17話 最強術師は…(side水無月栞)
この特等戦だが、みんながここまで気楽に戦っているのも、私の『怠惰』という権能のおかげだ。
それほどまでに私の権能は強い。きっと、私が本気を出せば人類を皆殺しにするのに1分あれば事足りる。そんな能力の前に本気を見せることなく倒れたこの特等位のモンスターは本当に気の毒だと思う。きっと本来は恐ろしい能力を持っていたのだろうに。
私はさっさとモンスターをまとめて片付けると、ふぅ……。と息を吐く。けれど気は抜かない。
ここからの私と組織の上層部の会話を桐原君に聞かれると困ってしまうので、桐原君に対して能力を向けるのは本当に心苦しいのだけれど、彼には少しだけ眠ってて貰わなくてはいけない。
加減を間違えないように、赤ちゃんの頬をツンとつつくレベルの力加減をイメージをして、背後で見ている術師達に『怠惰』の権能を向ける。
ここで加減を間違えてしまうと、少しだけ眠るどころか、全員永眠してしまうので慎重にやる。
あっという間に全員倒れて……いや、2人だけ立ってるわね。ゆっくりと歩いてそちらに近づいていく。倒れずに耐えていたのは、やはりというか影山秀介と、桐原君の二人だった。
桐原君は魔力操作によって『怠惰』の権能によって動かなくなっている体内の魔力を強引にを順転させて、耐えていた。
なるほど。あれなら『怠惰』の権能の性質上、すぐに気絶することはない。けれど、それなら彼の集中を乱してあげればいい。
私は桐原君に近づくと、彼の耳にそっと息を吹きかけた。
「っ!?」
彼の目が、私に向けて何してくれるんだ!?と驚いていたのが分かり、少々申し訳ない気持ちになる。
後で組織に頼んで、彼の記憶の処理をしてもらわないといけないわね。
「なんでわざわざ眠らせたんだ?」
私のことを睨みながら、自分も大変な思いをしたとばかりにこちらを見る影山秀介。さすがは日本で私に次ぐ術師なだけはある。死人が一人も出ないよう全力で手加減に手加減を重ねたとはいえ、抵抗に成功するとは。
「これから組織のトップと話す話を彼に聞かれたくなかったので」
「ああ、伊織な。びっくりするよな、お前の力に耐えようとしてたぜ?」
それに関しては私も驚いた。彼の魔力操作の技術は素晴らしいなんてレベルで収まるものではなく、現代の術師としては、はっきり言って異常だ。
「お前、もしかして……今回、伊織をここに連れてきたのって「連合」にあいつの特異性を示して、組織から公認で関わり続けるためか」
影山秀介。なかなかにカンがいい。その通りだ。彼に弟子入りすることを組織から認めてもらって外堀をうめるつもりだった。
まぁ、認められなくても関わり続けるのだけれど。
「つーかお前、伊織と話す時だけ雰囲気違いすぎだろ…そのくせあいつの名前は呼ばないし」
名前は、調べたことでとっくに分かってはいる。けれど彼は名前を教えたがらなかったので、彼から許してくれるまでは名前を呼ぶつもりはない。
「伊織も災難だなぁ……こんなめんどくさいやつに絡まれて」
大体、どうしてこの男は彼とこんなに親しくなっているのか。私は全力で彼と仲良くなろうとしているのに、多分今でもただ面倒くさがりながら、仕方なく関わってくれているだけだ。
「とりあえず彼らが目を覚ます前にさっさと報告して後始末をしますよ」
そう、影山に対して言うと、ため息をついて「分かったよ」と答える。
さて、いつになったら彼は私のことを認めてくれるのでしょうかね。そんなことを思いながら、この結界を解除していく。かなり高度な結界だけれど、私なら魔力でゴリ押して結界を破壊できる。
「うわ、お前なんでそんなことできるんだよ、魔力をつぎ込みまくって結界の許容量をぶち抜くとか……」
隣で影山が私のことを見てドン引きしてる。失敬な。
「そんなんだとお前伊織にそのうちゴリラとか呼ばれるようになんぞ」
「彼は私にそんなこと言いません」
そういうと影山が私のことを呆れたような目で見てくる。
「お前のその伊織に対する好感度は何なんだよ……」
あの日彼が見せた魔力操作技術、体裁き、そしてそんなことがどうでもよくなるほどのあの勇気。勝てないと分かっていながらもそれでも戦うと決めたあの勇気。強くなくても、私は彼のあの心の強さに惹かれるのだ。それに彼は私の……。
私は水無月栞。現代最強の術師。
……だけど今はとある男の子に憧れる一人の女の子だ。
水無月さんの強さは、呪術〇戦で言うなら、〇条先生、ワン〇ンマンで言うなら、〇イタマみたいなものですね……。いずれ『怠惰』の設定は公開しますけど、誰が勝てんねんていう強さです。
一応水無月さん能力抜きにしても、【身体強化】の魔法使えば軽いジャンプで20メートルくらい飛ぶらしいっすよ……。これはゴリラですわ。
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