27話 愛しき記憶
防備スーツの酸素切れ、スーツを脱ぎ捨てた。
愛しき体を抱き締めて、愛しき声に包まれて――。
冷たい彼が、私を包み込む。
邪魔されたくない、誰にも。
彼の硬い体を感じて、冷たい温もりに包まれた。
愛しき声を逃さないように、声に傾ける。
「――あ……ねぇ……、あ……ね………、あか……ね……。」
彼も私を求める声。
私は……なんて幸せなんだろう………。
「……俺を殺してくれ……殺してくれ……」
ーーー電子体目線ーーー
霞む目線を腕でこすり、頭を持ち上げて。
喉奥の異物に吐きだして、顎と首に流れ落ちる。
鮮やかな赤が体から湯気がたつ。
見てられないなく………、赤髪を撫でてやると、彼女は優しく微笑んだ。
彼女は弱っていく。
彼女を担ぎ、医療センターの瓦礫をかき分け、壊れてない医療ポットにいれる。
医療ポットのむき出しにカバーを剥き、基盤に腕から伸ばしたコードを差し込み電源を入れる。
コクーン型の外装は割れむき出しにし、内蔵された医療機アームは彼女を引き裂いた。
目の瞳孔は開き、痙攣する。
医療ポットは、処理をやめず。
治療を続けた。
麻酔薬なしに苦しむ彼女、耐えかねては死んでは、生き返らせる。
彼女の断末魔が鳴り響く。
大切なのに、心は痛くない。
大切な人が苦しんでるのに。
¨――見てみろ、守りたかったものの苦しみを……。¨
やめてくれ
¨――楽にしてやれよ……、殺しちゃえよ……¨
やめてくれ
¨首を絞めてやろうか?あかねちゃんを¨
気安く触るな、やめろ。
¨ほら、治療が終わるぞ、今のお前をみてもらえるな。無様にキカイになったおまえを¨
やめてくれ
「アアアイアァァ……」
治療が終わり、コクーンから彼女が弱々しく俺を見上げる。
「……ああ……要さん……?」
手を差しのべてくる彼女。
「要さんなの……?」
俺は、俺は……。
否定したい、否定したい、否定したい、否定したい。
¨お前の体はキカイだよ¨
「要さん……良かった……会えた……」
「俺は……なぜ……電子体になったの?」
「わからない……」
「あかねは、かなめさんが電子体でも会えて良かった……」
「ああ……」
¨……殺せ……愛しき人に拒絶される前に¨
「かなめさん……死んじゃったけどこうして会えた……」
「あかね……俺も会えて良かった……ちょっと外にいこう……」
あかねを抱き抱えて、外に行く。
視界にノイズが走る。
あかねを瓦礫に座らせて。
「あかね、俺は電子体が嫌いだった……」
「うん」
「親父や仲間が電子体になって狂っていくのを見ていた……」
「うん……」
「俺は、死んでいる。紛れもなく俺はあかねの知ってる要ではない、だからあかね……」
「殺してくれ」
「いや……」
ノイズが頭に広がる。
¨ハハッ……お前が死のうが俺が乗っ取りってやる¨
「あかね、お願いだ……」
¨させるかよ……¨
勝手に右腕があかねの腕を枝のようにへし折る……。
「殺してやるよ」
¨やめてくれやめてくれやめてくれ!!¨
「がぁ……ハッ…めぇ……かなめさん!!……貴方の為なら死んでもいい、だから貴方は私は殺さない」
ああ……なにもできない。
何も何も何も何も何も何も何も何も何も何も何も何も何も何も何も何も何も何も何も何も何も何も何も何も何も何も何も何も……
「アァあああ…………アアアイアァァアアアイアァァアイアアアアアアアァア¨………」
左腕を制御を奪い、自分の頭を引き剥がす。
止まってくれ止まってくれ
「かなめさん………しんじゃだめだよ……かなめさんはだめだよ……」
俺は俺を、引きちぎり……ノイズが頭で騒ぎだしたが……無視した。
「あかね……ありがとう」




