20話 欲と見栄
総括司令室、客用のリッチな椅子に座りあぐらをかきながらぐったりと座り込む二人がいる。
頭が思考が止まりたい、眠りたい。
復興進捗率は80%に達した、だが、インフラ面だけだ。
シェルターの事件や取り逃がした電子体の居所がつかめてない。
重圧が頭を押さえつける、ちくしょう……頭が動かねぇ……。
頭を抱えながら眼をじっとつむる、死んだあいつが思い出しながら左手を自分を抱く。
眉の間にシワを寄せて、唇を噛み締める。
戦闘員事務の自分の席に無造作に地図を広げて、区エリアを赤で塗りつぶした。
ボキッと鉛筆で折れる………その残害をしばらく見つめて、頭を振る。
息抜きで、俺専用の安全な所に逃げ込む事にした。
事務室を抜けて、廊下のエレベーターに入る。
ポケットに手を突っ込み背中を壁にあずけ足を肩幅より広げる、階数表示を見つめる。
目的階数に到達し扉から数歩行くとスーツの紳士的なで頭良さそうなインテリ野郎がいる。
歳は俺よりは若そうだが……頭の中は倍以上に脳ミソはシワがありそうだ。
こいつは、嫌いじゃない。
「すまん入らせてもらうよ秘書官、よう総括」
高そうな机で資料を見ていた総括が、横目で見てから首を傾けてきた。
客用のソファーに俺は寝転ぶ、胸ポケットから煙草を出し口に加えてる。
カンッと、鈍いたてながらジッポに指を擦る。
だが、火がつかない。
「チッ」
インテリ男が、近づいてライター取り出して火をつける。
「中佐……」
「わりぃ……」
こいつは嫌いじゃないんだよな。
フッーと白煙を吐きながら総括を見る。
「総括……奴等なかなか粘りやがるな」
「名誉フランス人がほしんだろう、外国人部隊でだらけだしな」
「めんどくさい……無駄に向上心たかいからな」
総括がチェアーから立ち上がり歩みよる、ゴトッと客用のテーブルをガラスの灰皿を置かれる。
灰皿に手を伸ばす……総括が灰皿を寄せて灰を受け止めた。
「ダリルも外国人じゃないか?」
「俺は元々、在日米軍と在韓米軍のハーフだ」
「なんだそれりゃ……、アメリカ人なんだろ?」
「物心ついた時には太平洋のアメリカ海軍の空母にいてな……ふるさとかは無縁だったよ。確かにアメリカ軍だったが………日本沿岸ばっかだったからな……陸が古さとみたいなもんだな……」
「そうなのか?太平洋海には電子体とかはいなかったのかい?」
「いたといえばいたぞ?鯨に張り付いていたやついたな……」
「そう言うときは鯨ごとなのかい?」
「いや、鯨に当たっちまうから攻撃は無理だったよ……国際条約に反するからな」
「見逃したのか」
「いや、バカなやついてよ泳いで電子体までいったんだが、腰抜け扱いになっちまったんだが、そいつの話に面白いだよ。あの電子体は海底冒険してるって話だってよ……上官にまで笑われていたよ」
ダリルの腕時計がアラームを鳴り響く指で止めると気だるさがました。
次の仕事が待っている、ため息を漏らししながら眼をグッと閉じて、メリハリをつけようと切り替えようとしたが、膝元に重圧が感じ始めた。
総括はダリルの膝に乗り、甘えて話の続きを催促する。
秘書官はバインダーのスケジュールをくしゃくしゃに揉み机に置いて、肩を落として部屋からでていってしまった。
