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007

はるとちいと俺らの家族になってから、かなり月日が経った。

ちいは、もともとサバサバした性格なのか、ZWEITEのメンバーと仲良くやっているらしい。


はるはといえば、懐いてきてるとはいえまだまだ。

あの時から、彼女の時間が止まってるとはいえ、もう少し甘えてもいいのに。

あの頃は、一番甘えたい盛りだったろうにと思わずにはいられない。


ある日、事件が起こった。

「はる?キョロキョロしてるけど迷子になるなよ?(笑)」


『うん』

すべての物に、興味があるのか興味津々に見ている。

あるPVの撮影に連れていった時だった。


この日も遅くまで撮影があって、終わったのは日付が変わる頃だった。

ウロウロするから、ちゃんとここにいてって言ったのに、響が急いで行ってもはるはいなかった。


「はる?はるー?」


「どした?」


「はるがいないんです。ここにいるように言ったのに。」


「えっ?」


「俺、ちょっと探してきます。」


「俺も探すっ」

あちこち、探した。

スタジオ内探してもどこにもいなかった。


「はぁ、はぁっ。どこ行ったんだよ」


もしかして、外?

でも知らない土地でそんなことする?


「響、見つかった?」


「いえ」


「もしかして、外に出ちゃった?」

すると、響の携帯が鳴った。


「はい」

澪からだった。


「えっ、いた?分かった。すぐ行くっ」

走って、すぐはるの元へ行った。


郁さんと枢さんもついて来たそこは駐車場だった。

スタジオ内にいると思ってたから、気がつかなかった。


「スタジオいくら探してもいなくて、何気なく外探してみたらいました(笑)」

駐車場にあるベンチに二人で座っていた。


響は、はるのそばに行った。

次にとった行動に3人は驚いた。


パーンっと、音がしたんだ。


一瞬、郁らは何が起こったか分からなかった。

「響?」

何をやってるんだと、そばに行こうとすると


「枢、ちょっと待って」

って、小声で静止した。


響は、はるの目線と同じにしてはるの前にしゃがんだ。

「はる。俺は言ったよね?一人だけど、ちゃんと待っててねって。」


『・・・』


「連れてきておいて、一人にさせて寂しくさせてしまってることも分かってる。だけど、寂しい時はちゃんと言おう?自分の殻に閉じこもらないで?全部受け止めるから。みんなも受け止めてくれるから。」


『ごめんなさい』

そう言って、響に近づいた。


響は、はるを抱きしめた。

その瞬間、はる声をだして泣き出した。

今まで、泣いた所も見たことなかった。

初めて自分の感情も出したそんな時だった。



ようやく泣き止んだ頃

「ごめんね。痛かったよね。冷やそ」

そういって、二人でスタジオに戻っていった。


3人も、後からついてスタジオに戻る。

「まさか、響があんなことするとはな。」


「でも、ずっと言ってましたよ。まだ、俺にもちゃんと心開いてくれてないんだって」


「そっか」



それから、徐々にはるは懐いていったんだ。



もう、自分は誰からも愛されない。

はるがそう思ってから、長い年月が経った。

あの頃から、自分の時間が止まってしまった。

辛くて辛くて耐え切れなくて、人格崩壊寸前だった。


気がつくと、もう一人の人格が現れていた。

いつの頃から、現れたか誰も分からない。

しかし、はるを助ける為に現れたもう一人の人物は、はるの姉だった。


姉の名前は、ちい。

ちいが現れなければ、今のはるは存在しないのだ。

彼女は既に亡くなっていた。

自分の肉親であるから、誰にも被害を与えるわけでもない。

だから施設側は、特に態度を変えるわけでもなく、むしろ助かっていたのだ。


はるが、心を開いてくれることは少ない。

しかし、ちいがいることによって緩和されてるのだ。

しばらくして、響と蓮が会うきっかけとなるあの事件が起こった。


★★


「ちい~?ちいったら。」


≪えっ?≫

呼ばれたことに気がついて、顔を上げると凱斗がいた。


「やっと気づいた(笑)ちい、何してるの?」


≪今日、みんながやってたこと書いてるんだよ。≫


「何々?」


≪凱斗くんが失敗した所いっぱい書いた(笑)≫


「えっ?俺何か間違えてた?」


≪(笑)嘘だよ≫


「なんだ。びっくりした。」


≪でも、こうやって書いてると上手くなってるのが分かるよ。私は、ダンスのこと詳しくは分からないけど、今まで出来なかったことが出来たりしてるし≫


「そうなんだ。よく見てくれてるってことだよね(´▽`)」


≪そりゃ、いさせてもらってるんだもん。色々観察してますよ?≫


「俄然、やる気がでてきた!」


≪ふふっ。期待してるよ。≫


「ちい~」


≪はーい。ごめんね。みんな、またねっ≫


悠眞と凱斗と別れを告げ、蓮の所へ行った。


「やっぱり、蓮のとこに行っちゃうんだよね」


「仕方ないよ(苦笑)でも、こうやって話が出来るようになってきたんだし。いいじゃん。」


「そうだな」


「個人的に、一緒いたいと思っても難しいもんね。蓮がいてくれないと何かあった時に困るし(苦笑)」


「だな。こればかりはなぁ。」


すると蒼穹が

「また明日ねって、言ってもらえないのがさみしいっす」


「それ言ったら、ちいが困るだけだもんね。」


「またご飯とか、誘いましょうよ。遊びにも行きたいな」


「そうだな。今度、蓮に言っとくよ。」

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