表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/42

第9話 誰にもジャマはさせない…

ふう…

厄介(やっかい)な事件らしいな…

今日…


刑事時代の同僚から


久しぶりの電話があり


こんな話を聞かされた


最近、都会では失踪事件が増えていて


特に若い女性が多いらしい


本来は()刑事とはいえ警察を()めた人間に


事件の話をするなんて事は


もちろん許されない


だが…


今でも現役バリバリ刑事のその男は


俺のかつて(・・・)の相棒で


死と背中合わせの危険な仕事を


命がけで共に乗り越えてきた


かけがえの無い戦友だったのだ


俺にとって彼は


誰よりも信頼出来る(とも)だった


今でも互いに相談に乗ったり


逆に乗ってもらったり


捜査について俺が助言したりもする


そんな間柄(あいだがら)の彼が


俺に年頃の娘がいるので用心する様にと


内密で特に話してくれたのだ


ありがたい忠告だった


それとは別に…


こんな事件も起こっているらしい


それには警察でも頭を(かか)えているそうだ


最近…


取り壊し予定のマンションやビルの様な


人の立ち入らない廃墟(はいきょ)


または建設途中の工事現場で


バラバラにされた挙句(あげく)


食い散らかされたとしか思えない


損壊を受けた遺体が


放置されるという事件が


複数の現場で発生しているらしい


一つの現場で発見された遺体が


一人分だけではなく何人分もの


バラバラにされた人体のパーツとして


発見・回収されているそうだ


遺体を検死解剖した結果…


そのほとんどが


若い女性の肉体部分だったらしい


しかも残忍な事に…


遺体の切断部位には『生活反応』があった


つまり…


被害者は生きながらバラバラにされたのだ


それに加え、さらに不可解な事に


科捜研(かそうけん)からの報告で切断部位から


人間と他生物の唾液(だえき)成分が同時に検出され


この他生物に関しては


ある程度限定され


カニやエビの様な甲殻類(こうかくるい)の一種…という事だ


一体全体…


これは、どういう事件なんだ…?


元相棒も頭を悩ませていたが


無理もない…


警察では捜査本部を設置し


同一犯もしくは同一犯行グループによる


連続殺人及び死体損壊遺棄(そんかいいき)事件


その線で捜査しているようだ


また頭のおかしいサイコパスが


事件に(から)んでいるのだろうか?


刑事時代の俺なら


俄然(がぜん)張り切っているところだが


今ではただ(・・)の一般人だ


元相棒の忠告通り


被害者側に回らない様に注意して


家族を(まも)らねばならない


しかし…


若い女性の失踪事件と


連続殺人及び死体損壊遺棄事件…


これらが結びついている事は…


あり得ないだろうか…?


ふふふ…


俺はもう刑事じゃなかったな…


まだ昔の(くせ)が抜け切っていない


堅気(かたぎ)のコーヒー店長の俺としては


愛娘(まなむすめ)くみ(・・)と女房を(まも)るだけだ…


俺は残りの人生を


そのためだけに生きると誓ったのだから…


もう…


あんな思いはしたくない


サイコパス野郎の犯罪者と関わるのは


俺もくみ(・・)も二度とご(めん)


やっと手に入れた平穏な


今のこの(・・)生活を


誰にもジャマはさせない…


絶対にだ

早く事件が解決する事を

陰ながら祈ろう…

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