「そいつ電子体と話したんだってよ……海底の8000メートルに古来の生物いるとかって話をされたみたいなんだ。大発見の皆で喜ぼうとか言って電子体にビーコンを2つ渡したんだよ。一つは電子体にもう一つは古来の生物とかいってな……」
秘書官はお盆にコーヒーカップを用意しテーブルに置いて二人と自分に紅茶を注ぎ始めた。
やれやれ……苦笑いしながら、総括専用の椅子に腰かけながら、二人の会話を聞き始める。
「へぇ、電子体って自我崩壊するってやつはいるけどぶっとんでるな……」
「ぶっとんでると思う、だがよ……水素式小型バッテリー搭載のビーコンだから100年もつんだよ。今だにビーコンが太平洋で反応してる……軍上層部は悩ませたんだよ色々と電子体が時々データ送ってくるから……」
「データって?」
「古来の生物の……」
総括はダリルに振り向いて微笑む、そこには愛しい寝顔が見えていた。
「まったく甘えん坊だよ……」
ーーー
「やめていただけますか?」
「なんで?」
「あの………ダメ、な、なんだから!!」
「いいじゃないか……」
柔らかいプニプニを手で堪能し、にぎにぎと感触楽しむ。
形を変えるたび、声を発する。
まるく柔らかいを鷲掴みに揉みしごく。
あかねは、口を尖らせうきうきに触り始める。
「やめてください」
そういうとあかねも手で揉み恥じていた。
「ウギュー」
モミモミ
「ンギュー」
モミモミ
「ギュギュー」
リビングで二人でミジンコネズミを弄んでいた。
にぎにぎするたび、触角をピーンとのばしてくる気持ちは悪いな……。
「ふふっかわいいです」
「へぇ……」
感性が疑いたくなる。
俺からミジンコをあかねは取り上げ開放してあげた。
ヴギューと声を出しながらプカプカと逃げ去っていく。
「こいつ、エサとか大丈夫なの?」
「食べているみたいです」
「ん?」
「えっと粒子を蓄えて質量にしているみたいです。ミジンコの透けたお腹を見てください光ってるのわかります?中の中央」
「光ってるね……」
「あれが食べた粒子みたいです。浮力も粒子を放出してるみたいです」
「すごいんだな」
「そうなんですよ、無機質や有機質では考えられないものが備わってます」
「へぇ……」
キラキラしながら、喜ぶ女の子かわいいです。
「これどうするの……?」
「どうしましょう……」
ーーー
電子体が襲ってこなかった。
3000キロ範囲でレーダーを張り巡らしたがソナーに反応はなく。
不気味に一年以上たっていた。
フランス支援部隊は今だこの支部に残っていた。
ベース近くいる残留兵をみながら、違和感を感じている。
「要君、おまたせ」
「唯さん、すいません呼び出して」
彼女は、ぷくーと頬を膨らませた。
「唯ちゃん呼びなさい。畏まらなくて良いから」
「……了解です……唯ちゃん」
「それで、あかねのお父さんって言うのは?」
「あれです」
コートを羽織って黒渕メガネを曇らせ。
いまだに、写真片手に探していた。
「なんか……不気味ね……」
「ええ……」
「接触してみましょう!!」
作戦をねってから接触するつもりが……台無しだよ唯ちゃん。
あ、一人でいかないで……。
「ア、コノマエノ」
「どうも、見つかりました?」
ひきつりながら笑顔を見せる俺。
「コチラノ、カタワ?」
あっ、どうしよう何も考えてなかった。
どうしよう。
「姉です!!」
唯ちゃん!!!やめて!!!
それと、背中に回した手でグッドポーズしないで!!!
