表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

引率不在の修学旅行

藤田が出て行ってしばらく経つがまだ周囲は霧に包まれ、後ろはまだほんのり光っている気がする。


外から「パキャ!」ってスイカ割りの時のような音と

「校長先生!」って叫ぶ藤田の声が聞こえてきたと思ったら。


周りが騒がしくなってきた。

「なにこれ、目の前に文字が見えるんだけど」

「夏美も見える?私も」

「大野康夫のギルド「二年理科」に入りますか?

だって。」

「こっちも大野先からだギルド「図書委員会」に入りますか?

ってのと死にたくなかったら入れって書いてる。」

「俺はギルド「卓上ゲーム部」」


あれ?俺んとこにはなにもきてないぞ。

大野先生は俺は授業を受けたことはないが集会で話を聞いたり周りの話を聞く限りはオタクで面白くそこそこ生徒人気のある先生らしいが、俺は去年も今年も唯一その先生が理科を受け持たないクラスな上部活も、委員会も違うので接点がない。


「大野ちゃんの誘いなら受けるかなんか知らんけど」

「そうやねYESおしちゃえ」

周りのみんなにはなにかが届いていてそれに返事をしているらしい。

どうやらなにも見えていないのは数人みたいだ。


条件は大野先生の授業を受けたか。

彼が所属する委員会に居たか。

彼が顧問の部活に居たか。


それに該当した奴らには何か誘いが来ているらしい。


ヤベェ俺接点ねぇ


って思ってるとまた周囲の世界から色が消えていった。


誰かがまたザ・◯-ルドを発動させたのか。

そっと自分を見てみるとMPがゆっくり減っている

だいたい体感で1秒1MPぐらいでも10秒に一回ぐらいMPが回復しているようなのでしばらくはこの状態は保ちそうだ。


でも見えてるだけじゃどうしよも無いなって思ったら

声が聞こえてきた。


「えっと、頭の中で念じれば私に伝わるから可能なら落ち着いて返事して。うっかり声出すとごっそりMP持っていかれるよ。」


「え、誰?」俺は念じてみた。


「1組担任の大野だよ。鳴神くんだよね。」


「はいそうですけど。」


「君に良い知らせと悪い知らせがあるんだが時間がない。からまず聞くが君はオタク?ファンタジーとか異世界って聞いて通じる?」


「一応オタクでゲーマーなんで通じますよ。」


「じゃ端的にここがそうで私たちは巻き込まれた。

地球で家族が待ってなきゃちょっとここで無双していきたいんだけどそういうわけにもいかないからね。」


「やっぱりここそれ系ですか?」


「そうなんだよしかも不味い系の召喚でね

我々を呼んだのはそこのオーク達だよ。

我々は彼らにとってはメタ◯キングとかはぐれ◯タルとか◯タルスライムみたいでね。経験値が美味しいから呼ばれて殺されるところだったみたいなんだ。」


「校長と藤田先生が先頭の偉そうなオークに殺されて

オークが進化しようとしてたみたいなんだけどその隙にその二匹は先生が退治したので当面の一番の脅威は去ったんだ。」


「先生さっきからいい話ばかりなんですが。」俺は何となく不安を感じて思わず割って入った。


「あぁ最後以外は全部いい話だよ。」

「で先生レベルとか色々上がったんで。

ところでMP切れとか大丈夫?多分君も行きのバスで目覚めたから少しはMP増えてるしMP回復のレベルも上がってると思うけど切れそうになれば言ってね」


「体感であと1分はいけそうです。」

ゆっくりと減りつつある自分のMPをわき目にみながら答える。


「今が時間が止まってるのはなんとなくわかってるよね」


「はい」


「多分これが私たちが覚えた「時空間魔術」の効果なんだよ。厳密には低レベルのうちは思考加速かな

意識だけがこの止まった時間を過ごせる。

そして体を動かすにはこの100倍のMPが減るし加速空間の開始自体はMP50減るから慣れないうちは気をつけてね。」

「使えば使うほどスキルは成長するっぽいから頑張って。」

「えっとどういう、あ、もう切れそうです。」


周囲の景色に色が戻ってきた。


うーむ

悪い話が出てこない。

お、なんだか少しMP上限増えてるし回復量が増えてる気が。会話に夢中で気づかなかったがもしかして例のアナウンス流れてたのかな?


とか思ってたらまた周囲から色が消えていった。

「やぁ鳴神くん話の続きだ。

MPは回復したかな、この調子でしばらく時間をあまり経過させずに、君のスキルを上げたいと思う。

できることはレベルが上がればなんとなくわかるらしい。私がそうだった。で、なんで君を鍛えるかっていうと本当にごめん。」

「先生達今からギルドメンバーと一緒に元の地球に帰る。」

「え、なんで?」

「「時空間魔術」の8ランクに一つ前の場所にギルドメンバーと戻る魔術があって本来なら異世界には行けないらしいんだけど召喚陣の開いている間はその魔術で帰れるそうなんだ。そして新規ギルドはここでは作れないみたいで色々頑張ったけど数人は私のギルドに入れなかった。」

「召喚陣が閉じても高ランクの「時空間魔術」では次元に穴を開けて行き来できるらしい。もしくはこの「召喚術」を調べるかだね。」

「悪いが、家族が待ってるし助けられる生徒も多い。

今を逃すと私のランクでは帰られなくなるのがわかっている以上申し訳ないが君たち数人を置いていく。」


「これが悪い話だよ。

今からできる限り私が時間を止める。その間に君に伝えられるべきことは伝えて私は帰ろうと思う。」


「ちなみにオークは人型だからか首を飛ばせばHPに関係なく倒せたよ。MP5000ぐらいあれば余裕だったけど殴られたら多分死ぬねぇ」


俺が知りたいことそんなのじゃねぇ!

どうやら俺の修学旅行はまだまだ終わらないようだ。

感想とか頂けると励みになります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