異世界で作る生きる意味
すみません、本当にすみません
なんて言うか、この話を読み返していたら、何だか、この話が浮かんできて、こっちのほうがいいんじゃないかと思い、超大幅改定をしました。
こんな、作者ですが、よろしくお願いします
あと、タイトルも変えました、
なんだかこっちのほうがしっくりくるんで
「うそ・・・・・なんで・・・・なんでお父さんは帰ってこないの長!!」
「ピィオナ・・・すまぬ・・・これは必要な犠牲じゃ、お前の父はの、お前を守るために帰ってこないのじゃ」
「嘘!嘘嘘嘘、お父さん帰ってくるって言ってた、絶対に帰ってくるって言ってた、お父さんが約束を破るはずがない」
「はぁー、ピィオナよ・・・あきらめよ、お主の父は死んだ!!これはどうあがいても覆せない事実じゃ!!それぐらいお前にもわかるじゃろピィオナ!!」
「そんな・・・そんな・・・そんな!」
そのとき
「ざっざっざ」
誰かが来た
「お!ようやく準備が整ったか」
「は!長よ、第二次鉄皮討伐隊総勢400名の準備ができました。長の命令あらば、直ちに出陣できます」
「うむ、では直ちに出陣じゃ!・・・幸運を」
「幸運を」
「お兄ちゃん!お兄ちゃんも行っちゃうの?」
「ピィオナ、俺は絶対に帰ってくるから大丈夫、それに、俺は親父を殺した鉄皮が憎い、なに、大丈夫だ、おれは親父みたいに死にはしない、それに負けそうになったら撤退するよ」
「本当!本当?」
「本当だよ!俺は親父の敵を討ち、ここに戻ってくる」
「第二次鉄皮討伐隊直ちに出陣せよ!!繰り返す!第二次鉄皮討伐隊直ちに出陣せよ!!」
「じゃあな、ピィオナ、行ってくるよ」
「やだよ・・・心配だよ・・・」
「じゃあな」
お兄ちゃん死んじゃったの?
ピィオナよ、仕方がないことじゃ
叔父も死んだの?
ピィオナよ、お主の為に死んだのじゃ
みんなは?今まで一緒にいた、一緒に暮らしてたみんなは?
・・・ピィオナよ・・・もう何を言っても無駄じゃ、我々は滅びるのじゃ
「ガバッ!!」
「私はあきらめたりなんかしない!!・・・あれ・・・ゆめ」
そうか・・・私はあの時の夢を見ていたんだ・・・あの思い出すのも苦しい現実の夢を・・・マコトと別れてから、今までの疲れと疲労がたまっていたのか、木にもたれて眠ってしまったんだっけ・・・
いや・・・もしかしたら、私が希望だと思ったマコトに裏切られ、そんな現実を寝ることによって、忘れたかっただけなのかもしれない。
「・・・・・」
私は、そんな事を思いながら、未だに暗い夜の空にきらめく、青い光を見た・・・この青い空を見れば、少しは心が落ち着くと思った、だけど、ちっとも落ち着かなかった。
・・・・あの空を見ると、マコトのことを思い出してしまう・・・そして怒りも・・・いや・・・何思っているんだろう私、マコトは、ただの通りすがりの人間、私たちを助けなければいけない義理なんかない、あんな・・・自分には関係ないとか、そんなひどいこと言われたって、何の問題もないじゃない、それに、マコトは、マコトを騙した私を許してくれたではないか・・・
だから、どちらかと言うと、私がマコトを助ける義理があるといえる・・・・
・・・もう忘れよう、マコトのことなんて・・・覚えていても、もうなにも良いことはない、所詮、現実は、いつもそうだった・・・やっぱり、これが、あの歌にもあった、運命だったんだ・・・
それに、私たちバケギツネ一族の死が近い、その前に鉄皮の所へ行かなくては・・・
お父さん、お兄ちゃん、叔父の所に行くためにも・・・
ピィオナは、生きることも、生きる意味を・・・失いかけていた・・・
「・・・・・・・・・・」
俺は現在、まるで収容所に行く、捕虜みたいに、暗い顔で、ただただ下を見ながらピィオナが作った、けもの道を歩いていた。
ははっ、なんで俺暗くなっているんだろう・・・これでやっとちゃんとした人間が住んでいる場所へ行けるんだ本当なら泣いて喜んでもおかしくないはずだ。
それに、あれは仕方だなかったはずだ、災厄級とか言うやつを、ただの日本の平凡な高校生が倒す?
そんな無理難題なことをできるはずがない。
どうせピィオナと一緒に死ぬだけだ。
確かに、あいつはどうやら虫みたいだから、あのナメクジバッタを倒すことのできた殺虫スプレーを持っていれば、勝てるかもしれない、しかし、所詮は殺虫スプレー、ナメクジバッタの時はただ単純に攻められたおかげで、相手のある程度簡単な未来位置が予測できたからこそ、初めて勝てたんだ、
そうでなければ、射程範囲が1メートル行くか行かない殺虫スプレーを有効に命中できるはずがない、これをあてるには、まさしくぶつかるのも覚悟で接近しなければならないつまり、ナメクジバッタに勝てたのは、奇跡に近いのである。
それなのに、災厄級だなんて名前が付く相手のモンスター倒せと、無理だと思うのだが・・・それに所詮は俺は生身の人間、いくら殺虫スプレーを持っていたところで、ピィオナが使っていたキツネ火だけで死ねる、災厄級は、つまり鉄皮は、もっと強いのを出せるのではないか?俺なんか影の形もなくせるような魔法を・・・そう考えれば、この選択は正しいはずだ。
それに俺は・・・ピィオナのために戦う理由なんてものは無いしな・・・生きるためにも・・・
そうだ、死んだらだめだ、いつも生きる意味がないとか思っている俺だが、必ずこう思う、母さん達に心配をかけたいないと思う気持ちと、こんな世界の果てどころか、異世界で死にたくはないという思いもあるが、やっぱり一番こう思っている理由としては、あの番組のせいかな・・・
あの番組は、一回見ただけでも何回も何回も、生きている意味のない人は何が何でも生きなくてはならないと、もはや洗脳するかのように言ってたな、生きる意味を作るためにも、生きなければならないと。
「・・・・・・・あ、明かりが見える」
そんな事を考えていたら、いつの間にか森の外に出ていた、遠くには明かりが見えていた、おそらく街の明かりだろうか・・・だけどよく見るとその明りには違和感がある、その明りの種類は、いわゆるネオン光や電灯の明かりではない。
その明りの根源は・・・恐らく火だろうな・・・
「・・・・・・・・は」
・・・ははっ、確かに少しは予想していたよ、確かにこんな魔法なんかがあるファンタジーな世界なんだからそんな物があるはずがない、車もインターネットも、そして、警察みたいな頼りになりそうなものも、当然、知り合いなんかも・・・全く未知なる世界なのだ。
「どうすればいいんだ」
そう、この世界に俺の居場所なんてものはない、初めからわかってたはずだ、ただ、それをわかってすらいなくて、否、分かりたくなかった、俺様得意の現実逃避をしているだけだった。
そして・・・俺にはここが何所なのかも分からない、ピィオナに聞くの忘れてたしな、ていうか言葉はちゃんと通じるのか?ピィオナの時はちゃんと通じたけれど、もしかして、それはピィオナがバケギツネだったからじゃないのか?そして、この世界の文字をちゃんと読めることができるのか?
