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30話 失われた日の

生きてるよーーーーーー!!!!

すみません鬼忙しくてくそ遅れました。


それと今回大分長いです。

 ……何が起こった。

 どうして、祖父の家であんな爆発が起きた。


 呆然としている僕の背中を栞が叩く。


「っ……」

「とりあえず、行きましょう伊織君」


 そうだ。こんな所で呆然としている場合じゃない。とにかく凛や、祖父の安否をすぐに確認しないと。正気を取り戻させてくれた栞には感謝をして強化魔法を使用しダッシュする。


「……くそっ無事でいてくれよ」


 凛と関係があまりうまくいっていないからと言って嫌いなわけではないし、ましてや死んでほしいなんて思うわけがない。あいつは僕の唯一の大事な妹だから。



 祖父の家の前の曲がり角を曲がり、家が見える。


「ぐぁ!?」「きゃっ!?」


 そこで何かに阻まれるように僕と栞は透明な何かにぶつかり、二人してこけた。


「なんですか、これ」

「結界だ!今の手持ちじゃこれを壊す手段はないぞ!?」


 それを聞いた栞が結界の前に立ち――ゆっくりと手を触れた。


「コントロールができないから触れたものにしか発動できないんですけどね。『怠惰』」


 栞が権能を発動した瞬間に結界は粉々に砕け散った。

 ……これが、「怠惰」か。あまりにもふざけた能力だ。


 「さあ、行きましょう。」


 水無月に促され、走ってそのまま爆発した場所へとに向かう。



 祖父の家は酷い有様だった。もともとかなり立派だった家も、中庭も丸ごと吹き飛んで燃えている。


 何が、起こったんだ……。


 辺りを見回していると、倒れている人影が見えた。

 それを見た瞬間、息が止まりそうになった。倒れていたのは、凜だった。


「凜!」


 慌てて駆け寄る。

 呼吸や怪我等も確認したが、幸いにも目立った外傷もなく擦り傷と軽い火傷をしたぐらいのようだった。


 安心しながらも傷が残るといけないので、一応回復魔法を凛にかけながら周囲を見渡す。


「伊織……?き、来てくれたか」


 すると、物陰から人が出てきた。一瞬警戒したものの、出てきたのは祖父の姿だった。


「じいちゃん!?大丈夫!?」


 全身を確認するが怪我をしている様子はない。服に汚れもなく、無事であることがよく分かる。

 ……よかった。こんな大爆発が起きたからもしかしたら、と心の中では少しだけ思ってしまっていたのだが、二人とも無事のようだ。


「伊織こそ大丈夫だったか。ここを攻撃してきた術師にあわなんだか」


 ここに来るまでの道が結界で塞がれていたことを考えると、これは完全に術師によって引き起こされたものの筈だ。つまりはこの近くにいるだろうから、会わなくて本当に良かった。会っていたら凛と、権能持ちとはいえまだまだ未熟な栞を守りながら戦うのは不可能に近かっただろうから。



 ………………本当に、そうか?

 僕は今までここに来る途中で術師に合わないなんてことがあり得るか?結界が壊されたことだって術師側は把握している筈だ。それをわかってて確認しないなんてことがあるのか。


「……栞、凛を連れてここから逃げてくれ」

「えっ?で、でもそれじゃ伊織君が……」


 急な僕の発言に困惑した様子の栞。だけど、現状では力を制御できない栞と、魔術に関して何もできない凛をここに残すわけにはいかない。むしろさっさと凛を連れて行ってほしい。


「ごめん。どうしても凛の安全を確保したいんだ」


 栞の目をまっすぐに見つめてそう言うと、少し迷う素振りを見せた後、彼女ははっきりと頷いた。


「……分かり、ました。凛さんのことは絶対にお護りします」

「ありがとう」


 凛のことを抱きかかけた栞は、ものすごい速さでいなくなった。


 これで、万が一(・・・)のことがあっても被害は最小限だ。


「伊織……?あの女の子にもいてもらった方が良かったのではないか?」


 俺は話しかけてくる祖父の姿をもう一度よく見る。


 普段からよく着ていた服装に、体は怪我らしきものは一つも見受けられない。それに服には汚れも(・・)見受けられない(・・・・・・)


