終わらなかった修学旅行
「はぁ、早く終わんねーかな」
ゲーマーでぼっちの俺にとってこの修学旅行ってやつは
苦痛で仕方がない。
友好を深めるために本は禁止。
学校行事だからゲーム禁止。
携帯も当然禁止。
令和になったってのに学校行事ってなんで自由にならないんだ!
バスの後ろの方で陽キャ達が騒いでる。
「楽しい旅行だね、ずっと続けば良いのに!」
(お前らは好きに班作って好きに席の場所決め手さぞ楽しいだろうよ!こっちは別に友達でもないやつと組まされてたまったもんじゃねーよ)
三年のクラス替えで数少ない友人と離れたのが運の尽き。
俺は余り物同士で組まされた。
まぁ誰と組んでもこのクラスなら一緒だが
横を見ると後ろの騒ぎとは裏腹にみんな寝てるかだるそうに黙って座ってる。お互い楽しくないんだろうな。
「おいお前らもうすぐ高速降りるからもうすぐ学校着くぞ
そろそろ荷物まとめとけよ。」
担任の藤田が叫んでいる。
苦痛だった修学旅行も無事終わり、明日から三連休。
(やっと終わりだよ。さっさと帰ってゲームしてぇ)
と思った瞬間前の方が光った。
事故か?
と思い一瞬目を細めるも周りの連中が全く騒がない。
あれ?
って思って見てるとなんだか周りの風景がどんどんスローになっていく。そして周囲が静寂に包まれていき、
色が失われていく。
まるで時間の流れが失われていくようだ。
なのに何故か俺にはそれが見えて認識できている。
なんだか幻想的な風景にすっかり俺は
魅入ってしまった。
すると色の失われた世界に急に光が現れ、ある図形を形作った。
目の前に現れたいわゆる六芒星ってやつに俺たちのバスは飲み込まれていった。