さらに、ここはファンタジーな世界だから、現代日本みたいに、ちゃんとした人権というものがあるのかも分からない、上級階級なやつらに、理不尽に殺されたりしないのか?いきなり盗賊とかに襲われ、身ぐるみを全部取られた揚句の果てに、一生奴隷の運命になるのではないのか?
そこに、俺の、生きるとか、俺が作ろうとしていた、生きる意味なんてものはあるのだろうか?
そう考えると、街の明かりは暗く見え、反対側のピィオナが居る森のほうが明るくなってきたような気がした。
「・・・・・・・だけどな」
だけどな・・・やっぱり、向こうに行ったら、戦わなくてはならない、その戦いは、ゲームで通信対戦するというものと、360度違う、アメリカと中国ぐらい違う、本当の殺しあいだ。
それに、もしかしたら優しそうなおじさん?そんな人に、助けられる可能性だってある・・・そう考えると、やっぱり、こっちのほうが、いいかもしれない。否、こっちのほうが良いに決まっている
「・・・はぁー、結局俺は、どうすればいいんだろうな・・・」
結局決断できなかった俺は、やっぱり人間の習性というか、性なのか、やっぱり暗くて不気味なピィオナの森より、明るい人間の街へ、俺は歩いて行った・・・この世界の人間がまともであるように願いながら・・・
しばらくしていくと、ちょっとばかり小さめな城壁と大きな扉、おそらく、この街の入り口なのだろう、そんな場所についた・・・しかし、しかしだな・・・何?あの扉の前をとうせんぼうしている、いかにも中世の騎士みたいな奴は。
あれか、検問ってやつか、なんか見ず知らずのものが入らないよう見張るような感じの人?・・・やばいじゃん、俺、360度全方面、どこからどう見ても不審者やん、俺の格好は、バリバリの現代日本の高校生の制服姿やー、ああだめじゃん、まさか服装で怪しまれないように裸で行くというのは論外だしな。
・・・ってあれ?もしかして八方塞がり?ピィオナの森にも行けず、この中世感がまるで滝のようにあふれている町にも入れないってこと・・・
・・・・・チーン
「はぁー、最悪だ」
あまりにもの脱力感で、俺は地べたにへなへなと座り込んだ。
あー、と空を見上げて、悲しそうに星空でも見てやろうかなーっと思ったら、生憎のこのよく分からん夜の空に煌く青いオーロラのせいで星が見えん、もうオーロラは見あきたしな。
「あーあ、このままおれ死んじゃうのかな・・・ははっこれじゃあマジで生きる意味なんて、無かったんじゃなくね・・・」
俺はこの八方塞がり状態によって、ネガティブになっていると、ガツガツと足音が聞こえてきた。
あ・・・もしかしてあれか、盗賊か、なるほど、おれの身ぐるみをはいだ挙句の果てに、売り飛ばしにきたか。
「このくそやろー!!くそ盗賊め!そんなに俺を奴隷にしたいのか?ふざけるな!!ふざけるなこの糞やろー末代まで呪ってやるーーー!!」
俺は狂ったように言いながら、その足跡が聞こえた方向に懐中電灯を照らした。
そこには
「・・・・・・・はい?この若造、何言ってるんだ?」
そこには、髪の色が緑色とそれと同じ瞳をした、30歳くらいのひげを生やしたちょっとしゃれたおっさんが立っていた。来ているものは、中世の農民みたいな恰好をしている・・・・あれ?間違えた?
「・・・・すみませんでした」
はぁーこの世界にきて、何度目のどげざだろうか、とほほほほ
「ははっなるほど、私を盗賊かと思ったのかね、若造よ、まったく失礼な奴だ」
「すみませんでした」
「まあ、そんなことはどうでもよい、そのことを怒りにここに来たのではないのだからな」
「え?」
どういう意味?
「お前さん、そんな怪しい恰好しているが、なんというか、殺気というものが感じられん、よほど平和に暮らしてたんだな、まあとりあえず、そんな若造が、こんな町の国境で何をしているのかが聞きたくなってここに来たのだが、で、どうしてこんなとこに居たんだ?」
「それは・・・」
どうすればいいんだ?まさか本当のことを言うわけにもいかないだろう、嘘をつくにしても、そんなすぐに嘘など思いつくはずがない。
「・・・・その・・・あの・・」
「ははっまあ、誰にでも言いたくはないことはあるさ、とりあえず、わしの家に行かないか?」
「え?」
「ほら、何とぼけている、このままこんな寒い場所にいたら、凍えちまう、さっさと私の家に行くぞ」
「・・・・・・はっ、はい」
なにこれ・・・え?もしかしてこんな最悪な俺を助けてくれる的な?・・・・やったーー!!天は俺を見捨てなかった!!
