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Chapter1-Section15 決着

 

 強い敵と対峙すると胸が高まる。

 強い敵と戦うから楽しい。

 強い敵に勝利してこそ興奮する。


 相手が強ければ強いほど、それらの感情は高ぶっていく。


 知ってはいたけど、ラヴフィンは恐ろしく強い。特に至近距離で撃ち合ったときのエイム力は化け物だ。当初の目的だとか、俺の今後だとかはもうどうでもいい。今はこの化け物をどう倒すかだけを考えろ。考えろ……。


 ああ……。この瞬間が一番……楽しい……!


「早く次やろう!」

「カケル君! 君ってやつは最高に最高だよ!」


 楽しい! ずっと戦っていたい!


「特別ルール追加してやる! この一本で君が勝てば俺は君のチームに入ろう! そっちの方が絶対に面白い!」

「そんなのもうどうでもいい!』

「意味わかんねーよ! 最高だ!』


 5試合目が始まると、またさっきまでと同じ展開になった。おれが納屋の側面に隠れて回復をしたタイミングをラヴフィンは絶対に逃さない。納屋の屋根上に登られた。

 ここまでは仕方ない。不意打ちが通じなくなった以上、けっきょくは至近距離の撃ち合いで勝てるかが全てだ。困るのは屋根上に敵がいるという不利な状況を押し付けられていること。

 今までの様に何も出来ず相手のアクションを待つだけでは、相手の望むタイミングで撃ち合いになってしまう。こっちのエイムが上振れば勝てる可能性もあるけど、勝算は高くない。


 だからここで攻める!


 素直に屋根上に登ろうとすれば、隙だらけの登りモーションのせいでただの的だ。だったら登らずにピーク(※遮蔽物等から少しだけ顔や体を出して敵を覗くこと)すればいい。

 回復音から敵の場所はあらかた推測できている。そこに壁ジャンで飛び跳ねてピークして、ショットガンを撃った。

 納屋の側面をぐるりと回り、別の場所から壁ジャンでピークしてショットガンを撃つ。致命的なダメージにはなっていないが、着実に体力を削れている。


 しかしあのラヴフィンがこのままやられっぱなしのわけがない。三度目の壁ジャンからのピークを狙われた。俺とラヴフィンはショットガンを一発撃ち合い、お互いダメージを受けた。

 ほんの一瞬だけ、わずかにしか顔を出してないのに、その瞬間を逃さないのか! やるじゃん……! 

 でもこっちの与えたダメージの方が大きい。やつは瀕死だ。ショットガンがかすりでもすれば俺の勝ち。回復する隙なんて与えない。攻め一択!

 もう一度壁ジャンでピークした。屋根上にラヴフィンの姿はなかった。


 屋根上にいない? ということは回復するために屋根から降りたのか。だったら今の隙に屋根上をとって主導権を握る。

 屋根上に登り、敵の位置を探るために回復音か足音が聴こえないか耳を澄ました。音は聴こえない。身を隠して急襲を狙うつもりか?

 銃声が右から鳴った。ラヴフィンは納屋から離れた岩のオブジェクトの遮蔽から顔を出し、こちらを狙っていた。


 やられた! 俺が屋根に登っているあいだにあんなとこまで移動していたのか……! これは確実に大ダメージになる。すぐに屋根から降りて射線を切らないと……。


 ちがう……! それだと振り出しに戻るだけだ。ラヴフィンは回復する時間を移動に割いたんだ。まだ体力は少ないはず。この一瞬に勝ち切る選択を取るならば……。


 ここでしとめる! 


 キャラコンでなるべく弾を避けつつ銃口をやつに向け、撃った。ラヴフィンはタイミングよく岩のオブジェクトのうしろに隠れ、弾は外れた。

 この撃ち合いで俺の方も体力はほとんど無くなってしまった。お互い瀕死の体力。さきに一発でも弾を当てた方が勝ち。屋根から飛び降りて、銃を構えながら岩のオブジェクトに向かって一直線に走った。回復をする時間なんて与えてたまるか……!

 瞬発力ならば負けない! 顔を出してみろ。その瞬間を絶対に逃さない。

 どんなに近づいてもラヴフィンは出てこなかった。岩裏で迎え撃つつもりのようだ。


 上等! ここで決めよう!

 岩裏にピークした。ラヴフィンがそこにいないことに気付く。


 いない……? どこに……? 地面に、影……!


 うしろを振り返ると同時に銃を撃った。それはラヴフィンが銃を撃ったのとほぼ同時だった。

 それはほんのわずかの差でしかなかった。が、一瞬だけおそかった。


 おれは負けた。


おまけ

一方タイマン観戦中の二人は・・・

レイ「ぁ……!」

三雲「……」

レイ「ぇ……!?」

三雲「……」

レイ「……」

三雲(熱中して声出ちゃってるのかわいいなあ)


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