016
しばらくして、響は蓮を見かけたので声をかけた。
「蓮くん」
「響・・・久しぶり。」
「あのさ、今日空いてる?」
「えっと・・・うん。空いてるかな。ちいは今日は戻る日だから、送ったら時間はあるけど。」
「じゃぁ・・・郁さんもいるけど、飯食いに行かない?」
「もしかして、ちいのこと?」
「ま、まぁ・・・そうだね。」
「俺も、響に相談したいことがある。郁さんに言っていいものか分からないんだけど。」
「じゃぁ、その前にちょっと話する?それぐらいは時間はあると思うから」
「分かった。」
そう言って別れた。
蓮は、響も一応知ってることだったがメンバーに言うべきか悩んでいた。
いつかは、分かってしまうことだったけど言えずにいた。
「じゃぁ、また明日な。」
≪うん。蓮くんありがと。あ・・・≫
「ん?どした?」
≪あのさ。はるの方見てくれてるメンバーって、どんな人達?≫
「急にどうした?」
≪何かさ・・・はるの中で、色々変わってきてるみたい。はっきりは分かんないんだけどね(苦笑)≫
「響達に会ってみる?」
≪会ってみたい気もする。でも、拒絶しちゃったらって思うと怖いんだ≫
「大丈夫。きっと受け止めてくれるよ。実は今日、響と他のメンバーとも会うんだ。聞いてみるよ。」
≪うん・・・≫
「心配するな(笑)俺もいるし。」
≪そだね。≫
そういって、俺は響と待ち合わせしてる場所に行った。
その前に、あの写真屋さんに寄った。
「出来ましたよ。写真はこんな感じです。」
そう言って見せてくれた。
「色々、わがまま言ってすみませんでした。」
「いえいえ、彰くんにいつも来てもらってるからね(笑)」
「そんなに常連なんすか?(笑)」
「色々相談しに来るんですよ」
「なるほど。これ・・・全員分出来ますか?」
「もちろん。お揃いの色にも出来ますし、バラバラでもいいですよ」
「じゃぁ、バラバラの色にします。色はちょっと待ってもらえますか?」
「はい。今週中に連絡いただければ。」
「じゃぁ、また来ます。色々こだわりたいんで(笑)」
そう言って、また今度行くことにした。
響との待ち合わせ場所に行ったが、まだ来てなかった。
はるの誕生日は、たしかもうすぐだ。
タイムリミット・・・いやカウントダウンが始まってしまう。
そう思い悩んでいると響が来た。
「遅れてごめん」
「大丈夫。俺もついさっき来たし」
「郁さんとは、1時間後ぐらいに会うから。」
「分かった。で?今日はなんで俺誘われたの??」
「ちいがどんな娘か知りたいって。きっと、俺が知ってるちいは、違うと思うんだ(笑)」
「まぁ、ほとんど会わないしな」
「それもあるけど・・・」
なんか歯切れが悪い。
「何?」
「会ってても、ちいとしてどうしても見れないんだ(笑)」
「なんで?」
「はるを重ねてしまうからさ・・・」
「それ分かる(笑)」
「蓮くんも?」
「俺も、ちいと一緒にいる時間が長いからかな(苦笑)」
お互いに、それ以上の思いがあると気づいたが言わなかった(苦笑)
「で、相談って?」
「あ・・・あぁ。」
しばらく、沈黙が続いた。
「蓮くん?」
「あ、悪い・・・ちいのことだよ。」
「・・・もしかして、あのコト?」
うんと言ってしまえば、それを認めてしまうことになるんじゃないかと思って・・・言えなかった。
首は、縦にふったが
「まだ・・・みんなに言ってないの?」
「言ってない。っていうか、言えない・・・・。俺の口からはとてもじゃなく言えない・・・・」
そのまま黙ってしまった。
「だよね・・・・だって。ごめん」
俺も、気軽に言っちゃいけないと思ってやめた。
「いや、事実は変わらないから・・・でも、まだ考えたくない。」
「うん」
「この話って」
「誰も知らないよ。俺も・・・誰にも相談出来ない。メンバーは、はるしか知らないしね」
「だよな(苦笑)じゃぁ、今日はその話するのやめようかな。」
「悪い・・・」
「踏ん切り付いたらメンバーに話すよ。その時は、響もいてくれない?」
「もちろん。俺で良ければ^^」
「ありがとう。そろそろ、行くか」
「そだね。」
ようやく、郁さんと合流した。
予約していたお店にはもう来ていた。




