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第十五話 心はひとつ




第十五話「心はひとつ」





振り向くと三人がいて、シン!アラナ!ノア!いつの間にいたんだ?とハランは言う。




実はハランさんが心配で最初から…と何故か申し訳なさそうに言うノアに、ありがとう!でも俺は大丈夫!とハランは声をかけた。






「今の本当なんだな?!嘘じゃないよな?やっぱなしとかなしだからな!俺はこの耳でちゃんと聞いたからな!」


とシンは必死になってルナに攻め寄る。




…うるさい、とルナはシンを払い退けるが、そんなことお構いなしにシンは言った。




「…て、ことは五人やっと!集まったんだな…!」



ハランは、少し涙目になってうんと深く頷く。






すると、円陣!と突然シンは手を前に出す。



「…は?なにこれ?」


とアラナは眉間に皺を寄せた。


「やるだろう!普通!な、ハラン!」


「お、おう!そう、だな!やるか円陣!」


「おいハラン、まじかよ?」


「ぼ、僕…やったことないです…!」


と目をキラキラさせているノアに、はぁ…とアラナは思わずため息がでた。



そして、シンの次にハランが手を上にのせ次にノアがのせる。


ほーら!アラナも!とシンは無理矢理アラナの手を取ってはノアの上にのせる。


うげ…と更に深く眉間の皺を寄せるアラナ。



そして、ハランはルナも…と言いルナに反対の空いてる手を差し伸べる。すると、ルナは照れくさそうに渋々ハランの手を取り、一番上に手をのせた。


「よし、掛け声は…えい!えい!おー!でいいな!」


「は?だせぇ…ガキかよ!」


「じゃあ、何がいいんだよ?アラナが決めろよ!」



「…よぉぉし!俺が決めてやる!」



やけくそになったアラナは気合い入れながら言う。


「アラナ無理しなくても…」


とハランの声は届かず、アラナは続ける。


「まず、ハランから番号を言う!一!」


「いち?!」


「で、俺が二!」


そして次に三!とノアを指差す。


「…三!」


ノアは戸惑いながらも繰り返す。


四!