「キョウダイデシタカ、ニテマセンネ」
そりゃ、違うもんな
怪しまれてるじゃないか。
「弟から事情を聞いています」
「ええ、姉も手伝ってもらうことになりまして……」
「娘さんの素性を詳しく教えてもらえれば協力しやすいなと今日はお邪魔させていだきました」
「ホントウデスカ!!タスカリマス!!アサカライタカラ、スワリナガライイデスカ?ツウテキテクダサイ、スワリナガラハナシマショウ」
ベースの野営に進んでいく。
大型のテント中に入るとベットと机があった。
資料の山が机にあった。
「スワッテクダサイ」
折り畳み用の椅子2つ出してきた。
「娘さんの写真みせてもらえますか?」
胸ポケットから取り出すそれを、唯さんに渡す。
「……」
一目みて俺に無言で見て、頷いて返した。
「ありがとうございます……写真だけじゃ……なかなか見つかりませんよね……」
「ええ、彼女の名前はわかりますか」
「ワカリマセン……」
「じゃ……なぜここに?」
「コレミテクダサイ」
端末をタップして見せてきた。
文字が読めないフランス語なんだろうか、小さな画像がみえている。
赤い髪のようにみえるが、帽子をふかくかぶって顔もみえない。
荒野に人が縦に入りそうな幅くらいの穴に集合写真。
白衣を着た人たち。
「ココニイルノ、タブンムスメ」
端末を見せ終わり端末を見始める。
唯さんはわなわなと滝あせかいている。
「なんの写真なんですか?」
ビクッと唯さんが動いたような……。
「チシツテキ?コウケンシャ?ミタイデスネ」
「研究者なんですかね……娘さん」
「カモシレマセン」
「ラボにいかないのですか?」
「ハイレマセンデシタ、タチイリセイゲン」
総括が警戒しているからな……。
フランス支援部隊に自由に支部を闊歩できないようにしてくれたんだろう。
「ナマエ?ヨイデスカ?」
「俺らの?」
「ハイ」
「橘 要です」
「唯です」
手を目線で隠し、唯さんはまるで顔だしNGのやましい店にいそうな仕草を。
「アノコレ?アナタデスカ?」
ハッとなる唯は、顔を隠した手のひらが開かれてた。
ばれました。
画像に赤髪の女の子の横に唯さんがいました。
ーーー
「どうしてこの人がいるの?かなめさん」
返す言葉がありません。
リビングで正座しています、向かえ合うように正座するあかねさん。
「だって……」
「本当に唯までどうして?」
「だってほら、いつもお世話になってる物挨拶くらいしたいと思うじゃない?」
唯さんだけ、リビングに椅子に座って俺と対応ちがくないか?
「アノ」
ピリッと空間が変わる。
あかねはうつむきながら立ち上がる。
椅子に座ったお父さんに向きあう。
「初めまして……お父さん……」
スーツの大柄な男は、涙する。
大の男が流してる涙し、あかねに近づく。
あかねは一歩二歩さがる。
お父さんもそれを見て、立ち止まる。
メガネをとり、ハンカチで拭き取りながら嬉しそうな顔をひきつりながら見せて。
「ゲンキソウデヨカッタ……」
「はい……」
「アカネ……イキテテヨカッタ…」
しんみりと話し出す、あかねうつむいたまま。
「お父さん……ごめんなさいあまり覚えてなくて」
「アア、イチドシカアッテナカッタ……コノトキ」
写真を取り出す。
「コレシカワタシニハナカッタ……」
座ってくださいと唯さんが椅子を差し出す。
手でありがとうと返す。
「私も話に入っても良いでしょうか……?彼女のためにも」
唯さんは、ガチガチになったあかねの肩を撫でる。
あかねはいつのまに涙を溜めていたのに気づいてやれなかった。
シワを寄せて、下唇を噛み締め足がカタカタ震えている。
「ハイ……」
「英語話せますか?喋りにくいですから日本語」
「はい、できます。配慮ありがとうございます」
唯さんの気転で話しやすくなった。
「あかねと1度しか会えなかったとはどう言うことですか?」
「それは……、私が正規で産ませたわけじゃないからです、私の妻は子供を生めませんでした……だから私はなんとしても産む方法を探しました。政治的な知名度は同時あった私はお金で業者に頼みました。全財産の引き換えに妻に夢を叶えることに成功しました……彼女あかねは生まれました。母体は亡くなりました……」
