花のようなエレ 原題 helle ロジェ・ヴァディム監督 1972年 フランス映画 極私的映画レビュー あるいは小夜物語第68話
今はもう誰も知らない、、
そんな
忘れ去られた
映画
でも
私にとっては
永遠に忘れられない
映画、
○花のようなエレ ロジェ・バディム監督1972年
この映画を今、推奨するのはナーバスなことだろうとは思う。
知的障害の少女とその性的被害という問題を含んでいるからである。
たぶんにバディムの自伝的要素が加味された作品である。
あらすじ、、、、、
(あくまでも私の記憶のみであらすじを書いてますので細部は齟齬(記憶違い)があるやもしれません。
悪しからず)
1951年高校生のファブリスは南フランスアルプスに近い村にやってくる。
そこは、母が住む高原の別荘でもある。そこで夏季休暇をすごそうというのである。
そこは空はあくまで青く、山々は緑に輝いている。
野の花は咲きそろっている。
場面は変わり、、其の小道をエレという美少女が歩いてくる、
すると製材所の若者がいきなり抱き寄せる。
だが、逆らいもせずにエレはなすがままだ。
この少女はなにものなのだろうか?
ファブリスの母はまだ若くて、若い愛人の男と住んでいる。
そして兄のジュリアンはインドシナ戦争に志願したが今は傷病兵で
この別荘で毎日酒びたりの生活。
戦争のトラウマで捨て鉢な生活を送るばかりなのだ。
ファブリスは居たたまれず外へ出て行く。
そこで初めてファブリスはエレと出あった。
エレは後をついてくる。
そしてファブリスが、きのこを取るとそれは毒だから食べるなと手まねで教えてくれた。
それで、、、エレが口が利けないことをファブリスは知るのだった。
エレの母はギリシャ人で聾唖者でエレを産むとすぐになくなったという。
父は不明で、それ以後村の老婆が養育して育てたという。
ファブリスは毎日エレと会った。
川に遊びに行き、言葉も教えた。
オルガンを弾いて見せたりしても、、、、エレには聞こえなかった。
そして始めてのくちづけ。
ファブリスは町でガールフレンドを紹介される、その子は積極的にベッドに誘うが、ファブリスは辛くも
拒んだ。
彼はエレのことが忘れられなくなっていたのだ。
別荘に帰るとそこには母と愛人が、、真っ最中だった。
ファブリスは母の情事を許せなかった。
家を出るとファブリスは
食料を買い込みエレと山小屋にこもり、二人きりの無邪気な愛の生活を送るのだった。
母は動転して、兄のジュリアンにファブリスを探してくれるよう頼む。
ジュリアンはファブリスを探し出して、こういってのけたのである。
「いいか、この女は村の男たち皆のなぐさみものなんだぞ、13のときにドイツ兵にやられてから男狂いなんだ。」
そして荒々しくエレの服を剥ぎ取って裸にして見せるのであった。
ファブリスは怒り狂い、思わず石で兄を殴った。兄の額からは血が吹き出た。
ジュリアンは血の出たままで無言で立ち去った。
エレとファブリスは其のとき初めて愛の抱擁に浸るのだった。
そしてジュリアンは、、、
そのまま滝から身を投げて投身自殺してしまったのである。
ファブリスはやがて、エレとともに山を降りた、
そこでファブリスは愛人に去られ、長男をも失った傷心の母を見出すのだった。
ファブリスは母の肩を抱きエレを置いて去ってゆく、
エレはもう後は追わずに
ファブリスのもとを去って行く、、、、、
エレは何かに導かれるように人けのない村の教会に入ってゆく、、
エレは初めて本当に人に愛されているということを知り、
愛の哀しさも知ったのだった。
そして教会の奥の
キリスト像にそっと、、くちづけするのであった。
fin (終わり)
エレを演じたグエン・ウエルズはその後何本かの映画に出ていますが、
1993年42歳でガンで亡くなっています。
ここからは「小夜物語」的な物語になります。第68話
信じるか
信じないか
それはあなた次第です。
私のすんでいた片田舎の村にも、知的障害の少女が居ました。もう50年も昔のことです。
其の少女は、村のはずれのわらぶきの農小屋に住んでいました。
父親は行方不明で、やはり知的障害の母と住んでいました。
母親は農家の作女(農業の手助をして小銭を貰うこと)と自宅のわずかの畑で作物を作って生活していました。
娘は律子といいました。そのころたぶん18歳くらい?知的障害がありましたが、
顔立ちの整った娘でした。
いつも、髪を二つのおさげにしていました
顔立ちが整っていたためでしょうか?
それがために村の若者の慰み者になっていたのでした。
りつ子にはそれがどういうことともわからないようでした、
そして其のことを悪いとも分からないのでした。
私は当時小学校4年生の少年ですから其の話は母から聞いたのです。
私が見聞したわけではありません。
こういう話はあえて書く必要はありますまい。
封印しておいて
書かないほうが良いでしょう。
でもこの、エレの映画を見ると、つい、其のことを思い出さざるを得ないのです。
遠い
遠い
もうどこにもないような
幻想の村の?
物語を、、、。