俺はそのことにちょっと舞い上がりながら、一様なぜにこんなに親切なのか聞いてみた。
「ねえ、そう言えば、なんで、こんな見ず知らずの俺に、こんなに親切にしてくれるのですか」
「うん?決まってるだろう」
そうクラツさんは言ったあと、こう断言した。
「お前が!!面白そうなやつだからだ!!」
ああ、この人変なおじさんだわ・・・異世界にもいるんだ、こういう変なおじさんて・・・
「そう言えば、自己紹介がまだだったな、私は、クラツだ、お前さんの名前は?」
歩きながらそう言うクラツさん、おれもその質問に答える
「あ、おれの名前は境井真です」
「うん・・・名前からして、遠くから来たようだな、サカイが名か?」
「ああ、違います、境井が名字でマコトが名です」
「ほーそうか、ではマコトよ、ちょっとこれを持っててくれ」
そう言われ、何やら、30センチ位の木の板を持たされた、なにかフェニキア文字のできそこないみたいな文字が書かれている、ああ、やっぱり文字が読めん、なぜか言葉はわかるが・・・なぜだろうな、だけど、いくら考えても、どうせわかんないだろうし、考えても無駄だ。
「それは、簡単にいえば、あそこに見える町の通行手形だ、それを見せれば、いくら怪しいお前さんでも、いとも簡単に通れるぞ」
なるほど、これが通行手形か、いやークラツさんには感謝しなくては、まてよ、
「クラツさんのは?」
「ああ、私のか、大丈夫もう一枚あるからな」
そういって、クラツさんは、もう一枚の通行手形を持ち出した、どうやら二枚持っていたらしい、なぜに二枚も手居たんだ?
「なんで、二枚も持っているんですか?」
俺は疑問に思い、そう質問した
「ああ、偶然だよ偶然」
納得いかないが、せっかく助けてくれた人に、そこまで問い詰めるのも失礼だし、もしかしたら機嫌が悪くなるかもしれないから、問い詰めるのをやめた
そうこうしていると、門が見えてきた、結構でかいな、5メートルぐらいはある、それと同時に、騎士みたいな人の姿が鮮明になる、真夜中、火の光に照らされる、黒い鎧をかぶっているその姿は・・・超こえーよマジで!!腰にかけてある剣もこえーし、やべーありえないほど緊張するんだけど、切り捨てごめんでもされそうなふいんきだし。
「マコトよ、どうした、震えているぞ、もしかして、緊張しているのか?大丈夫だ、通行手形さえあれば何の問題もない、堂々と進め」
そう言われても、やっぱり緊張しながら、超怖い騎士みたいな人に通行手形を渡す、騎士みたいな人は、念入りに俺のとクラツさんの通行手形を調べている。
「ふむ、大丈夫のようだ、こんな夜中に何をしていたのか知らんが、モンスターに襲われるかもしれないから、あまり夜中に町の外に出るなよ、門を開けろ!!」
騎士がある程度愚痴を言ったあと、そう叫びぶと、ギィィィィーーーー!!と迫力満点の門が開いた、やべーなんだか格好いい。
「通れ」
「行くぞマコト」
「はっはい」
俺たちは門をくぐりぬけた。
門をくぐりぬけた先には、そこら中にある松明に照らされている街並みが見えた。うーん、並んでいる家の特徴は、教科書で見た中世ドイツの街並みそっくりだな・・・マジでファンタジーな世界に来たんだな俺。
「私の家はこっちだ」
そう言ってクラツさんは歩きだす、俺もあわててついて行く
数分後、木造だがどこか西洋じみた家に着いた。
「ここが私の家だ、息子と、その息子の叔父と一緒に住んでいる、さ!入った入った
そうクラツさんは言ったあと、ドアをギィーと押してあけ、その家に入った、恐る恐る家に入る、何だかやっぱり緊張するな~
「あっお帰りオヤジ、その人は?」
家の中には、本棚と、大きな机、その横に、四つのいすとその他いろいろな家具が置かれてあった。そして、その大きい机をぞうきんで拭きながらそう言ったのは、俺と同じぐらいの歳の男、たぶん、クラツさんの息子だろう、容姿としては、170センチぐらいで、クラツさんと同じ緑色の髪と、緑色の瞳だ、そして、その奥のいすに座るおそらく40代ぐらいのおじさん、容姿としては、イッチやクラツさんと同じ、緑色の髪にそれと同じ色の瞳、眼鏡をかけている人が座っていた。
40代のおじさんが、俺と同じぐらいの年の男に続いて言うように言った。
「またか、クラツよ、お前さんはそうやって、いつも見ず知らずの人を連れてくる、で?今度は何だ?何やら可笑しな服装をしているようだが」
「ああ、紹介しよう、この人はサカイマコトと言う人だ、苗字がサカイで、名がマコトらしい、それで、この人は、今まで俺が連れて来た人の中で、最も面白い人だなんだよ!なんと、真夜中町の外で途方に暮れてたんだよ!!どうだ、ある意味すごい奴だろう、しかも武器らしきものも一切持たずにだ、普通ならモンスターに襲われて死んでいてもおかしくないのに・・・」
悪かったな、真夜中に町の外で武器もなく途方に暮れていて
俺がそう思っていると、俺と同じぐらいの歳の男が、コップを俺に差し出した。
「どうぞ、おれの名前は、イッチ、よろしくねマコトさん、名前からして遠くから来たみたいだけど、どうぞ、こんなぼろい家でゆっくりしていってください、その代り、この馬鹿親父の愚行、許してやってください」
「誰がバカ親父だイッチ、俺が息子に馬鹿にされていることがばれてしまうだろうが、それに、俺は馬鹿じゃない」
もうばれていますが、光の速さで
「何言ってるんだ、親父がバカじゃないわけがない、それこそ例え、俺達親子が全員が死んで生き返ったとしてもとしても、それは絶対に変わらねーよ絶対、こないだだって、なんだかよく分からないそして、無理やり連れてこられた感じの女の子を連れてきて、「こいつ俺の目の前で、何もない所で転び、そして、見事にパンちらをしやがった、おもしろかったので連れて来たぜ!」とガッツポーズで叫んだあと、すぐさま、「変態!!」と言われ、パンと平手打ちされ、茫然としていた親父のどこ馬鹿じゃないんですか?」
光の速さどころか、ワープしてるぞ
「いや・・・それはな・・・」
「その前にも、エルフなんか連れてきて、その理由がなんと!!」
「わかった!!私は馬鹿でした!!どうか許してくれい!!」
あわてて、自分の息子であるイッチさんに必死こいて謝っているクラツさん、こいつ、今まで何してたんだ?本当に馬鹿なんじゃね?
