バグ
僕は「バグ」だ。
人間として未完成なまま生まれてしまった。
親は悲しんだ。友達にはからかわれた。
「イタイ イタイ イタイ イタイ………………………」
僕は感情をどこかに落としてしまったようだ。
「どこだろう、どこだろう」
どんなに探しても見つからない。
ココロに穴が開いてしまった。そんな僕を見て親は泣いた。
僕はもう何も思わない。「人形」僕にふさわしい名前だ。
時が経ち、僕は感情を、ココロを探すのを諦めてしまった。
それから月日が経った。
気がつくとそこは、病院のベッドの上だった。
帽子をかぶった大人が僕の周りを囲んでいる。
「恐怖」僕に感情が戻った。
そこから僕はみるみる感情を取り戻していった。
なんだ、感情はこんなに近くにあったんじゃないか。
ココロが満ちていく。楽しい。
ただ「幸せ」の感情だけは、どうしても取り戻せなかった。
僕には血の繋がらない35人の新しい兄弟と6人の新しい保護者ができた。
大人になった僕は、家族に別れを告げ社会へと旅立った。
一生、「幸せ」の感情を探しながら。
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