メガネを胸ポケットにしまう。
「私は……心が壊れてしまったのです……妻をなくして子供なんて育てられる余裕はなかった……資金を寄付していた……あずけました……それが日本の七瀬夫妻です……七瀬夫妻は元気ですか?」
横にあかねは首をふる。
「死にました……」
力を抜けたように手をブラーっと足らす。
「そうでしたか……親切な方でしたから残念です。御返しができませんねもう……」
「あかねさんのDNAは特殊みたいなのはどうしてですか?」
びっくりしたように眉が上がり、唇も広げる、
「そこまで知ってましたか、私は墓まで持っていくつもりでしたが……ベースは妻のDNAですが……妻が娘に夢を注ぎ込んだのです……私は……」
「お父さん……」
「妻にそっくりな娘です……でも……勘違いかもしれません」
「え?どう言うことです?」
「娘はいません……私の勘違いです……娘は金で作った紛い物だと思われたくない……だから……勘違いなのです……あかねさんは私の子ではありません……」
ぐっしょり涙をこぼしながら、謝罪する。
「不敏な思いをさせたね……赤い髪にしたの恨んでいないか私は私は………罵倒してくれ……」
「お父さん……恨んでないよコンプレックスだけど……でも褒めてくれる人いるから」
「そうでしたか……私はあなたに何もしてこれませんでした、しませんでした……でも……最後に謝らせてくれ」
深く深く謝罪した。
「お父さん……謝らないでいいから……」
彼女は父に抱き締めた。
本当の家族、壁があるだろうけど。
彼の疎い愛情は伝わっただろう。
不器用な父の小さな見えない愛情に。
ーーーー
「本当にありがとうございました」
「いいえ、良かったです合わせられて」
「かなめさん、あかねと一緒に住んでると聞いています」
「ええ……」
「お願いしますね………彼女を大切にしてください」
娘の再開に寂しげにみせた、横顔を違和感を感じていた。
「次も会えますよね?」
「いえ………寂しいのです……久しぶりに知り合いに会いにいきます……そのまま……戻りません、会えません」
その言葉の意味に気づけなかった。
「あなたの名前を聞いても?」
「名乗るなはありません、15年前に捨てました……」
次の日、彼は眠るように服毒自殺をしていた。
これを彼女に伝えるべくか、きっと深く傷つくだろう……立ち直れない彼女が目にみえる、それでも伝えなきゃいけない。
それでも彼女に、俺は告げたのだ。
彼女は、溢れる涙で空をみやげて泣いていた。
父の繋がりを思っているのだろうか……一枚の写真を空に掲げて……。
ただ言えるのは彼女の血は、父と母の希望でできている。
ーーー
夜。
リビングの椅子で寛いでいる。
あかねもリビングで寛いで、テーブル越しの椅子に座っている。
ふと眼があう、無言のまま微笑み返してくる。
髪は肩まで伸びていた、でもそこには
「かなめさん、何かな?」
「いや、何でもない……」
何でもない訳じゃない、タイミングを探っていた。
タイミングって?告白のな
「かなめさんさっきからずっーと見てくるよね?」
「ん?かわいいなって」
「え……」
手を顔で隠すあかねは、頬が赤くなる。
眼を何度もそらして、だけど俺の眼を見てくる。
「かなめさんに初めて言われたので恥ずかしいです」
胸元に両手をグッゥと拳作って、感想を述べている彼女が愛らしい。
「珍しいですね、あかねに可愛いとか言うの」
今まで言わなかっただけだよ、恥ずかしいからね
「でもどうして急に?」
「好きだからだよ」
みるみる、赤くなるアカネ。
手を差し出して、そっと彼女は手に絡ませてくる
柔らかい手に握り返す。
「私も大好きです」
頬に温かくなっていく。
これで、俺の気持ちはあかねのものです。
「あの、あの……」
上目遣いで見つめてくる。
吐く息が近づき、そっと口ざむ。
「キスお願いします……」
手を引き寄せ、頭が重なる。
頭を離すと、うっとり微笑んだ彼女がもう一回と頷く。
今度はさっきより二人は重なっていく。




