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第1話 王様復活

う、ううう…

ここはどこだ…?

僕は生きてるのか?

ふ、ふふふふ…


あははははは…


うへへへへ


そうだよ!


僕は生きてる


死ななかったんだ…


乗ってたユンボーごと


ロケットランチャーで吹き飛ばされ


自分で作った(わな)用の落とし穴に落ちた


穴には無数の小さなカニが居た


(むら)がって来たカニどもめ


僕の身体を喰い始めやがった…


さすがに(あきら)めたね


王様としての僕の人生も


これで終わりか…


でも… 


ただ食われるのは(くや)しいから


お返しにカニを一匹喰ってやった


そしたら…


美味(うま)かったんだ、これが…


美味い美味い


僕は喰いまくった


食って食ってカニ達を全部食ってやった


一匹残らずね


甲羅(こうら)(あし)も全部バリバリ食べちゃった


あれだけ何百万匹といたカニ達を…


みんな食べちゃったよw


いやあ贅沢(ぜいたく)なカニ道楽だったなあ


♬とれとれピッチピッチ、カニ料理ー~♪


ゲプッ! 失礼…


カニ達を喰い尽くした僕は


満腹で眠くなった…


最後はカニで腹一杯になって死ぬのか…


まっ、それもいいか…


僕は静かに目を閉じた…


それから何時間…


いや、何日か()ったのか…?


僕は目を覚ました


ここは天国か?


いや、それにしては…


砂の感触が生々(なまなま)しいぞ


なんだ…僕はまだ生きてるのか…?


すると…


不思議な事に気が付いた


あれだけボロボロだった僕の身体…


どこもかしこも痛くて痛く動かせなかった


それが…


みんな元通りになっていたんだ


くみの撃ったロケットランチャー…


直撃しなかったけど


ホントは僕の身体…


半分持ってかれた…


(あし)に左腕…


じつは頭も左半分が無かったんだ


左目もね…


ところが起きてみると


左腕も両(あし)(そろ)ってた


頭も触ってみたけど…


何も異常は無かった…


どうなってるんだろうか…?


これは夢か…?


いや… あれが夢だったのか…?


分からない…


でも、とにかく身体は動かせる


動かないところは無かった


僕は両足で立ち上がった


ちゃんと立てた…


ジャンプしてみる


飛べる!


やっぱり夢だったのか…


(まわ)りを見回した


暗い… はずだった…


でも…見えるぞ…


ここが僕の作った落とし穴なら


真っ暗なはずだ…


昼間だって暗い


そして自分じゃ絶対に登れない


壁が(くず)れてしまうんだ


梯子(はしご)でも無けりゃね


生き()めさ


でも(まわ)りが見えるぞ…


昼間ほど明るくは無いけど


やっぱりここは僕の作った落とし穴だ


作った僕が間違う訳がない


じゃあ、やっぱり夢じゃなかった…


とにかく外に出たい


でも梯子(はしご)が無い…


くそっ!


僕は両手を壁に(たた)きつけた


あれっ?


なんだこれ…?


左手が変だぞ…


僕の手じゃない…


これは…?


巨大なカニのハサミ…?


そんな… バカな…


左手を動かしてみた


カチン、カチン…


(かた)いカニのハサミ…


僕は(あわ)てて両(あし)を見た


爆風でズボンは吹き飛んだ


()き出しになった両(あし)


うわあああっ!


カニだ、カニの(あし)だっ!


僕の脚は…


食べると美味(おい)しい身の()まった…


カニの(あし)になっていた


表面はカチカチに(かた)いカニの(あし)


右手で(さわ)ってみた…


(かた)い…


まるで作り物のカニのハリボテの様だった


なんだこれ…


僕はどうなったんだ…?


でも両(あし)も左腕も動かせる…


自分の思い通りに…


右手で頭の左半分を(さわ)って見た


やっぱり(かた)い…


ごつごつしたカニの甲羅(こうら)みたいだ…


それに…


僕の左目は…


飛び出していた


いや、まぶたが無かった…


触る事が出来る…


やはり(かた)い…


コンコン…


手で叩いても痛くない


()き出しの自分の目玉を…


ふつう(たた)けるか…?


でも右目をつぶってもちゃんと見えた…


それどころか暗闇(くらやみ)でも見えるのは


一度失ったはずの左目だったんだ


ちょっと待ってくれよ…


僕はカニに生まれ変わったのか…?


カニになったのか?


天罰(てんばつ)が当たったんだろうか?


僕は悲しくなった…


涙が出てきた…


でも…


涙が出るのは右目だけだ


眼窩から飛び出した(まぶた)の無い左目は


もう、涙を流さない…


うわあああああーっ!


僕はカニ人間になってしまったのか…?


怒りがこみ上げてきた


怒りのあまり左手を土の壁に叩きつけた


ズブッ!


カニのハサミは(ひじ)の関節部分まで突き刺さった


は、はははは…


化け物… カニ男…


怒りは絶望に変わった


僕は一人で泣いた…


しばらくの間、シクシク泣いていた


泣きながら僕は考えた…


何でこんな事になったんだ…?


そうだ…


くみ… あいつだ…


あの女…


なぜ、ひと思いに殺さなかった…


僕をこんな身体にしやがって…


許さない…


絶対に許さないぞ!


復讐(ふくしゅう)してやる…


くみとクソ親父に…


思い知らせてやる…


あのバカ親子…


この左手のハサミで…


ちょん切ってやるぞ


アイツらの腕を…(あし)


バラバラにしてやる…


カニ鍋の代わりに煮込(にこ)んで食ってやる…


くみの首だけは(かざ)ってやろうか


トロフィーにしてやるよ


いや、くみの首を…アイツの口を…


フェラチオ用のオナホールにしてやるか…


うひひひひ…


はっはっはっ!


新しく生まれ変わった、この僕は!


復讐(ふくしゅう)に燃えるカニの王様だ!

カニの王の恐ろしさ…

バカ父娘に思い知らせてやる

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