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18話 いつもの日常でも平凡とは限らない

 特等の騒動が終わっても、俺は高校生なので今日も今日とて学校だ。


「おーっす、桐原。なんか今日疲れてね?」

「はよ……お前は元気だな、檜山」


 流石に昨日は疲れた。徹夜も覚悟していたんだけど、なぜか起きたらベッドの上で寝ていた。昨日の最後のほうの記憶がないのだが、何があったのか。


「そういえば、桐原今日結構課題あったけどやってきたか?」

「あっ……」


 やらかした。そうだ、昨日何の課題もやってない。というかやれる時間もなかったんだよな。

 そーっと檜山のほうを見ると、にやにやとしてこちらのほうを見ている。このやろ、察してやがるな。


「あー…すまん、檜山見せてくれないか」

「ところがどっこい、残念ながら俺も忘れてきたんだ」


 嘘だ。こいつが今まで宿題を忘れたことなんてない。この完璧イケメンは頭もいいし、宿題もきちんとやってくる模範的な優等生だ。


「俺忘れたからさ、片山に貸してもらえよ」


「えっ!?」

「え」


 おい何言いだすんだよこいつ。片山も驚いてんじゃねえか。


「えっと……課題だよね?いいよ。」


 何故かトギマギしながら片山は俺にノートを差し出す。檜山が何を考えているのかイマイチわからないが……まぁいいか。


「ん、サンキュな」


 そう言ったところで片山が俺の方を見て、何か言いたそうにしながらモジモジとしていた。


「……なんかあるのか?」


 さすがにそのまま無視してスルーする気にはなれず声をかけると片山はドギマギしながら少し顔を赤くして言った。


「あ、あのね!今日の昼休み、良ければ一緒に2人でご飯食べない?」

「え?」


 あまりに想定外すぎる提案に俺は固まる。当然ながら、今までの人生で女子と二人きりで弁当を食べたことなどない。……というか、そもそも最後に友達と昼飯を食べたのいつだっけ……?


 ま、まぁいいや。忘れよう。それより今は片山の提案だけど、まぁどうせ昼休み暇だからいいか。


「わかった。一緒に食べようか」

「……うん!じゃあ後でどこで食べるかとか伝えるね!」


 ぱぁっと花が開くような笑顔でこちらを見て、あからさまに機嫌が良くなる片山。……しかし、なんで急に昼飯誘われたんだろ。










 昼休み。


 片山と約束した通り一緒に弁当を食べるのだが、てっきり教室で食べるものだと思っていたのだが、な んと屋上に誘われて本当に二人で食べることになった。わざわざ屋上まで来て弁当を食べようとするやつはいないか、いてもごく少数なので静かに食べられるとのことで屋上に来たのだが、本当に人がいない。


「わぁ、誰もいない。貸し切りだね、桐原君!」


 流石にこう、二人きりでご飯食べようなんて誘われると健全なD(男子)K(高校生)としては、正直色々と勘違いしてしまいかねない状況なのだが、恥をかくのは俺なのでしっかり邪な考えは心の中にしまう。


「そうだな。ここは基本的に人が来ないから一人になりたい人とかがたまに来てるんだけど、今日はいないみたいだな」


 え?なんでそんなこと知ってるんだって?

 そりゃ俺もボッチ飯を食う時にここをよく利用していたからな。…ちくしょう。


「それじゃお待ちかねのお弁当ご開帳~!」


 片山はそう言って楽しそうに自分の弁当箱を開ける。中に入っていたのは配色に気を使われたなんとも美味しそうな弁当だった。


「すげぇ美味そう」

「ふっふっふ。実はこれはワタクシの手作りなのです」

「まじか。すげぇ」


 本当にすごいと思う。俺の弁当は妹の凛に作ってもらっているのだが、流石にアレを朝早くに起きて自分で作る気にはなれない。本当に凛には感謝しかない。


「でも桐原君のお弁当もおいしそうだね、お母さんが作ったの?」

「んや、妹が作ってくれてる。本当にあいつには感謝だな」

「へぇーすごいね!お兄ちゃん思いな妹さんだね!」


 ここで、俺の母さん、もう死んでるんだ。なんて言ったら雰囲気が最悪なことになるのは目に見えてるので、余計なことは言わない。


「てか、その唐揚げ美味しそうだな。一個くれない?」


 俺は片山の弁当箱の中に入っていた唐揚げを指さして、貰おうとする。さっきからものすごい美味そうな香りが漂っていて、食べたいと思っていたんだ。


「これ?食べて食べて!うまくできた自信作なんだ」


 一つ箸で摘まんで口の中へと放り込む。冷めているのにカリッと小気味のいい音がして抜群の味付けと、食感がたまらなかった。


「うっま。なんだこれ」

「美味しい?やったー!」


 褒められた片山は子供のようにはしゃぎながら続けて言った。


「なら明日の弁当、私が作ってあげるよ」


 ……聞き間違いかな??


「えっと……?それは冗談じゃなくてほんとに弁当を俺に作ってくれるってことでいいのか」

「えっ?冗談だよ」


 ………………リア充怖い。


 俺は思わずジト目で片山のことを見る。


「ごめんって。冗談って言ったのが冗談だからそんな顔しないでよぉ!」


 と言いながら片山はクスクスと笑いながらも謝る。


「まぁ別にいいけど……。本当に作ってくれるのか」

「う、うん」


 片山はほんのりと頬を赤らめて頷く。


 何が起こってこんなことになった?記憶の改変でなんか変なフラグでも立ちましたかね。そろそろ本気で旧校舎での一軒の記憶が、どんなふうに置き換わっているのか気になるところなんだが。


 最近はなぜか人と関わることが多くて、ぶっちゃけ今の自分のことをボッチと呼んでいいのか怪しいのだが、それでも心の根っこの部分がボッチな俺は、この状況を素直に信じられない。何かのドッキリの可能性も考えたが片山がそんなことする奴だとは思えないし(さっきからかわれたが)、わざわざそんなことする理由もないだろう。

 ……こういうところがボッチがボッチたる所以だな。


 とりあえず、考えることを放棄して俺は頷く。


「ん~じゃあ頼んでいいか」

「うん!まかせてよ。びっくりするぐらい美味しい弁当を作ってくるから」


 なんと、まさかの同級生(それも美少女)の手作り弁当を食べられるらしい。そんなもの都市伝説だと思っていた。




 その後も二人で雑談をしながら昼休みを過ごした。なんだかいつもより昼休みが短い気がした。



信じられるか?陰キャでも手料理を作ってもらえる世界線があるんだってよ……。


作者は同学年の幼馴染の女子というものがいましたが、フィクションのようにはならなかったよ……。

やっぱ主人公補正がないとダメなんやなって。


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