そう思っていると、40代のおじさんが話しかけてきた
「おい、せっかくイッチが入れてくれたぺっぺッ茶が覚めてしまうぞ、あと、私の名前は、ペッペンだ、イッチの叔父にあたる者だ、まあよろしく、マコトさん」
「あっはいありがとうございますぺっぺンさん」
そうわずかながらのお礼を言った後、コップの中身をみる、ぺっぺっ茶?何そのネーミングセンス?悪すぎるだろ、ちなみに、コップの形状は、異世界でも変わらない、普通のマグカップであった・・・しかし、しかしである、中身があの~ぺっぺっ茶がアレナンダヨ、・・・・紫色の、謎の湯気の立った液体なのだよワトソン君、飲めるのかこれ?
「・・・・・・・・・・」
俺が沈黙していると、ペッペンさんが声をかけてきた
「何心配そうに見つめてるんだ?別に毒など入っておらん、暖かくて落ち着くし、それに美味しいぞ」
ペッペンさんがそう進めてくる
「・・・・・・」
おれはこの謎の液体を見つめた、こうなってしまったらもう飲まなければ失礼なので、勇気を振り絞っておれは飲んだ。
「・・・あっ、結構いける」
味としては、ミルクココアみたいな味だった、それに、なんか心が落ち着くし体がなんだかすぐに暖かくなる、紫色の謎の液体のくせに、こんな味がするのは不思議だった。
「聞いてくださいマコトさん、このバカ親父、エルフの何を目撃してしまったのかを!」
「やめるろー!!やめるんだ!!そんな事をしても、無駄な犠牲が出るだけだ!!」
ペッペッ茶を飲みながら、そんなイッチとクラツの親子間の茶番劇?をゆったりと、椅子にもたれかかりながら、傍観していた。あー、なんだかこの世界に来て、はじめて落ちつけたような気がするぜ。
数分後、そんなイッチとクラツの茶番劇?がようやく終わり、おれもペッペッ茶を飲み終えた後、クラツが俺に訪ねてきた。
「どうだ、暖かくて落ち着くだろう、私の作ったペッペッ茶はすばらし・・・」
しかし、その言葉をイッチが遮る
「半分に以上は俺が作ったんだけどな」
「イッチ!頼むから私をこれ以上辱めないでくって!あっごほんごほん、まあとりあえず、温まったところで、マコトよ、どうして、真夜中あんなところにいたのか、教えてくれないかい?」
「・・・・・」
おれはイスに座りながら、どうするか悩んでいた、最初は、言うのが恥ずかしくて、白い目で見られるかもしれないし、それで警戒していて、言いたくなかったけど、いままでの、クラツさんの暖かい家族関係を見せつけられ、心を許している俺がいた。
それに、こんな見ず知らずのおれを助けてくれたクラツさんにうそ言うのも忍びないし、それに、この人なら、おれを白い目で見ないだろうと思えた、て言うか、この人が俺を白い目で見る所なんか想像できない、それに、もう自分だけでは、この先どうすればいいのか、全くわからないから・・・
「みなさん聞いてください」
「「うん?」」
「今から言うこと、多分信じられないと思いますが、信じてくれますか?」
「おお、信じるぜ、なんなら、わたしが信じなかったら、このペッぺッ茶100杯分奢ってやろう」
「くそ爺に同じく」
「二人そう言うのなら、私もペッペッ茶100杯、否、1000杯」
「じゃあ、私は、10000杯」
「子供かこのくそ親父」
そんな光景をみて、なんだか安心した俺は、こう言った
「俺・・・異世界人なんです」
そのあと俺は、なぜこの世界に来てしまったのか、その経緯や、ピィオナのこと、そして、なぜあそこで途方に暮れていたのかまで話した。
全部話し終えるまで、数十分もかかった、もしかして、今日は人生で一番忙しかった日じゃないのか?
「なるほど、君は異世界から・・・」
「驚かないのですか?」
「否、これでも私は十分驚いていますよ、ただ、私は、感情をあまり表に出さない性格でしてね、それに、このけいたいでんわ?ですか、なるほど、何とも美しい絵が描いてあるじゃないですか、しかも、数十秒ともかからずに、こんな美しい絵が書けるとは、驚きですな」
「みろ!イッチ、わたしは、ついに、すごい人を連れてきたぞ!日々のたまものだ!」
「はいはい、よくできましたねダメくそドジ爺」
「すいません、せめて、くそ親父で・・・」
「で・・・お前さんは、そのピィオナとか言うバケギツネの依頼をしぬのが怖いから断って、町の国境付近まで逃げてきたと、しかし、結局町に入れずじまいで、途方に暮れていたところを、クラツに助けられたと」
そうペッペンが言う
「はぁー、そうです」
俺はなぜだかため息をついてしまった、だけど、そのため息と同時に、なんだか自分一人で抱えていたおもりが、この人たちに話すことによって、軽くなった様な気がした。
俺がそう言うと、ペッペンさんは、なにやらため息をつきながら
「まあ、そこまで、卑屈にならなくていい、なにせ、相手は災厄級モンスター、鉄皮だからな、賢明な判断といえる、それにマコトさんは、鉄皮のことをあまり知らないみたいだしな、誰だって知らないものは怖いだろう、逃げたくだってなる、私もそうだった」
「へ?」
どういうことだ?もしかして、ペッペンさんも俺のようなことを経験したことがあるのか?
「おいペッペン、その話はあまり人には、話さない約束だろうが」
クラツさんがペッペンをにら見つける、この人でも起こることってあるんだな
「いいか、クラツ、たしかに、この話をほかの人話すことは、あまり、気が良い話ではない、だけどな、今ここに、昔の愚かな私たちと同じ愚を犯してしまった人がいる、クラツよ、もし、お前がマコトさんのことを、本気で気に入っているのなら、マコトさんのためにも、私たちのこの愚かな話を聞かせてあげるべきだが?マコトさんは迷っている、私なら、聞かせてあげるべきだと思うが・・・」
ペッペンさんが、クラツさんを見つめる、クラツさんは少し悩んだ後、ちょっとため息をつき、こう決断した。
「・・・わかった」
「どうやら決まったようだね、イッチも、この話をしていいかな?」
「別にいいですよ、俺も、マコトさんのためにも、この話をするべきだと思うしね」
三人同時に、その話をすることを決定したあと、ペッペンさんは語り始めた。
「私とクラツは兄弟同士だ、クラツは子供のころからこんな性格でね、その性格にいつも、私は頭を抱えていた、もっとも、笑いは絶えなかったけどね、それに関しては良かったと感じている、とまあそれは置いておいて、今から13年前ぐらいかな?あの出来事が起きたのは・・・」
「私は昔、イースパニア王国の考古学大臣をやっていた」
しかし、その話を聞いた瞬間、頭の中は、はい?イースパニア王国?なんだそれ?
