35話 加速する日常
ネット小説大賞1次審査突破してたので思わず更新しました……。
まだしばらくご無沙汰いたすつもりだったのに笑笑
「桐原さ、いい加減聞いてもいいか?」
「え、ダメだけど」
クラスメイトの檜山が、何か周りを窺うような小さな声で俺の話しかけてきたことに、嫌な予感を覚える。
「水無月さんと、お前ってさどんな関係?」
「ダメだって言ってんだろ、話聞けよ……」
どうやら、このクラス一の人気者には俺の返答など聞こえていないらしい。
しかも、またこの質問かよ……。
今週だけで幾度となく聞かれた質問にうんざりして溜め息をつく。
「何度も言ってるだろうが……お前らと変わらない、ただのクラスメイトだって」
「その言葉が通じると本気で思ってるのか?」
呆れたように檜山が言う。
……はい、思ってないです。
なぜ、大して目立たないクラスメイトという程度の立ち位置の俺が、こんな風に問いただされているかと言うと、全部あいつのせいだ。
栞がうちの高校に編入してくるとなった時には、そりゃもう、学年中が男女問わず盛り上がった。なんせ公立高校には珍しい編入性。しかもとんでもない美少女と来たのだ。一時期の男子の盛り上がり方は、端的に言ってとても気持ちが悪かった。
……だが、だがだ。まあ、そこまでは俺も想定内だったのだ。そりゃそうなるだろうというのは分かっていた。
なので、栞にはあらかじめ言っておいたのだ。不自然になるから学校では必要以上に関わるな、と。それを言った時の栞はものすごく不満そうな表情をしていたが、交渉の末に毎週の土日に用事がない限り一緒に過ごし、魔術の特訓をするという条件のもと許可をもらった。筈だったのだ。
ガバが発生したのは栞が編入してからすぐのことだった。
発端は日直の日誌を先生から栞が、俺に渡すように頼まれれのところへと持ってきたことだった。
「桐原君、はい。日直の日誌。先生から頼まれたから」
と、栞が俺に渡してきたのだが、これがまずかった。
それを見ていたクラスメイト……というか若林がいつものクラス中に響く声で言いやがったのだ。
「おお!?水無月さんが敬語なしでしゃべってる!?」
言われるまで俺も忘れていた。栞は心を許した人以外に自分の素を見られるのを嫌う。だから基本的に他人に対しては取り繕った敬語で喋るし、おしとやかでクールな少女のキャラを演じる。
けど、俺としてはもう栞が素で話している方に、完全に慣れてしまっていて完全にそんなこと忘れてしまっていた。
そしてとどめとなったのはこの後の栞の言葉だ。
若林が栞に対して、「俺も敬語で呼ばれるのは慣れないし、桐原に話すみたいに話してくれよ」と持ち前の馴れ馴れしさを全力で放ったところ栞は、
「ごめんなさい。ですが、桐原君は『特別』ですから」
なんて意味深な発言をしたせいで、俺の平穏な生活は終わりを告げた。それを聞いた片山はガタっと椅子を倒して呆然とした顔で俺を見つめてくるし、クラスの男子どもと言えばそれから毎日俺に真相を問いただそうとしたり、よくわからん宣戦布告をされたり、下駄箱に呪いの手紙が入っていたり……。(呪いの手紙はガチで効果のあるものだった)
本当に勘弁して欲しい。
「はぁ……まあいいけどさ、桐原気をつけろよ?」
俺が遠い目をしていると、呆れたような顔で檜山は言う。
「この前二人きりで映画に行ってたくらいなんだし、それなりに二人は仲がいいんだろうけどさ」
そういえば檜山にはこの前の、栞と映画を観に行った時のことを目撃されてたんだったな。
「あんまり知られると本気で狙われかねないからさ」
「あー……分かってるよ」
そりゃ、今も男子の嫉妬の目線がやばいからなあ。俺は頭を搔きながらそう答えると檜山は苦笑して「分かってないと思うけどなぁ」と言ってきた。だから分かってるって。
「作品乗ってるかな〜」的なノリで見たら載ってた。ビビりました。
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