「四!!」


シンは胸張って楽しそうに言った。


そして五だ!とアラナはルナを見る。


「…五」


ルナはぼそっと呟いた。


「俺達!!はい続けて!」


「お、おれたち!!」


「選ばれし…!」


「え…ら…!」






とアラナがその先を言う前にゼンが慌てた様子で走って来た。



「ハラン!大変だ!」


「ゼンさん!?」



「レオンが…!」


五人は顔を見合わせ、急いでレオンがいる診療所に駆けつける。








病室に入ると医師のドミニクがレオンに胸骨圧迫をしているところだった。


心配停止状態が続く中、部屋中に鳴り響く音にハランはレオンを失う怖さと焦りと色々な感情が湧き上がる。


レオン!レオン…!と何度も呼びかける。


必死になって何度も何度も胸骨圧迫をし続けるドミニク先生の額からは汗が流れていた。


だが、レオンの心臓は動かない。


レオンの心臓が止まってからもう五分は経とうとしていた。


もう間に合わない。ここまでか…そう誰もが思った。レオンの体に神の心臓を封印する前にレオンの体がもう限界だった。




「…先生、先生!ドミニク先生…!もう…!」


それでもやめない姿にハランは涙を流しながら言う。


みるみるとレオンの顔色は白くなっていく。


ルナはこの状況を見ていられなくて病室を出て行ってしまった。


そしてドミニクは手を止め、その場で崩れる。


「先生…!!」


助手のカレンがドミニクを支える。もう若くはないドミニクは体力を消耗したのか、上がる息を整えた。


「…すまん、ハラン…」


ドミニクは謝る。そしてハランは首を何度も横に振り、涙でぐしゃぐしゃの顔になりながらも言った。


「先生…ありがとうございました…」


ハランは涙を流しながらレオンの顔を両手で触る。


「…レオン、ここまで…良く頑張ったな…!」


アラナ、ノア、シンは励ますようハランに寄り添う。






すると突然、ハランが身に付けていた腕輪に付いている石が光だした。これは神の魂を受け継ぐ者だけがつけられる腕輪だ。


「え…!?」


そして、アラナ、ノア、シンと次々に付けていた腕輪が光だした。


四人は慌てて、病室の外に出ていたルナのところへと行くと、ルナもハラン達同様に腕輪が光っていた。


「ゼンさん!」


後ろにいたゼンさんにどういう事か助けを求めるハラン達。


ゼンさんも驚いた様子で、考える。


光が示す方は神の心臓が封印されている湖だった。


「もしかしたら…神の心臓が、魂を呼んでいるのかも知れない…?」



「でも!今、封印を解いたら…どこに封印するんだ?」


シンは言う。



ゼンは、ベッドの上で冷たくなっているレオンを見つめた。


「…まだ、間に合うかも知れない」


「え?もしかして…レオンの体に封印すんのか?もう…生きてないのに…?」


アラナは驚いた表情で言った。


「やってみよう…!」


ハランは奇跡を信じて、レオンの体に神の心臓を封印することを再び決行する。


「…だったら、急ごうぜ!」


シンがそう言うと五人は湖へと走り出す。


「お前らは先に行け、俺はレオンを担いで行くから!」


ゼンさん…!とハランは心配そうに言うが、ゼンは大丈夫と頷く。












外はもう暗くなっていて、月明かりがハラン達を照らす。


そして、五人は迷いの森に入ると腕輪の石が放つ光の道標を辿って神の心臓が封印されている湖へと辿り着いた。


湖の真ん中辺りが光っているのが分かる。


ハラン、アラナとノア、シン、ルナの二手に分かれて小舟に乗り、光っている湖の真ん中辺りまで漕ぐ。



心臓が封印されているであろう方へと近づくが何も起きない。


ただただ、光を放しているだけだ。


「…なんで光ってるだけで反応しないんだろう」


とハランは考える。


「俺達の力も勝手に発動しないんだよな…おかしいな」


アラナは以前に来た時の事を思い出していた。


前に来た時はハランとアラナの神の魂が神の心臓に反応して、力が暴走していたが…今は何も起きない。



「力を出してみるか?」


シンが言うと、頷き五人は腕輪をしている方の腕を前に差し出して、目を瞑る。





すると風が吹きだし、どこからか雷の音が聞こえ、地面が揺れだす、そして湖が波をうちはじめ、シンの手のひらから炎が灯る。


五人はこれ以上、力を出しすぎずにコントロールしているが…何も起きない。






…だめだ、力がもたない…!とシンは一旦力を止めた。


五人の息は少し上がっていた。


ずっと保つのは難しい。


「なんでだ?なんで何も反応しないんだ?」


シンは自分の手のひらを見ながら言う。





五人は何も分からず途方に暮れていると突然


地面が揺れ出し、強風が吹き出し、湖が強く波をうち、雷が落ちた。


「…うわぁ!」


五人が乗っていた小舟はひっくり返り、全員が湖へと投げ出された。


「は、離れるな!」


シンは運良くひっくり返った小舟に捕まるとルナとノアを掴む。


ハラン!アラナ!


シンは手を伸ばす、ハランはシンの手を取り五人は小舟に必死に掴まる。


「急に、なんで…!」


強風でなかなか目を開けられない中、ハランは湖岸辺にゼンさんとレオンの姿が見えるのがわかった。


「…ゼンさん!」


このままじゃ何もできない、力をコントロールしようとしてみてもできない。


すると、今まで揺れていた地震が止まり荒れていた風も波も収まった。神の魂の力が途端に止まり、五人は辺りをきょろきょろと見渡す。


止まった…?とハランは不思議そうに言った。






今度は恐ろしいくらいに静かだ。


空は雲ひとつなく月が消え、真っ暗になっていく。まるで空気さえない宇宙のような静けさで、今まで見たことない現象を目の当たりにしているのがわかった。


そして、湖に封印されている神の心臓だけが光、湖の中から泡が噴くと神の心臓が宙に浮いて出てきた。


物凄い光で目を開けているのがやっとだ。


それは宙に浮かぶとレオンの体へと引き寄せられるかのように、レオンの体に入っていく。


…!?