「あのー」
俺は訪ねてみた
「ん?なんだ」
俺はたぶん、それが分からなくては話にならないと思い、こう言った
「イースパニア王国って何ですか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
沈黙の嵐が巻き起こった!!
「ふっハハハハ、マコトさんよ、もしかして、あなたはこの世界のことを、まったく知らないので?」
「・・・あ」
そう言えばそうだった!!俺この世界のこと今まで全然よく分からんかったんだった!ピィオナに聞くのも悪れていたし・・・ってあれ?そんな重要なことを忘れていた俺って馬鹿?俺のバーカ、俺のバーカ
そう頭の中で自分を馬鹿にした後、俺は恥ずかしげに言った
「・・・そうです、俺はこの世界のことを全く知りません」
「はぁー、じゃあまずこの世界のことをちょっとだけ簡単に説明するよ、確か君の世界には、魔法や、モンスターというものがなかったんだっけ?」
「そうです」
「はぁー、私の話をするまで、時間がかかりそうだな・・マコトすまないが、簡単に説明することしかできん、理由は教えられんがな」
そういってペッペンさんはもう一度ため息をついた、なんだかすみませんねハイ、それにしても、なんで簡単にしか説明できないんだ?・・・まいっか
この世界には魔法がある、まあ、これはすでにマコトにも分かっていることだと思う、魔法とは呪文を唱えたり、踊りや特殊なしぐさをすることで発動したり、道具を使うことで発動する、超常現象だ。その超常現象(以下魔法と呼ぶ)は、謎に包まれている、まあ、私はそれを知りたくて考古学大臣になんかなったのだがね。
とりあえず、なぜそのようなことが起こるのか、よくわかっていない、今わかっていることは、いわゆる人間の中にある秘められた力、魔力と、空気中の精霊たちとの接触によって発生する、空気中の精霊とは、空気みたいなもので、そこらじゅうにいる、君の目の前にだっている、ただ見えないだけでな。
次に、人間の中にある魔力は、通常では、外に出し、空気中の精霊に触れさせることはできん、そこで、呪文を唱えたりいろいろすることによって、魔力を外に出し、空気中の精霊に触れさせる、これによって魔法は発動するわけだ。
次に地理のことだ、私たちはこの世界のことを、セラシートと呼んでいる、セラシートは、色々な地域に分けられる、まあ、その中の四つを言おう、一つはフェルキシア地方のさっき言ったイースパニアがある地方だ、そしてこの地方の南には、アルピジリオ地方、東にはオリエント地方があり、北にはシュバルと呼ばれる地方がある、さらに詳しく言うと、私たちはフェルキシアのイースパニア王国のイルミ村と呼ばれる場所だな、ちなみに、お前さんが出てきた森は変化の森と呼ばれている、由来は、地形が毎日変わることから付いている、そのため目印になるものがなく、軽い気持ちであの森に入れば、ここがどこなのか分からなくなってしまい迷ってしまうので、この村の人々からは恐れられているがな、まあ地理についてはかいつまんで言うとこんな感じだな。
次にモンスターのことだ、もうすでに分かっているかもしれんが、ランクがある、下から順番に、下級、中級、上級、災厄級がある。
そして、それぞれランクにも上中下とランク付けがある、それぞれ、子供でも倒せるものから人間の力では、ただただ蹂躙されるものもある。
次に、人間とは違うが、モンスターとも違う、種族について、まあ、種族とモンスターの違いは、普通に人間と暮らし、人間と大差のない生き物をいう、ちなみに、バケギツネみたいな、いわゆる人間とコミュニケーションができるモンスターは、準種族と呼ばれている、そして、種族には、エルフ、翼人、猫族などがある。
そんなかんじだ、さてと、この世界の簡単なことはこれで分かったか?
「はい」
俺は、とりあえず、簡単なこの世界の知識の説明を受けた、 他にもいろいろ質問したいが、とりあえず、ペッペンさんの話が先だと思い、とりあえずうなずいた。
「さてと、本当は魔法についても種族なんかについても、もっといろいろ細かいことがあるのだが、まあ、そこは置いておくぞ、この世界のことが簡単に分かってところで、私の話に戻るぞ」
なんだか、重苦しそうに、ペッペンさんは言った。
私は昔、イースパニア王国の考古学大臣だった、大変な仕事だったが、優秀なペッペリ副大臣や部下達が居たから、そして、魔法のこと探求したいという思いもあり、そこまで苦ではなかった。
そんなある日、国王からある調査が下った、それはある超古代遺跡の調査だった、超古代遺跡とは、何千年も昔、もはや伝説でしか語れない時代の遺跡だ。
まあ、とりあえず、私はペッペリとその他の部下、護衛達といっしょにその、超古代遺跡に行ったのだ、そして、その調査中、私はある物を見つけしまった・・・
「ある物って?」
俺は、唾を飲みこみながらそう言った。
まあ簡単にいえば、不気味な卵だ、ペッペリ達から、危険だ、破壊しておけと言われたが、私は沸きあがる自分の探求心を抑えこめず、自分の家に持ち帰った・・・その行為こそが、あの悲劇の始まりだった。
その卵を家に持って帰ってから一週間後の朝、私はその卵を今までのように観察していると、突然、卵が不気味な音を立て、かえり始めた、私はその様子をただただおもしろげに見ているだけであった。
そして生まれた、私のイースパニア王国考古学大臣の知識を持ってしても、全く不明の化け物が、あまりにもの恐ろしさに、私は、最初から戦うだなんていう選択肢など考えもせず、ただ逃げた、家にいたクラツの妻を見捨てて・・・
「え!!」
「・・・・・・・・・」
クラツさんは、ペッペンさんをまるで親の敵のような顔で睨めつけていた。
「しかも・・・クラツの妻のお腹にはな、子供が宿っていたのだ・・・なのに、なのに私は、そんなことよりも、否、そんなことなど、最初から頭にも入れず、ただ、自分の命だけを優先し、逃げたのだ」
