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23話 遊園地デート?

 週末。土曜日。


 今日は片山との約束通り、2人で遊園地で遊ぶ予定だ。遊園地のすぐ目の前にある噴水の広場で待ち合わせをしている。


 予定の15分ほど前についたが、まだ片山の姿はない。いや、しかし、なんか少し緊張するな。


 同級生の女子と2人きりで出かけるのなんて初めて…でもなかったな。よくよく考えればこの前水無月と一緒に2人で映画を観に行ったばっかだった。


 ……ハッ!これが噂のモテ期ってやつか!?


 なんてアホなことを考えていると、「桐原くん!」

 と呼びながら小走りでこちらに向かって片山がかけてきた。


「お、来たか。片や、ま……?」


 そこで初めて片山の服装に注目した。

 ミモレ丈の黒チェックのガウチョパンツに、トップスはシンプルな白Tシャツにシースルーの紺色のアウター。片山のセンスの良さが物凄く表れている。


 初めて見る私服と言うだけでもドキッとしたのだが、なんというか……これは、やばいな(語彙力)


「……?桐原君、どうかした?」

「ななな、なんでもないぞ!?」


 小首を傾げてこちらを見つめる姿…あざとい!あざといんだけど、これは破壊力がやばい。

 これは反則だろ。


 と、とりあえずぶっ飛んでいた思考を元に戻そう。


「き、今日は何に乗りたいんだ?」


 そう言うと、片山もワクワクしたような表情で話に乗ってくる。


「そうだねー。やっぱり最初は絶叫系を全制覇するよね!」

「うえっ!?」


 背中を冷や汗が流れる感触がする。










「待って待って待って待って!?もう8個連続で乗って……あっ待っ……無理無理無理いいぃぃぃぃ!!!」

「あっははは!桐原君叫びすぎ!来るよー!キャー!!」


「あああああああああー!?」


 がんばれ俺の三半規管。ここで吐いたりしたら色々台無しになるぞ、と心の中で自分自信を励ましながらなんとか耐える。うえぇ、気持ち悪……。

 【ヒール】を使ってもこういう症状はなぜか治んないしな。魔法は便利ではあるけど万能じゃないんだよなぁ……。


 その後しばらく休憩して俺の気分も戻ってくると、今度は俺にやりたいアトラクションを聞かれた。


 こういうときって一般的な人たちは何を選ぶのだろうか。こういう経験に乏しいため何も思いつかず、一番近くにあったお化け屋敷を選んだ。


「ええあぁ、う、うん!行こうか……」


 妙に片山のテンションが低くなったかのように見えたので、やはりお化け屋敷はなかったかと思い、「お化け屋敷はやめとくか?」と言ったら、「い、いや、べべ別にお化け屋敷が怖いとかじゃないんだよ?むむむ、むしろドンと来いって感じだから!」と言っていたのできっと大丈夫なのだろう。

 ……まさか高校生にもなってお化けが怖いなんてことはないだろうし。


「よし、いくか」

「うわぁ……暗いぃ……」


 お化け屋敷の中は何と言うか普通のお化け屋敷だったんだが、ちょくちょく本物の幽霊とか、悪霊とかがいたのが少し気になっていた。なんだここ、殺人事件でも起きたのだろうか。


 それとさっき一回お化けと遭遇してから、片山が生まれたての小鹿みたいにプルプル震えているんだが、大丈夫なのかこいつは……。


「違うの、別に幽霊とかお化けとかは平気なんだけど、私昔からビックリする系のものがどうしても苦手なの……」


 そういえばこの前の旧校舎に行った時も誘ったのは片山からだったな。


 同じ理由でホラー映画とか、ホラーゲームとかも苦手らしい。じゃあなんでお化け屋敷オーケーしたんだよ…。


「じゃあ、とりあえず俺の服の裾つかんで後ろから来い。びっくりするのが嫌なら目をつぶっててもいいしな」

「う……ごめん。じゃあそうさせてもらうね」


 そう言って俺の裾をつかむ片山。……近いな。

 いや冷静に考えるとこのシチュエーションやばいな。なんというか、シャンプーの匂いなのか知らないけど、すげえいいにおいがしてドキドキする。


 変な雰囲気になりながらも、なんとかお化け屋敷はゴールまでたどり着くことができた。


 その後、適当にジュースを買ったり、お土産を見たりしながらブラブラと歩き回っているうちにそれなりに時間が経っていて、そろそろ遊園地を出るのにちょうどいい時間になっていた。


「んじゃあ、そろそろ帰るか」

「う、うん。そうだね……」


 俺が思ってた以上に片山は楽しんでくれていたのか、遊園地から出るときの片山は随分とさみしそうにしていた。



 駅へと向かう途中、片山はずっと何かを迷うようにソワソワしている。困ったことでもあるのだろうか。帰り道を二人で歩いている中に会話はない。別に気まずいとは思わないけれど、いつもの片山とは様子が違うことは感じていた。


「ねえ、桐原君、ちょっとだけそこの公園によっていい?」


 そう言って片山が指をさしたのは、人目のない道の脇にあった誰もいない小さな公園だった。


「うん?分かった」


 なんで急に公園に?とは思ったものの、何やら真剣な様子だったし断る理由もないので、そのまま付いていく。片山の顔を見ると緊張している様子もうかがえる。どうしたんだろうか。

そのまま公園のベンチに二人で座る。


「き、桐原君。きょ、今日は月がきれいかな?」

「ん?いや、今日は新月だから、月は見えないと思うよ?」


 急に月の話?と思ったものの何か話題を見つけようとしてひねり出した会話できっと何の意味もないのだろう。

 そう思い真面目に答えると、片山がもどかしそうな顔をする。そして意を決したように真面目な顔になって話し始めた。


「桐原君。話したいことがあります」


 妙に改まった話し方で片山はこちらを見つめる。この雰囲気……。まさかとは思う。違うとは思うんだけど告白……とかじゃないよな?

