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1話 少年は物語の始まりを始めて

今回からの連載になります。よろしくお願いします!

 あぁ……くそ……最悪だ……。


 俺は眼前に迫るバケモノを呆然と見る。

 もはや少しも体を動かせそうにもない。


 なんであの時見捨てることが出来なかったのだろうか。

 分かっていた筈だ。俺の力ではどうしようもないのだと。


 全く嫌になる……。


 大した力もない癖にいい年こいてヒーロー気取りか?

 俺は目の前に迫る明確な"死"に目を閉じながらこうなった経緯を思い出す。










「ねぇ、旧校舎がなんで使えなくなったか知ってる?」



 俺、桐原伊織きりはらいおりは弁当を食べ終えたのでいつものように机に突っ伏していると、すぐ前の席からそんな声が聞こえてきた。


 チラッと声の出処を確認するとそこにはこれまたいつものように前の席に何人かの女子が集まって喋っている。


「え、何それ?」

「あ、それ私知ってるよ!なんかさ妖怪?が出るんでしょ?」

「あ、それ私も知ってるよ〜」

「そうそう!」

「なんかそれ三組の子がそんなこと言ってた気がするかも?」


 そんな話が聞こえ俺はまた目を閉じる。

 よくあるオカルトの類の話だろう。


 まぁとりあえず俺には関係ないか。



「ねぇねぇ!じゃあさ!今日の放課後肝試ししてみない!?」



 その中の一つの声がそんな提案をするのを聞いて思わず俺は反応してしまう。



「えっ」



 その声が思ったより大きかったせいで、前の女子たちの視線が俺に向く。だが、その声の出どころが俺だと分かると、すぐに興味無さげに会話に戻ろうとする。


 ……1人を除いて。


「ねぇねぇ!桐原くん今反応してたよね!こういう話興味あるの!?」


 やけにテンションの高い声で話しかけてくるのは、片山楓かたやまかえで


 このクラスの級長の俺とは真反対の陽キャだ。


「ん?あぁ、いやまぁ、別に……?」


 この俺のコミュ力の無さと言ったら…

 クラスの女子に一言喋りかけられただけなのになんでこんなどもっちゃうんだろうね?悲しくなってくるな……。


「嘘だ〜!桐原くん普段全く反応せずにお昼の時は机に突っ伏してるのに、今初めて反応したもん!」


 ……あんま正直に言われると心にクルものがあるな……。


「おっ!何何!何の話!?」

「祐太郎じゃん!ちょうど良かった!今ね〜桐原くんが珍しく私たちの話に反応したんだー!」

「へぇー普段何にも興味無さそうなのにな!」

「い、いや、別に何にも興味無いって訳じゃないぞ?」


 突然どこからとなく会話に参加してきたのは檜山祐太郎ひやまゆうたろう。このクラスのカーストでは片山同様最上位にいるゴリゴリの陽キャだ。



 お、おい……?ちょ、ちょっと待ってくれ。

 このメンツの中に居るだけで、俺の精神がメキメキと音を立てて削れるんですが。


「ってか、楓〜さっきのマジで行くの?」


 片山と話していた所謂ギャルと呼ばれる類の女子の言葉に檜山が反応する。


「え、何?さっきのって?どっか行くの?」

「んとね〜楓が旧校舎に肝試ししないー?って」

「え、マジ?」

「何〜?祐太郎怖いの〜?」


 片山が笑いながら檜山のことをイジると檜山も笑いながら、


「はぁ!?べ、別に怖くねーよ!?」


 とあからさまに怖がってるふうに反応する。


「ビビってんじゃーん!」

「んじゃあ檜山も来るー?」

「おー行くわ!若林も誘って2人でな!」


 この自然な流れ、流石カースト最上位だなーって眺めているととんでもない発言が投下される。



「桐原くんも来るでしょ?」



「……へ?」


 急に巻き込まれた。

 いやいやいや、このメンバーに俺が行くのは無いだろ。


 な、無いよな?え?無理だぞ俺は。


「じゃあ放課後にね〜」

「え、ちょ!?」



 そのタイミングでチャイムが鳴り、昼休みが終わる。



 え、冗談だよね?




 俺……無理だぞ……。



今日中に3話まで上げて、10話までは毎日投稿です。


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