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たまには、ERSTEメンバーにも会いに行くか・・・ちゃんと会えればいいけど。
ある日、俺は昼から仕事がなかったから、ERSTEメンバーの所へちいを連れていった。
俺は、いつもなら置いていくけど、もうそれは出来なかった。
事情はもう知ってるから、いさせてもらった。
メンバーも、もう無茶はしなくなってた(苦笑)
でも、普通に接してくれてたんだ。
「ちい。また、なんか料理作ってくれない?」
≪なんで???≫
「俺も食いたい~」
≪???≫
「俺との合作でもいいっすか?(笑)」
助け舟をだした。
最近はもう駄目なんだよね。
「蓮君」
俺は、ちいには見えないように黙ってってポーズをした。
「ちい、今度皆にお弁当作って持って来ようぜ」
≪うん≫
「楽しみにしてるよ」
枢さん達も、気づいたのかそれ以上は言わなかった。
蓮達が帰った後
「なぁ、響。ちいって」
「多分ひとりじゃ、もう料理は出来ないのかもしれないですね。」
「そっか。」
「蓮君が、メンバーの名前忘れてないだけ良かったって言ってました(苦笑)」
「もう、蓮さんがそばにいないと何も出来ないのかな。」
みんな、沈黙してしまった。
「蓮君には、言ってないけど。ちいが言ってました。」
「なんて?」
「多分、意識がはっきりしてた時だと思うんですけど。皆に迷惑かけてないかしきりに気にしてて。」
「うん」
「大丈夫って、言ったんだけどすごく不安みたいで。俺は抱きしめてやることぐらいしか出来なかった。」
「あんなん迷惑って言わないのにな。やっぱり気にしちゃうんだろうね。」
「歌とかで元気になってくれたらいいのに」
「それいいね。今度見せようよ。ZWEITEも呼んでさ。」
★★
「ちい~今日は、スタジオに行こう♪」
≪うん?≫
「見せたいものがあるんだ。だからいこっ?」
≪うんっ≫
最近、ちいが元気がない。
だから、みんなでなんとかしなきゃって、提案してくれたんだ。
これで、ちいが元気になってくれればいいんだけど、俺はかなり不安だった。
こういう時の不安は、的中するんだ(苦笑)
「ちいちゃん。いらっしゃい」
最近は、人と接するのも怖くなってきたのか俺のそばから離れない(苦笑)
時には後ろに隠れたりする。
まぁ、なんとかやってる。
あれ以降、ずっと一緒にいて良かったのかも。
もし、家にいる時間が増えてたらどうなってたか分からない。
≪こんにちわ≫
「ちいちゃん。おいで?」
≪なーに?≫
「ここ座って?」
ちいが、座ると澪君がヘアメイクし始めた。
嬉しいのかおとなしくしてる。
「はいっ。出来たよ♪」
≪ありがとっ≫
そういって、ぎゅーってする。
≪蓮くん。やってもらった♪≫
「良かったな(笑)」
そんな姿を見ると、メンバーも自然と笑みがこぼれた。
「ちい?かっこいいの見せてやるから、ちゃんと見てろよ?」
≪うん≫
何曲か、見せた。
目をキラキラさせて見てた。
だから、俺達はこういうのは憶えてるんだって嬉しくなった。
≪かっこ良かった~≫
「やったっ」
≪初めて見たけど、かっこ良かった。≫
にこにこしながら言った。
【えっ?】
≪ん?≫
「はじめて?」
≪うん。初めて見たよ?≫
「ちい」
≪でも、なんか見たことある気もする≫
そう言うと、何か考え込んでしまった。
「ちい?」
≪でも、思い出せない≫
「俺達もまだまだなんだな(笑)ちいに覚えてもらうように頑張るよ」
ERSTE同様、ZWEITEも同じだった。
何か思い出しかけるみたいだけど、結局思い出せない感じ。
「まさか、あんな感じになるとは思わなかったな。さすがに、きついな(苦笑)」
「そうですね。きっと、心の奥深くでは記憶にあると思うんだけど。思い出せない感じなのかな」
「(蓮君は、毎日あんな感じなんだよねきっと。俺にあそこまで出来るか正直自信無いな)」
蓮は、ちいと一緒に帰っていた。
「ちい。今日はどうだった?」
≪色々楽しかった。また見たいな~≫
「良かった。今度はまた違うの見せるよ。枢さん達にもお願いしとく」
≪うんっ≫
蓮は思ってた。
きっと今頃、俺と同じ気持ちを味わってるかもしれないと。
さすがに、今回のことは予測出来なかった。
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