「・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・」
ちょっとばかりの沈黙の後、クラツさんが突然、耐えきれなくなったかのように叫んだ。
「・・・ペッペン・・・ペッペーン!!」
クラツさんは突然顔を真っ赤にさせたと思うと、怒りの感情に身を任せ、ペッペンさんにつかみかかった。
「なんぜだ!なぜあの時、腹に子を抱え、歩くことさえままならぬ私の妻を見殺しにした、どうして危険かもしれない物とわかっていて、そんなものを私の妻のすぐそばに置いた!私はその話を聞くたびに貴様に殺意がわく、妻を見殺しにした貴様を殴り殺し、切り刻み、燃やしつくし、その灰を地獄の底へ投棄したい!その貴様の魂も、地獄へ蹴り落とす!そんな欲求が、憎しみが出てくる、くそ!くそ!そんな貴様を殺せない俺が憎い!ペッペン!なんなら、今すぐにでも貴様を今言った方法で殺してやろうか!!」
クラツさんが憎々しい顔でペッペンさんをつかみながら叫ぶ・・・ってこれやばくね、なんかクラツさん本気でペッペンさんを殺しそう。
そのことに気付いたのか、イッチさんが呪文を唱える
「デル アル サム 冷水落とし!」
「ザッバーン!!」
「・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
ペッペンさんとクラツさんは、どこからともなく降ってきた水によって、ずぶ濡れになり沈黙した。
その様子を見たイッチさんは、絶賛ずぶ濡れになっているクラツさんたちを見ながらこう言った。
「頭は冷えたか、本当、もうそんなことはやめよう、くそ親父らしくねー、確かに俺の母さんを見殺しにした叔父のことは、確かに憎いさ、しかし、だからと言って、肉親同士で殺しあうか?俺たち家族はそんなバカな集団だったか?今の状況を見たら俺の死んだ母さんが泣くぜ」
「・・・・・・フンッ」
クラツさんはびしょ濡れになった体で、機嫌悪そうにそばにあった椅子に座った、なにはともあれ解決したな。
「・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
そのあとは、何だか重ぐるしい空気が流れた・・・いや・・重ぐるしすぎるだろこの空気は、俺が英語のテストで一桁とったしまったことを、家族にばれたとき以上だぜこの重ぐるしさは!ちなみに何点は言わん。俺の最後の砦だぜ!(ほぼ意味ない砦)
「・・・・・・・・・」
しかし、そんなことを考えていても、このまるで見えない象に押しつぶされるがごとく重い空気は晴れないので、勇気を出して、俺はあることを言った。
「・・・・それで、結局、クラツさんの妻は死んだのですか?」
わかりきってることだが、一様聞いた
「・・・・それがわからないんだ、どちらかと言うと、行方不明なんだ」
「え?」
「あのあと、あの化け物がいなくなったことを感じ取り、クラツの妻を見捨てた罪悪感が今更蘇り、せめての罪滅ぼしと、クラツの妻の生死を確かめるため、勇気を出して、家にいったん戻ったのだ・・・しかし、残念ながらそこには何もなかった、ただ、私の家があったところに黒く焦げた穴があるだけだった、その黒く焦げた穴の中には、消滅した家はもちろん、クラツの妻の死体もなかった、まあ死んだとは思うがね」
「・・・・・・・」
「しかしな、一つだけその黒い穴の中には、不思議なものがあったんだ」
「はい?」
俺はそんな状況のさなか、いったい何があったのかと思った。
「・・・・赤ん坊が・・・女の子の赤ん坊が、裸でポツンと、一人でオギャー、オギャー、とその黒く焦げた穴の中で、泣いていたのだ」
「え・・・・・・」
そんなマンガみたいな・・・いや、この世界その物が漫画みたいな世界だし・・・
「そこにいた赤ん坊の特徴がどことなく、クラツとその妻にかなり似ていてな、同じ緑色の瞳と髪、それを見た瞬間、私はその赤ん坊の正体がいやでも分かった」
「・・・・・・・・」
「そう、どうしてなのか分からないが、生まれていたのだ、クラツの妻のおなかの中の子が・・・」
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
少しの沈黙の後、俺はこう言った
「・・・不思議なことですね」
「ああ、不思議だな・・・まるでクラツの妻が、自分の身と引き換えに自分の子をかばったみたいだった」
「・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・」
「それでだマコトよ、お前はどうする」
「え・・・」
「長い話になったが、とりあえずこの話はもともとお前さんが、自分がこれからどうすればいいのか迷い、その悩みを解決するためのヒントとして、私はこの話をした、でだ、この話を聞いた上で、お前はどうするのかと聞いている、私のように逃げるのか、それとも死を覚悟してでも戦うか、どちらかだ」
「・・・・・・・・・」
確かに、なんというか、そんな話を聞いた後に、そんな事を言われれば、ふつうはピィオナを助けに行くことを選択するだろう。
しかし・・・これは現実である、例えるなら、元の世界で戦争が起き、黒野が戦車やら機関銃で武装している人たちにさらわれてしまったとしよう、幾らなんでも学校帰りの学生がそのまま助けに行こう、だなんて思えるはずがない、普通はそうだろう、確かにこっちだって殺虫スプレーという、おそらく鉄皮にも効果はあるであろう武器を持っている、しかし、もしその時、ロケットランチャーを偶然持っていたとしよう、しかしなあ、俺は普通の高校生だ、そんな勇気なんかそうそう持っているはずがない、そう、本当の殺し合い、マンガの主人公みたいに俺はそんな勇気など持っていないのだ、そんな、優しい問題ではないのだ・・・
しかし、だからって、ピィオナを見捨てるよなことだってできない、一様、こっちにだって、有効な武器はある、それを持っているのに逃げるなんてことは・・・ああもう、どうすればいいんだよもう!!