「……いい加減本当の姿を現したらどうだよ。」


 そう、汚れもないのだ。

 この大爆発、大炎上の中でそんなことが起こりえる筈がないのに。


 そう、僕の発言を聞いた途端に祖父は、いや、祖父の姿を騙っていた何者か(・・・)は嘲笑う。


「……へぇ、気づくのか。気づかずに死んでた方が楽だったと思うけどね」


 そういった祖父の姿が歪み、見たことのない男の姿になった。


「誰だよ、お前……。なんでここを攻撃した!?」


 両親からの恨みだろうか、それぐらいしか思いつかない。


「そりゃあねえ、桐原光源(きりはらこうげん)が生きてたらかなり面倒だしね、それに桐原凛を殺せば君のご両親にも嫌がらせできると思ってね」


 光源というのはじいちゃんの名前だ。

 ……嫌がらせ?そんな、そんなことの為にここで爆発を引き起こし、じいちゃんを殺したのか?


「いやー楽でよかったよ。桐原凛を攻撃しようとすれば、光源の奴、庇って勝手に攻撃を喰らってくれるんだもん。足手まといなんか見捨てて真っ向勝負をしてたらいい勝負だったのにね!」


 その言葉を聞いて僕の中で、プツンと何かが切れたような気がした。



「【ファイアーボール・クアドプル】」



 最も僕が使ってきて慣れ親しんだ魔法。それを今持てる限りの限界の力で飛ばす。


「ははははは!!!キレたか!いいよ。僕も全力で相手をしてあげよう!!」


 男は当然のように、僕の放った無数の火弾を、避け、打ち消し、回避すると、そのまま僕に向かって肉薄してくる。


 っ……!早い!

 蹴りが来る!狙いは……頭!


「し、【身体強化】!」


 慌てて強化した体で無理矢理体を捻って回避する。


「へぇ!今のを避けるんだ。桐原伊織、だっけ?その年で面白いね君!」


 男は楽しそうにケラケラと笑っているが僕としては全然笑えない。冷や汗が、背中を流れる感触が感じられる。


「ほらほらほらほら!!どんどん行くよ!次は腹!足!頭!もっかい頭ぁ!!」

「ぐっ……」


 男の猛攻を無茶な体勢で避け続ける。

 危ない。あのまま強化なしで戦っていたら一瞬で負けていた。


 そう考えながら息を吐いた、その瞬間男の足が僕の腹にめり込んでいた。


「うぐぁっ……」

「はい隙あり!」


 蹴られた勢いのまま僕の体は吹き飛び、壁にぶつかってようやくその勢いを止める。

 その蹴りのあまりの威力に、体の中に入っていたものが外へと撒き散らされる。


「ゲホッゲホッ……オェェ……」


 当然のことながら、無茶な体勢を繰り返していれば後に避けるのが苦しくなる。だから、これは当然のことでもあった。けれど、その一撃の重さはさすがに想定外だった。一応備えとして障壁を張っていたのだが、紙屑のように割られた。


「ははは。凄いでしょ、この威力。僕の持っている権能・・のおかげなんだけどね」


 ……は?

 権能?今、権能って言ったかこいつ。


 どんな権能か知らないが、権能は能力なんかより圧倒的に格上なんてのは、術師の中では常識中の常識。1対1で権能を持たない術師が、権能持ちの術師に勝てることはほとんどない。そんなものをコイツが……?


「はは、いいね!その顔だよその顔!光源は死ぬときに、すっきりしたような顔で死にやがったからイライラしてたんだ。その絶望し切った顔が見たかったんだ」


 そう言って男はケラケラと笑う。



 ああ……そうか。

 権能持ちかよ。そりゃあのくそ強いじいちゃんでも負けるわけだ。

 


