うたげの後で
時の歩みがこだまする 見知らぬ回廊に影ひとつ
つかんだ腕はもろく崩れて 虚像の煤塵に目が痛む
涙の味はまどろみへのいざない 夢に逃避しわが身を守る
確かなものなどないと知りつつ さまようきみは誰を求めん
過ぎ去りし日々は前世の記憶か それともハデスの戯れか
狂乱に満ちた世界のなかでは きみはいつでもはだかの王様
無くしたものの数をかぞえて 後ろを向くのは愚者の証
かしこき王は鏡をこわし 己の目玉をつぶしてわらう
歌えや歌え歓喜の歌を 欲望と矜持は神をも動かす
紡がれた運命に逆らうことなく この世を存分に飲み尽くせ
からっぽの杯に用がなければ 叩き割ってしまえばいい
求めるものを忘れてしまえば 木偶のからだに身を沈めればいい
だがきみは気づいていない 背後に迫るあの日の影を
罪悪の重みが腹を切り裂き 黄金の館を真紅に染めん
そのとききみは何を見るのか つぶしたまなこに聞いてごらん
自身の屍がきみの世界を穢していくのを ゆっくりと感じながら