「・・・・・・・・・ちょっと外に出ていいですか、気分転換したいので」
俺は、なんだか頭があまりにも混乱して気分転換がしたくなりそういった
「・・・ああ、別にかまわんが」
ペッペンさんが心配そうなめで言ってくれた
「ありがとうございます」
そう言って俺は、古めかしいドアをあけ、外に出た。
「りーりーん りーりーん」
外に出て、耳を澄ましてみると、鈴虫のようなきれいな音色が耳に流れた、この世界にも、夜にこんな風に鳴く生き物がいることに、ちょっとばかり嬉しみを感じた、昔飼ってたしな、外見はどうだか知らないケド。
松明で照らされて、薄明るい、アスファルトの欠片のない道路に座った、これらを見ていると、ここは異世界ですよと、言われているようで、なんだか空しい気持ちになってくる。
「・・・ああ、俺はどうすればいいんだろうな」
なんと言うか、その答えを見つけようと、夜の空を、俺は見上げていた、そしたら
「・・・星空が、綺麗だな」
いまだに青いオーロラの野郎がいるが、でも、なんだか少しずつ弱まっているみたいで、その影響か、その陰に隠れていた沢山の星空が見えてきたのだ
なんだか、壮大だな。
「・・・東京じゃ見れないな、こんなきれいな星空」
「トウキョウとはお前さんの故郷のことか?」
びくっと、一瞬ビビった俺であったが、落ち着いてその方向を見てみると、クラツさんが立っていた。
「クラツさん・・・空気読んでくださいよ、俺は、なんというか一人になりたいんです」
ツンデレみたいに俺はそう言った、本当は悩んでて誰かの助言がほしかったのに、なぜかそう言ってしまう、はぁー、ちゃんとそういうことが言えない俺って悲しい奴だな。
「そんな、こと言われても、ちっとも説得力ないぞ、本当は、誰かからの助言がほしかったんだろ」
クラツさんが俺のことなど、すべてお見通しだ!という感じにそう言う、こいつ・・・超能力者?うん・・・異世界だしあり得るな、だけどそう考えると怖いな・・・
「クラツさんって、もしかして、超能力者?相手の思考がわかる的な」
「・・・はて、そのちょうのうりょくしゃと言うのは分らんが、ふふっ、残念ながらすべて私の勘だ、よくみんなから勘の鋭い奴って言われるよ、それよりその言葉からすると、図星だな」
「・・・・・・・・」
俺は、クラツさんのいる方向とは逆の方向に顔を向けた
「・・・はははは、お前は面白い奴だな本当、正直なやつだ、気に入った、この皆から勘の鋭いといわれるこの私から、マコト君に助言を与えよう」
「・・・・・・・・」
俺はなんだかすねていた、子供だな俺
「うん・・、確か・・・お前さんには、元の世界で、何か成し遂げたいことがあったとかいっていたよな」
「え・・・・・」
「なんだっけな、私忘れちまったわ、教えてくんね」
元の世界で、俺が成し遂げようとしていたこと、大層な言葉であるがそれは・・・生きる意味を作ることだったな
「・・・生きる意味を作ること?」
「そう!それだ!!それで、お前さんは、何によって生きる意味を作ろうとしていた?」
本当に忘れていたのか怪しい反応だが、一様俺は考えてみた・・・何をしていたか・・・ね・・うん・・・なんと言うか、マンガの主人公のように、助けを求めている人を助けたり、そして、恥ずかしいことだけど、彼女を作ることで、生きる意味を作ろうとしていたな・・・
「・・・自分は・・・元の世界で、まるで物語の主人公のように人を助けたり・・・後は、恥ずかしいことなんだけど・・・彼女を作ることで、生きる意味を作っていました」
「ならマコトよ、今は、その生きる意味を作るのにも、絶好の機会だと思うわないか?そう!今ピィオナと言う、13歳の少女が、助けを求めている、さらに、確か3歳ぐらい年下だが、いいと思うぞ、彼女にするのに・・・私が!!認める!!マコト君、君がピィオナを彼女にすることを!!」
いや、お前が勝手に決めるなよ!!
「だからな、私は勧めるぞ、お前さんがピィオナを助けに行くことを、お前さんにペッペンのようなつらい思いもさせたくないという気持ちもあるしな」
「・・・・・・・・・」
確かに、生きる意味を作るという観点からみれば、それが一番いい方法かもしれない、だけどな、だけど、人生をキチンと寿命まで生たいという俺の思いから見れば、全くと言うほど、助言になってねーし
「確かに、そうかもしれない、確かに、今ピィオナを助けに行けば、生きる意味だろうが彼女だろうが作れるかもしれない、だけどな、俺は死にたくないんだよ、生きたいんだよ!」そうあの、俺の人生観に、多大な影響を与えたあの番組が言ってたように、生きたいんだよ、死にたくない、だけど・・・俺は同時にピィオナを助けたい、あーーーーーーーーもう、何子の心の中の矛盾吐き気がしそうだ。
「なるほどな、確かにお前さんの言い分もわかる、災厄級モンスターだなんて、私だって、会いたくもねーしな、だけどね、私はこう思うのだよ」
「・・・・?」
「たしか・・・バングミ?とか言うよくわからない集団だったかな・・・その連中が何か言ってただろう、私の鋭い感からいえば、生きるということ以外になにか最後に言っていたんじゃないか、それでもって、なぜかお前さんに印象に残っていたことを」
一番最後に、あの番組がいて言っていて、なおかつ、印象に残っていたこと・・・ああ・・・確かに、あったなそんなこと言ってたな
「ほんの一つの、何度も何度も諦めない精神と、冒険心、そして、ほんのちょっとの勇気があれば、生きる意味は、作れる」
その言葉を俺は、そのままクラツに言った
「そうか、じゃあ、その言葉を、いままで、自分がしていた行動に照らし合わせてみようか、面白いことになりそうじゃないか?」
・・・・・・・面白いこと?