ハラン達は慌てて、ひっくり返った小舟を戻し向こう岸まで漕いだ。








そして、レオンの体に入った神の心臓でレオンの体は息を吹き返した。奇跡が起きたのだ。



レオン…!!側にいたゼンは名を呼ぶ。



いつの間にか消えたと思っていた月も出ていて、真っ暗だった辺りはいつも通りに戻っていた。



岸に降りたハラン達も急いでレオンに駆け寄るとレオン!とハランが呼ぶ。


すると、レオンの手の人差し指が微かに動いたのがわかった。


そして、ゆっくりとレオンの目が開く。



「…レオン?」


「…ハラン…兄ちゃん…?」



ハランはレオンが自分の名を呼ぶ声に感極まって思わず抱き寄せる。



レオンは、兄ちゃん…く、くるしい…と力なく微笑む。


体は痩せ細り、顔色も良くない。だけど


久しぶり聞いたレオンの声に、微笑む顔に、俺を見つめていることに嬉しくて勝手に涙が溢れてしまう。



「ほんとうに、良かった…!!」


そう言うゼンの瞳も潤んでいて、今にも泣き出しそうだった。


すると、ハランの後ろでずるずる鼻を啜る音が聞こえたと思えば、シンは涙と鼻水で顔がぐしゃぐしゃになっていた。


「ハランより泣くなよ…」


とアラナは苦笑しながらも、涙を流していた。そしてアラナの横でノアも王子の品格なのか綺麗に泣いている。


「良かったです…!」



レオンは再び目を瞑ると、ハランは慌ててレオンの手を握る。


…レオン?ハラン達は不安になる。



「成功したのか…!」



「…ドミニク先生!レオンが!」



すると、後から駆けつけて来てくれたドミニクは助手のカレンも連れて、車椅子を持って来ていた。


「大丈夫だハラン、レオンはまだ体がついていけてないだけだよ、息もちゃんとしている」


と眠るレオンを車椅子に乗せた。


…よかった、とハランは安堵した。そして


「体が回復するまで、また病院生活になるけど…どうする?家で見ることもできるけど…」


とカレンは話す。


「いえ、毎日家に来てもらうのは大変だし、俺が病院に今まで通り行けば良い話だから大丈夫です、レオンをよろしくお願いします」


カレンは任せなさいと言わんばかりにハランの肩を思いっきり叩く。


いた…!とハランは苦笑する。


強いんだよな力が、とアラナは眉間に皺を寄せカレンには聞こえない程度の声で呟く。


そして、先にドミニクとカレンはレオンを連れて診療所に戻った。









どうして神の心臓はレオンの体を選んだのか、神の魂は心臓を前にしても反応しなかったのか、とか色々と疑問なところが多いが…とゼンは考える。



だがゼンは、お前ら…びしょびしょだな、と今更ながらハラン達を見て言う。髪の毛もぼさぼさだった。


必死だったから全然身なりを気にしてなかった五人はゼンさんの言葉でお互いを見合う。


「…ふふふ」


「…髪の毛どうしたシン」


「…なんかわからないですけど、泥だらけですね…僕達」


「…なんか、葉っぱ?ついてるぞハラン」


「…」


そしてハラン、アラナ、ノア、シン、ルナの五人は笑い合う。



「お前らは帰ったら、まずは風呂だ!」



ゼンが言うと五人はそれぞれ返事をして、迷いの森を後にした。





そして道中、先からそわそわしているルナにどうした?とハランは聞く。


…いや、なんでもない…とルナは前を向き直した。


殺気を感じたルナは後ろを振り返ったのだが、誰もいなかった。



























「…気づかれたか?」


「いや、大丈夫っしょ!んじゃ彼の方に報告と行きますか!」


黒いマントを羽織った二人の男は、そう言うと姿を消した。








これにて第二章は完結です。


いるかどうか分からないですが…ここまで読んできてくれた方、拙い文章にも関わらず読んでいただきありがとうございました。


実は、この物語は二章で終わりではなく第三章までプロットは作成しており、恐縮ですが…まだ続きます。


物凄く遅い執筆とはなりますが、最期まで、この物語を見届けていただけたら幸いです。



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