13話 特級の脅威
飛ばされた先はだだっ広い平原。ただ、四方が4、500メートルごとにまるでそこで世界が途切れたかのように歪んでいる。
この空間には結構な人がいた。日本人だけでなく様々な国籍の人がいるみたいだ。
皆ざわざわとして普通に楽しそうに会話をしている。その誰しもが普段の生活ではまず出会わないであろう、かなりの魔力を持った人々だった。端的に言えばだれもかれも俺の2倍以上はある。
そして、そんな空間でも一番異質で、一番存在感をはなっているのは真っ赤な空に浮かぶ真っ黒な繭のようなものだった。
多分、あれが封印だ。説明されなくともその存在感で分かってしまう。封印されててこれか。ピリピリと肌を刺すような緊張感。俺がどう足掻こうが勝てないと分かってしまう隠す気もない膨大な魔力。
これが特等という怪物。
「けど」
なんだこの違和感。この化け物を見て本来なら怯えるところなんだが、どうしてだろう。俺だは決して敵わないと分かっているのに先程までの不安が消し飛んでいる。
きっとそれは……
「どうしたの。そんなところで固まって。もしかしてアレを見てびびちゃったの?」
水無月がこちらを見てクスっと笑う。何も言わなくなった俺を見てビビってるとでも思って励ましてくれる気でもあったのか。だが、生憎様だ。
「いいや、丁度今、勝てそうだと思ったところだ」
そう言い、不敵な笑みを浮かべる俺に対して、水無月が目を見開く。
「そう、結構な自信があるのね」
そう言って水無月は別の術師なのだろう人に話しかけに行った。
え、ちょ、いや俺をこの空間で一人で置いていくの?
待って待って待って?
俺普通に学校でも知り合い少ないのに、ここに知っている人なんているわけないんだが。
そう思いながらもどうしていいかわからず呆然としていると、黒髪の鎧を着て刀を腰に付けたイケメンがこちらに向かって話しかけてきた。
「よう、お前こういうとこに来るの初めてか?俺は影山秀介だ」
年齢は見た目からして俺と同じくらいか?結構気安そうな感じで関わりやすそうだ。
「俺は桐原伊織。実は知り合いもいなくてさ、ぶっちゃけどうしたらいいのかわかんなくて困ってたんだ。」
普通に名前を名乗ったがまあいいだろう。どうせ既に水無月の組織には知られているだろうし、今更隠したところでどうにもならないだろう。
「へえ、そうなのか。まあそんなに気を張る必要はないぞ。自分の強さを他人に向けて披露するための術師のお祭りみたいなもんだ」
「それ聞いた時から思っていたんだけど、特級ってそんな弱いもんだったか?」
そうやって言うと、影山はクックックと笑いながら言う。
「まあ普通はそんな弱くはない。というか、小さな国なら滅びても全然おかしくない」
まあでも、とつぶやいた影山は周囲を見渡す。
「これだけのメンツと、さらにはあの水無月栞までいるのに万が一なんて起こることはまずないな」
そういうと影山はこちらを見て、笑いながら背中をバシバシと叩いてくる。
「だから伊織。お前はもっと力抜いて楽にしていいぜ?」
お、おう。距離の詰め方えげつないな。いきなり名前呼びなのな。
そのまま影山ととりとめのない話をしていると、空間の雰囲気が一変した。
「お、来たな」
そう言って楽しそうに笑っている影山。
ええ……
さすがに笑う気にはなれないぞ。
真っ黒だった繭にピキリとひびが入り、徐々に割れていく。
「さあ、お出ましだ」
俺はヨロイドウシを構えると、深呼吸をする。
繭が割れると同時に出てきた、ドス黒いオーラを纏った馬鹿でかい蜘蛛と、その取り巻きの見覚えのある独特な黒と白の模様をした、体長2メートルくらいの蜘蛛がわんさか出てきてるのを見て、ため息をついた。
……さぁ死地に踏み込んでいこう。
やることが多すぎて本気でつらいです。
評価とブクマが増えたら元気になるんだけどなー(チラッチラ)
だれかやさしいひといないかなー。(ガン見)