「お前さんは、最初、女の子を助けたが、結局逃げられじまいで終わった、しかし、諦めずにもう一度クロノという人を助けようとした、しかし、見捨てられてしまう、その過程で、お前さんは悲しみにふけってしまっていた、しかし、お前さんは、そのまま悲しみにふけっているわけでもなかった、諦めずに何とかしようと、とりあえず、その悲しみにふけっている心を、冒険心という形で解消した、そう、いつの間にか、お前さんは、何度も何度も諦めない精神と、冒険心を、持ち合わせていていたということだ、それは異世界に来てしまった今でも、変わってはいけないと思うぞ、そして、その異世界で、なんと、またもや少女が助けを求めているではないか、これは助けにいくべきだろ、確かに前の二回とも、散々な結果に終わったさ、だけど何回も言うが、あきらめてはいけないのだ、もう少しで作れそうではないか、鉄皮を倒し、ピィオナを救うことで作る、君の生きる意味を、あのバングミとか言う集団が言っていたように、あとは、ほんのちょっとの勇気を出せば」
クラツさんは一回一息ついたあとまた言いだした
「それにな、お前さんは普通の人ではまず体験することのできない、異世界へ来てしまう体験をしている、さらに、少女が助けを求めていると来たこんなことを体験するなんてそうそうないはずだ、せっかくそんな体験をしているんだ、そして、君のような状況に陥り、そして逃げてしまった人の、その末路を君は知っている、肉親に憎まれ、自分自身も後悔と苦しみに呻いている運命を・・・・」
「・・・・・・・・」
俺は何と言うか沈黙していた
「マコトよ・・・」
最後にクラツさんはこう言った
「せっかくこれだけのことを体験しているんだ、命をかけても、損はないと私はそう思う、マコト!!君は生きたいと言ったな?だったら、生きる意味を作れ、この異世界で!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
確かに、そうかもしれない、これだけの要素があれば、命をかけてもいいかも知れない、それに、何故だかかわからないが、その話を、クラツさんの話を聞いていると、何だか、勇気がわいてきた、鉄皮を倒し、ピィオナを救おうとする勇気が、まるで湧水のように湧いて出てきた、何でだろうここが異世界だからか?何でだろうな・・・・それに、生きるんだったら、なおさら、生きる意味を作らなければな・・・
「クラツさん、何だか、あなたの話を聞いていると、何だか勇気が出てきました」
「だろ」
なぜか誇らしげに、クラツさんが言った。
「さあ、マコトよ、決断しろ!勇気が出てきたのならできるはずだ、今のお前なら、命をかけることだってできるはずだ!!」
・・・・・・・・・・
その言葉を聞き、俺は、あふれる勇気のもと決断した。
「・・・クラツさん、ありがとうございます」
「・・・にやり」
クラツさんは、その俺の言葉でを聞いた瞬間、まるで、その言葉を待ってましたとばかりに、笑った
「俺、命をかけて、ピィオナを助けに行きます!!」
そうだ!せっかくこんな経験をしているんだ、命をかけて、ピィオナを助けに行ってもいいだろう、それに、俺が今まで、探していた生きる意味も作れそうな気がするしな・・・この異世界で
この言葉ををスタートに、俺の人生が、輝いたような気がした。
松明に照らされ、不気味に薄明るいこの町の門で、俺は、クラツさんたちと別れることにした。
「皆さん、本当にありがとうございました」
「そんな、お礼だなんていらないよ、ただ助言しただけだよ」
「くそ馬鹿ドジ親父が助言?ふん、似合わねーよ!せいぜいトイレ掃除が似合うよ」
「・・・酷いよ・・・イッチ、くぞ馬鹿ドジ親父だなんて、ぐすぐすぐす」
「なあクラツよ、嘘泣きなんかしてないで、さっさとマコトさんにあれを渡してくれ」
「ぐすぐす・・・あああれか」
ん?あれって何だろう、もしかして、レアアイテム?
「マコト、これを貰ってくれないか?」
そう言ってクラツさんは、そこらにあるような黒いまん丸の石を差し出した。
「・・・石?」
俺のその言葉に、クラツさんは付け足したかのように言う
「いやいや、ただの石じゃないぞ、これの石があれば、変化の森は、おのずとマコトの生きたい場所に連れて行ってくれる優れものだ、失くすなよ」
「え?どうしてそんな石を持っているんですか?」
俺はすぐさま、そんな疑問を抱いた
「さあな、なんでだろーナ、それと、この石を絶対肌水離さず持ってること、分かったか」
「・・・・・・・・」
どうやら教えてくれないようだ、なぜに肌水離さず持っておかなければならないのか分からないが、まあ持っておいた方いいのかな。
「それと、これを持っていってくれ」
そう言われ渡されたものは・・・木刀だった
「・・・・・木刀ですか」
形状としては、普通の木でできた日本風の木刀で、よく見かける、反りを打たせてあって断面が扁平な楕円型の木刀である。俺としては、勇者の剣みたいなものを想像していたのだが・・・
「ただの木刀じゃないぞ、だけど、まあ、今は普通の木刀だが、その内、どういう物かわかるだろう、それと、これを渡しておくか、これをこうしてっと」
クラツさんは、俺の腰に、何やら輪っか?見たいのを付けてくれた。
「これでよし、ではマコトよ、普段木刀を持ているときは、そのかばんの中に入れるか、この輪っかの中に、挟むようにして、携帯すんだな」
なんと言うか、現在俺の腰には、侍がよく刀を腰にさすように、木刀がぶらさっがている、しかし俺としては、本物の刀が欲しかったんだけどな・・・・まあ、本物もらっても俺に扱える筈もないし、木刀がいいほうなのかな。
そんなことを思っていると、クラツさんがまた、俺に声をかけてきた。
「私たちも本当はマコトと一緒に鉄皮を倒しに行きたい、これでも私は腕には自信があるからな、だが、それは叶わない、本当にすまないが、こればかりは自分だけでやり遂げるんだ、それでな、この小刀は、私たちの分身とでも思ってくれ、すまない、だが、私たちは、君たちを応援している、たとえ、私たちが今ここで、死んでいたとしてもだ、ピィオナにも、このクラツ、イッチ、ペッペンが応援していることを伝えてくれ」
「はい、ありがとうございました、クラツさん、イッチさん、ペッペンさん、さようなら」
そう言ったあと、騎士の人がタイミングを見はからったように、大きな門が、ギィーと開いて行った、不思議と、この門を初めて見た時のような、迫力はあまり感じなかった。
「がたん」
という音とともに、門が開いた
「それとだ、マコトよ」
「ん?」
「私に娘が居ることを知っているよな、もし私の娘に会って、その私の娘がピンチに陥ってしまっていたら、助けといてくれないか、私たちの代わりに」
「・・・・はい」
「さらばだ、まこと」
その言葉を聞きとった後、俺は、気を取り直して、門をくぐりぬけ、ピィオナのいる、変化の森へ、走っていった。
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・頼んだぞ、私の娘、大事な大事な私の娘、ピィオナを」
クラツはそう呟いたあと、イッチとペッペンを確認するかのように見た、そして、イッチとペッペンもクラツの顔を見ると頷きいた。
その瞬間、彼らの姿が、人間から狐のような姿に変わったかと思うと、そのまま、霧のように消えていった、まるで、その3人はすでに存在していなかったかのように。
「今日の夜は、不思議な訪問者が多いな」
そんな、超常現象を目の前で見た、この門の番である騎士は、そんな空しい呟きを発した。