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最強術師(美少女)が俺の弟子になりたいらしいんだが  作者: 甘空
2章 たとえあなたが見ていなくとも
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37話 三年越しの魔法講座

お待たせしまして申し訳ない


 ……どうしてこうなった。


 今俺の目の前では、どう見ても20代後半にしか見えない今年40だという男性と、栞によく似た、けれど少し栞よりは柔らかな印象のある女性と、こちらも栞によく似ているが、栞より……その、色々と発達した大学生ぐらいの女性が、横並びになって一斉に土下座をしている。

 ……え、なにこれ。マジで俺なんかした?また僕何かやっちゃいました?

 この光景には俺も絶句するしかなく、半ば現実逃避気味にこれまでの経緯を思い出していた。








 歴史のありそうな大きなお屋敷。その一角にあるかなりの広さの庭で、俺は高校指定のジャージを着ながら栞と二人でいた。ここは栞の実家。水無月家の本家だ。

 週末に栞と魔術についての特訓をするということになったのだが、さすがに公園とかで魔法を使うわけにもいかず、どこでやろうとなった時に栞が「うちの実家でやりましょうか」と提案してきたので、ありがたくその提案に乗ったのだ。


 水無月家は魔術の名家だというのは知っていたのだが、まさかここまで大きいとは思っていなかった。俺がこんなとこに入っていいのかビクビクしたせいで、その俺の様子を栞にクスクスと笑われて恥ずかしい思いをしたのは秘密だ。


「まあ、始めるぞー」

「はい!師匠!」


 ……。

 俺が栞のほうを見ればニマニマと栞は笑っている。くそ、からかってるなコイツ。


「その呼び方やめない?」

「なんでかしら?師匠は師匠でしょ?ね、師匠」


 絶対分かって言ってるな。だいたい、昔に俺が一週間だけ師匠のまねごとをした時にはそんな呼び方をしていなかったはずだ。……ん?呼び方?


「そういえばさ、栞はなんで俺の事を苗字で呼んでるんだ?昔は普通に名前呼びだっただろ」

「はうっ!?」


 ん?なんだこいつ。急に顔を真っ赤にしてプルプルと震え出したぞ。


「べ、別にちがうのよ?下の名前で呼ぶのが恥ずかしくてとかそういう訳じゃなくて、その、そう!あの時は修介さんがいたから紛らわしいかと思って名前で呼んでただけで……」

「お、おう?」

「あ、でも!名前で呼びたくないとかそういう訳じゃないのよ?ただ、今下の名前で呼ぶのはその……うん。それはそのね?」

「じゃ、じゃあ名前で呼べばいいんじゃないか?」

「そ、そうね。そうするわ」


 栞は顔を赤くしたままこちらを鋭くにらみつけてきた。いや、怖い怖い怖い!そんな鋭い目線で見つめられると怖いよ!


「い……」

「い?」

「いおり君……」


 栞の顔がさらに赤くなっている。俺の頬も気のせいか熱い気がする。いやきっと気のせいだな。今がまだ朝で普段なら涼しい時間帯だけど、今日だけは特別熱いだけに違いない。決して照れてる訳ではない。


「は、はい!無駄話はここまでにして早く魔術の訓練をやってくれないかしら?」

「お、おう。そうだな、時間は有限だからな」


 栞が誤魔化そうと無理矢理話を変えてきているのを分かりながらも、触れないでおいてやる。断じて俺も恥ずかしかったからとかそんな理由ではない。


「さて、やろうと思うけど、栞って今初級魔法しか使えないんだっけ?」


 栞は少し申し訳なさそうにしている。


「最強の術師なんて呼ばれながら恥ずかしい限りなのだけど、その通りね。魔力のゴリ押しで今までは何とかしてきていたのだけど……」

「ああ、この前治療してくれた時も初級魔法で回復してたな」


 あの時、栞が使っていた術式が俺の使っている術式に酷似していたからすごく驚いたのを今でも覚えている。今思えば、俺が教えた術式なんだから当然だったんだが。


「んじゃあまあ、中級以降の魔法を栞に教えておこうと思うんだけどさ、教える前に一つだけ言っておきたいことがあってさ」


 そこまで言って俺は手のひらに魔力を集中させる。


「【ファイアーストーム】」

「えっ!?」


 栞が驚きの声を上げた。それもそうだろう、俺が使ったのは炎の上級魔法。こんなところで使えば大変な被害の出るような代物だ。……本来ならば、だが。

 発動したのは30センチぐらいの大きさの炎の渦だった。それが俺の掌の上で回り続けている。ただし、炎の色が本来の煌々と輝く鮮やかなオレンジではなく、青い色をしていた。


「えっと……?ごめんなさい、何をやってるのかしら」

「栞に辿り着いてほしいことだよ。これ(・・)ができるのとできないとでは実力に天と地の差がでるから」


 魔法ってのは本来自由なものだ。初級、中級、上級というくくりだって結局は昔の人たちが決めてきたくくりに過ぎなく、それしかできないという訳では決してない。究極を言えば魔力さえ足りていればどんな事象でも引き起こせるのが魔法というものなのだ。


 そのことを栞に話し、だけど、と人差し指を立てて続ける。


「そのためには最低限の技量が必要だ。そのための実力を得るために初級、中級、上級という定められた魔法があるんだ。上級まですべての魔法を使えるようになれば、魔法を使うのに必要な技術はすべてと言っていいほどつくからな」

「えっと……つまり?」

「上級までの魔法は、いわばチュートリアル(・・・・・・・)みたいなものだってこと。全部使えなきゃ話にならないぞってことだ。と言っても今の栞なら中級と上級の簡単なのならそんなに時間はかからないと思うぞ」


 この話は栞にとって結構な衝撃だったらしく、何かブツブツとつぶやいている。


「そんな……上級魔法一つに人生をかける術師だっているのに」


 どこか気落ちした風の栞に俺は明るい声を出す。


「まあ、そんな音を言ったけど別にそこまで難しいことでもないから一月でどうにか全部使えるように教えるよ」

「わ、分かったわ。お手柔らかにね」


 そう言いこちらを見る栞はとんでもない破壊力の笑顔をこちらに向けてきた。




 ……俺は不純なことを考えないように頑張ろう。

 魔法を教えることより、そちらのほうが俺にとっては難題だった。

 そういえば、水無月さん主人公より弱くね?と友人に聞かれました。(そんなことは)ないです。その気になれば水無月さんvs世界でもトリプルスコア以上で圧勝します。

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 特に感想。これ貰えればどこまでも頑張れるので……。


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