白髪の少年と異界の少女
「なるほどな……記憶がねぇのか」
ミサキが店の中の受付にいる白色の象人に話しかける。その皴は深く何歳なのだかわからないがかなりの歳であることが推測できる。……もっともミサキは象を見比べたことないのであるが。
「はい、という事で明日まで泊めて頂けると幸いです。その……、あと、日本大使館への場所ってわかりますか?」
「ニホンタイシカン?よくは、わからねぇが神官様に聞いてみればわかるんじゃねえの。」
「はぁ、新館様ですか。新しい人になったんですねー。で、その新館様というのはどこへいるんですか」
(なんか、イントネーションに違和感があるな?まぁいいや)
「おいファイ坊、明日神殿まで案内しろ。んで、だ、嬢ちゃん。一宿一飯の恩義、ギブ&テイク、対価って言葉は知ってるか」
ミサキの中では、ギブ&テイクという言葉を漫画で見たような気がした。
「えっと、あたしに何を要求するつもりですか。まさか、体ですか!?」
「おぅ体を貸してもらうぞ」
冗談で言ったつもりのミサキは一歩後ずさる。
「じいちゃん。その言い方は語弊しか生まれないだろ……。えっとなぁ、家の宿は今ちょっとピンチを迎えててさ。人手が足りないんだよ。だから、ちょっとお手伝いをして欲しいんだ。」
「はぁ、なるほど。つまりお手伝いをすればいいんですね」
「まぁ、そういうことだ。とりあえずやって欲しい事は……」
というような感じでミサキは、お手伝いとして宿の清掃を引き受けることになった。宿の中は、地下1階、地上2階の3層構造になっており、2階と1回の客室全部で10部屋という宿にしては少ない部屋数である。しかし、その分一部屋が広く大きな構造となっていた。また、この宿に泊まっている人は長期滞在の人が多いらしく、一部屋一部屋の部屋の雰囲気はだいぶ違っていた。どちらかといえば旅館と言うよりマンションといった様相を呈している。
1階は酒場、併設しているらしく、石で造りの床と壁が、外の世界の熱を遮っていた。それでも、エアコンはないため暑いことは、暑いのであるが。
「暑い……。ここが、最後ね……」
ミサキは、一階の奥にある客間の扉をそっと開く。中からは、すぅすぅと寝息が聞こえる。
ミサキは、小さく声をかける。
「失礼します……。お掃除に来ま……参りました。」
ミサキは、扉を開ける。内装は他の部屋と違い内装が変わらなく、最初ミサキが通された部屋と同じようなものであった。ふとベットを見ると黒髪の少年がベットの上で眠っていた。その顔は、まるで人形のような外観であり、肌が雪のように白い美しい少年であった。
「わ……、ってぼーっとしてる場合じゃなかった。お仕事お仕事っと」
床をサッと掃き部屋から出ようというとき、少年は目覚めた。ミサキは、少し驚く。
「あ、あわわわ、おはようございます!目が覚めたのですね」
その瞳はルビーのような赤い目をしていた。少年はその赤い吸い込まれそうな瞳をパチクリさせて少し戸惑ったような表情をしながら、部屋を見回したのち少女を見つめる。
「えっと、では失礼しますー」
っと部屋を出ようとドアに向かおうとしたミサキの服のネックを掴む。
「はひっなんでしょ!?」
少年は、何かを出そうとするが無いのに気が付く。困ったような表情を少しした後、両手で四角をジェスチャーした後、手首をペンをもつようにして波打ちさせるようなモーションをとる。
「えっと、もしかして喋れない……?それで、ペンと紙が欲しい……とか?」
コクリと頷く。
「わかった。えっとじゃあとってくるから待ってて!」
ミサキは、どたどた駆ける。
「えっとおじさん、紙とペンある?」
壁の向こうからミサキの声が少年に届く。
「店の中で駆けんな!」
さらにデカい声が響き渡る。その後静寂の後、ドアが開く。
「おまたせー……じゃなかったお待たせしましたー。ペンじゃないけどちょっと変わったの持ってきたよ……ました。インドって羽とナイフで文字を書くのね。びっくりしたわ」
少年は少し呆けた表情と共に、理解をし、そして肩を震わせそして――――
「あっははは」
堪え切れずに爆笑した。
「なっ、そこまで笑わなくてもいいじゃない……ですか。―――それで、えっとあなたの名前は?」
少年は羊皮紙にサラサラと書き始め……途中でナイフで削った。
(あっナイフってそう使うのねー)
「ファースト……?あなた、ファーストっていうんだ……ですね」
コクリと頷く。
「私、ミサキ、月明ミサキっていうの。よろしく……おねがいしますね!」