だろうね。あとはどれだけキル数を稼げるかだね」

「そっか……」


 最終的な勝敗が近づくにすれ胸のモヤモヤが広がっていくのを感じていた。勝ったとき、敗けたとき、私はどんな顔をしているのだろう。三雲進にどんな言葉をかけるのだろう。


「あのね。玲にもう一度聞きたいんだけど。意地悪だと思わずに答えて欲しいんだ」


 小動物のようなまん丸い目が私を覗いた。酔いが回っているのか頬は赤らんでいる。


「玲はどうなって欲しいの?」

「それは……」


 胸のモヤモヤの中から本心の言葉を探した。だけど本心なんてどこにも見つからなくて、あるのはただ、戸惑い揺れる得体の知れない感情だった。


「ここまで応援してたチームに……負けて欲しくはないよ」

「負けて欲しくはない……か」


 ふーん。と唇を尖らせたあとに、夏海は笑った。にっこりと、首を傾け、緑のショートボブを揺らして。


「いつか心から勝って欲しいと願えるような、そんなチームになれるといいねえ」


 打算も含みも無い無邪気な笑顔があまりにも眩しすぎた。


「見て見て!」


 夏海はモニターを指差す。三雲進がマップを開いた場面で画面を停止させていた。画面いっぱいに開かれたそれにはマップ全体の地形と自分達の位置、そしてなぜかマップ上に丸い円が表示されている。


「安地がかなり寄ってるよ!」

「アンチ?」

「安全地帯、略して安地。縮小されてくエリア内のことだよ! このゲームは戦えるエリアが時間経過と共に縮小されていくのはもちろん知ってるよね?」

「うん。それは知ってる」


 一度ゲームをやった時に知ったことだった。全滅した部隊が脱落していき、生き残り部隊が少なくなるほどに、広いエリアのままだと敵を探すだけでも大変で、膨大な時間がかかってしまう。そのため徐々にエリアを縮小させるのは、なんとも合理的なシステムだと感心したものだ。


「マップを見ればね、次のラウンドでどこまでが安地になるか確認できるの。マップに表示されたこの丸い円が縮小後のエリアってことだよ」


 それは知らなかった。


「で大事なのがここからになるんだけど。このインパーフェクトってゲームは運に左右される要素もあるって言ったよね。この安地こそがその最たる例なのだ!」

「どういうこと?」

「このゲームはスタート時に安地が近いチームほど有利とされているんだよ。安地内にある強いポジションを先取りできるからね。例えば守り易い家だったり、高い塔の上だったり。スタート時に安地から遠かったチームはそういったポジションは取れないから高順位を取る難易度は跳ね上がるのだ!」


 赤ん坊のように、彼女の頬は更に赤らんでいく。その声にはどんどんと熱がこもる。


「20チームが広大なマップに散り散りに降りて、安地がどこに寄るかは試合毎に変わる完全ランダム。潔いほどの運要素。故に否定的な意見もあるけど、このシステムが多くのドラマを生んできたのもまた事実……!」


 夏海はニヤリと笑い、問いかけた。


「分かるう? 玲」


 モニターに視線を戻すと、マップに表示された円の丁度真ん中に彼らはいた。


「勝利の女神は玲のチームに微笑んでるよ!」


おまけ

夏海「アリスー! テレス―! おいでえ!」

レイ(猫に無視されてる……)

夏海「来ないなら捕まえちゃうぞお!」

レイ(酔って猫にダル絡みし出した……)

夏海「いつもいつも可愛いねえ! モフモフだねえ! 肉球も触っちゃうぞお?」

レイ(そしていつものことなのか猫ちゃん達も無抵抗で受け入れている……)

夏海「キャー! ぷにぷにだあ!」

レイ(私も触りたい!)

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