 あまりにもこのシチュエーションが、アニメとかで見る告白の雰囲気に酷似していたせいで、つい俺はそんなことを頭の中で考えてしまう。


「あなたのことが好きです。私と付き合ってください」


 マジだった……。


 片山の短い告白は真剣そのもので、その告白がからかっているとかではなく、本心からの言葉であることがはっきりと伝わってきた。

 最近の様子がやけにおかしかったのも、弁当を急に作ってくれると言ってきたのも、今日誘われたのも、付き合いたかったかったからだというのなら成程、納得だ。


 ……だけど、この告白を俺は受けるべきなのか。


 きっと片山は前に蜘蛛のモンスターに襲われたときに、水無月の組織によって受けた記憶操作の影響が確実に出ているのだと思う。だけど、それは作られた記憶なのであって、俺が実際に行動して稼いだ好感度じゃない。これで俺が付き合うのはあまりにも卑怯だと思う。


「…ごめん。俺は付き合えない」


 目を逸らしたらいけない気がして、真っ直ぐに片山の顔を見ながらはっきりとそう言い切る。水無月も目を逸らさず、表情も変えない。


「それは、もしかして私が記憶操作の影響(・・・・・・・・・)で告白してると思ったから?」

「……え?」


 なんで。その言葉だけが頭を巡る。どうして片山が記憶操作のことを知っている?


「ふふ、なんでって顔だね。実はね、私も不思議な力を持っているんだ」


 少し困ったような表情でそう告げる片山に対して俺はいまだに混乱が頭の中から離れない。


「ど、どういうことだ」

「簡単な話。記憶操作の魔法は意識のない人にしか掛からない。私はその時意識があったけどなかったふりをしてたから、記憶操作の魔法をかけられても効果がなかったの。

皆のかけられた時みたいに夜に寝てる間とかにやられてたらかかってたのにね」


 そう言って片山はクスクスと笑う。確かに、その時記憶操作かけられたと思っているのなら、水無月が所属してた組織もわざわざ家まで言って寝ている時を見計らってかけに行く意味は無い。


「なら、なんで……」


 思わずそう告げると、片山はまるで本当に分からないのかと呆れるように、好意から目を逸らそうとする俺を諭すように言う。


「桐原君はあの蜘蛛に勝てるほどの魔力もなく、私を見捨てたって誰も何も言わない状況でそれでも私を救ってくれて、生き残ってくれた。気になっていた人が自分に対してそんなことをしてくれたら、惚れるのも仕方ないと思わない?」


 そう言ってまた片山はクスクスと笑う。


「改めて言うね。桐原君、私はあなたのことが好きです。付き合って下さい」



 その、真っ直ぐな片山の好意に思わず固まる。


「俺は……」



 そう、言いかけた瞬間だった。

 離れたところで、ドン!と体の奥に響くような魔力を感知した。



 なん、っだこれ。


 この前近くで感じた特等の蜘蛛の化け物がかわいく思えてくる。間違いなく特等位クラス。それも最上位の。何が起こっている?こんなレベルの魔力は感じたことがない。


 片山のほうを見れば彼女も、青い顔をしている。一応ここからはそれなりに離れたところのようだが、このレベルの存在ではこの程度の距離などあってないようなものだ。


 俺が行ってもどうしようもないと思うけど、反射的に元凶のもとへ行かなきゃいけないと思った。

 だが、そちらに向けて俺が一歩踏み出した瞬間、後ろから待ったがかかる。


「いかないで!桐原君!」


 片山が今にも泣きそうな顔で、こちらを見ている。

 俺は足が止まりどうすることもできず片山のほうを見つめる。


「桐原君があの場所へ行ったとしても何もできることはないよ!いいでしょ?任せておけば。この国には桐原君よりもっと強い人たちがいっぱいいるんだから」


 片山はそう言いながらいかないで欲しいと言う。


「私は、桐原君にはここで私と一緒にいてほしい。桐原君だって自分の周りさえ(・・・・・・・)生きていればいい(・・・・・・・・)筈でしょ!」


 そうやって言う片山を見て俺は覚悟が決まった。


「ごめん。俺は行くよ」


 そういうと片山はついに涙をこぼした。


「分かってるの、桐原君。桐原君が行ったら死ぬよ?」

「わかってる。でも、俺の自分の周りを守るにはいかないといけないんだ」


 俺の中では、とっくに水無月は俺の周囲の範囲内に入っていた。

 そしてあいつは絶対魔力の主と戦っているか、戦っていたはずだ。そういう時に人類最強を使わなくてどうするというのか。


「……そう、じゃあ、バイバイだね。今日のことは忘れるよ」


 悲しそうに目を伏せる片山に、俺は精一杯の笑顔を見せて言う。


「いいや……またな(・・・)。次は学校で会おう」


 そうして俺のデート?は終わった。






 バカだったかなぁ…俺。

 少しだけそんなことを思った。

一応この展開は決めてたとはいえ自分の書いたキャラが振られているのを見ると少し複雑ですね……。

でも、こんな青春ができているだけ幸せなんだからな!!!!

ああ……青春したい。


よろしければ、ブクマ、乾燥、評価をお願いします!



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