「……よな」

「なんだい?ブツブツと……絶望しておかしくなったか?」


 僕は、キッと男を見据える。



「権能には……権能で対抗しないとだよな」



「は……」


 僕の言葉を聞き、男はポカンとする。


「何言ってる?その言い方だと、君が権能を使えるみたいだぞ」

「そうい言っているんだよ」


 男が僕のことを睨んでくる。


「そんな筈がない。報告書(・・・)にはそんなこと、書かれていなかった!!」


 ……報告書?周辺を嗅ぎまわってるスパイでもいたのだろうか。


「父さんに絶対に使うなって言われてたからな。ほとんど使ったことないんだよな」


 深呼吸をする。落ち着け。冷静に落ち着いて発動すればきっと、成功する。


「発動しろ『暴食』」


 静かにそう言葉にする。だが、体にとんでもない負担が掛かることになった。体の内側から引き裂けそうになり、重力が強くなったかのように感じられる。


「うぐっ……ぁぁぁぁああああああああ!!!」


 全身に激痛が走る。

 痛い、苦しい、辛い、体が弾け飛びそうだ……。


「はははは。なーにやってんだか。一瞬ビビッたけど『暴食』って効果がなにもない使えない、自滅しかできないクズ権能じゃないか」


 男は()に反論する余裕すらない。

 ただ、身体から溢れ出そうとしているナニカ(・・・)を必死に押さえつける。


「苦しそうだし今楽にしてあげるな~」


 男は倒れている俺に向けて手をかざした。


 ……しかし、何も起こらない。


「なんだ……?魔法が発動しない?権能も、効果がなくなってる、だと」


 男はひどく動揺した様子で何かに気が付いたように周囲を見渡す。


「これは……まさか!いや、バカな、そんなことあるわけがない。あっていいはずがない!!周囲の魔力が(・・・・・・)全てなくなる(・・・・・・)なんてこと!!」


 その言葉を聞いて俺は成功したことを確信する。だが、俺にも余裕がない。体内から溢れ出そうとしているナニカが限界に達していた。


「あああああああああああ!!!!」


 身体から溢れ出した、黒い触手のようなものが無差別に周囲に溢れ出し、攻撃する。


「ちょ!?マジかよ!『暴食』って無能の筈だろ!これはさすがに割に合わねえぞ!!」


 うねるようにして周囲に攻撃し始めた黒い攻撃に、男は避け続け、ここで俺を攻撃するのは無理だと判断したのか、そのまま逃げて行った。

 追いかける余裕はない。体が言うことをきいてくれない。

 でも、大丈夫だ。今ここで耐えてれば、この権能は魔力切れで止まるはず。





 だが、俺の魔力が切れる様子はなく、暴食は止まらない。





「な、なんで、なんでだ!?……止まらない!止まれ!止まれ!とまれえええっっ!!!!」



 ダメだダメだダメだ!!このままじゃ、世界が……。

 父さんも、母さんも、凛も、……水無月も。全員死んでしまう。



 俺が、殺してしまう。



 それだけは、それだけはダメだ。

 でも……無理だ。俺の力ではどうしようもない。


 そして、目に見えるところまで『暴食』の影響が広がりだす。

 暗黒と呼ぶにふさわしい何も見えない空間が地面を侵食し始める。『暴食』の影響で光までもが権能に喰われているんだ。『暴食』の効果は詳しいことまでは判明していないが、「喰らう」という概念そのものを体現したものだったはずだ。

昔、父さんにそう教えられたことがあった。


 「くそ……止まれ、止まれよ!とまってくれ!!頼むからさ……」


 止まらない。


 叫んだってどうにもならないことは分かっている。


 ……けれど、身体は言うことを聞いてくれない。何も出来ないのに体が引き裂けそうな激痛と、無力感に襲われる。いっそ意識を失うか、その痛みのまま体が引き裂けてくれればいいのにと思う。けど、はっきりとした意識が、この痛みが、そうさせてくれない。



「助けて……。止めてくれ……誰か………」









「任せとけ」







 二つの影が俺に向けて歩いてくる。

 その内一人、男のほうが俺にそう言う。

 

「父さん!!母さんも!なんで……」


 俺が誰よりも頼りにしてきた、いつも見ていたその男の表情は、いつものようにヘラヘラと笑っていた。

 くそみたいに忙しいのはあと一週間ほど続くのですが、一週間二回ペースで投稿できるようにしたいところです。遅くてすみませんでした。


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