19話 ラブコメのような展開は現実だと簡単には信じられない
翌日。
昨日のうちに凛には、「明日の弁当は要らない」と伝えておいたので弁当が二つになる心配もなく、抜かりはない。
…凛は訝しげな眼で俺のことを見ていたけれど。
ま、まぁ特に何も言われなかったので、きっと納得はしてくれているのだろう。
凛の視線を思い出しながら学校への道のりを歩いていると、髪の長い女が道のど真ん中で突っ立っていた。その女は下を向き、ぶつぶつと何かを呟いている。
そして、俺のことに気が付いたのかこちらの方へと顔を向ける。その顔には、目が、鼻が、口が、存在しなかった。分かりやすく言えばのっぺら棒だ。
口がないのにどうやって声を出していたんだろうかと思いながら、俺は無言で、無造作に近づく。周りに人がいなくてよかった。おかげで魔法が使える。
「【浄化】」
かざした手のひらから出た淡い光が、女ののっぺらぼうを包み込み一瞬で消滅させる。
「ふぅー。低位の悪霊で助かった」
なにせ大して魔力の食わない【浄化】でワンパンなんだもんな。楽でいいな。
しかし、これ、多分だけど特等が討伐された影響で一時的にここら一帯のパワーバランスが乱れているんだろうな。これは当分の間悪霊とか、モンスターとかを見つけ次第、積極的に潰していくべきかな。
先のことを考えて思わずため息をついていると、後ろからトントンと肩をたたかれる。
思わずバッという効果音がつきそうな勢いで振り向く。
「きゃあ!?ご、ごめん桐原君。驚かせちゃったかな」
そこにいたのは少し驚いた表情でこちらの方を見る片山だった。
……もしかして今の魔法を使っているところ見られた?
内心で死ぬほど焦りながらも表面上は平常を装ってなんともないフリをする。
「桐原君、どうかした?なんか少し緊張してる?」
えぇ、なんで分かるんですかねぇ……。俺、今表情変えてなかったんですけど。
「別に何にもないよ。…とりあえず、早く学校へ行こう。遅刻する」
「ふーん。…そうだね行こうか」
片山の表情の中には少しだけ疑いの色があった。
やれ、流石に少し強引すぎたかね。
昼休み。
「え、なにこれうっま!?」
俺は猛烈に感動していた。美少女の手作り料理って素晴らしいな。……まあ、いつもの凛が作ってくれている弁当もめちゃくちゃ美味いし、凛自身兄の贔屓目なしで美少女だとは思うのだが、それはそれ、だ。
やっぱ妹に作ってもらうのと同級生の女子に作ってもらうのでは話が違うだろ?
なんか今ものすごくリア充っぽいことをしている気がしている。……まあ実際にはただの友人同士なのだけれど。
「そうだ、桐原君」
「ん?どした」
「いや、さ、あの……近場の遊園地あるじゃんか、あそこがリニューアルオープンしてたのしくなったらしいからさ、その、もし今週末暇だったら一緒に行かない?」
「……へあっ!?」
思わず変な声が出てしまった。いや、男女で二人きりで遊びに行くとかもうそれデー…いや考えるな桐原伊織。きっとこれは普通なんだ。そう、リア充たちの感覚ではただ遊びに行くだけなんだ。
これはアレだぞ。勘違いして「え……好意を持たれてる?」とか思ってあからさまに意識したりすると、後から「え、ありえないんだけど」と言われて死ぬほど恥をかくやつだぞ。
「お、おう……まあ暇だからいいぞ」
「そっか!楽しみだね!」
満面の笑みでそう言った片山の顔は、見惚れるほどかわいいと思った。
せめて一章ラストぐらいまでは毎日投稿したいんですけどね。ちょいと疲れてきたんでここらでモチベが欲しいなーなんて。(((殴
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